ON AIR REPORT オンエアレポート

8月14日 チャイコフスキー特集②

11/08/16


先週に引き続き、ロシアの作曲家、ピョートル・チャイコフスキーの人生と音楽をご紹介しました。今夜1曲目にお聴き頂いたのは、《弦楽セレナーデ》。チャイコフスキーの作品の中でも広く知られた1曲で、CMに使用されたことでも話題となりました。当時のロシアの作曲家たちは、民族色を強く打ち出した作品を多く書いていましたが、チャイコフスキーの作品は、そういった面を感じさせながらも西ヨーロッパのいわゆる西洋音楽の要素も感じさせます。叙情的でメランコリックな旋律が印象的ですね。なんといっても冒頭のワンフレーズで一気に人の心をとらえてしまう・・・そんな作品だと思います。

また、チャイコフスキーを語る上で、欠かせないのがバレエ音楽でしょう。チャイコフスキーの3大バレエ音楽と言われるのが、《白鳥の湖》(1876)、《眠れる森の美女》(1888)、《くるみ割り人形》(1892)です。2曲目には、《白鳥の湖》より最も有名な<情景>をご紹介しました。改めて聴いてみると、チャイコフスキーは天才的なメロディメーカーだったんだなと思います。メロディ一つでここまで聴かせる作曲家はそういません。弦楽セレナーデでもそうでしたが、チャイコフスキーの音楽は、メロディ、ワンフレーズで引き込む力を非常に強く持っているような気がします。

最後にご紹介したのは、チャイコフスキーの生前最後に作曲された作品です。《交響曲第6番「悲愴」》より終楽章をお聴き頂きました。チャイコフスキーの代表作でもあり日本でも頻繁に演奏されていると思います。この交響曲は、急速な第一楽章から始まり、最後はゆっくりした第四楽章で終わるんですね。交響曲の終楽章といえば、快活に終わるのが定番。それと比較して非常に独創的な構成になっています。あまりアカデミックな作曲家でなかったからこそ成し得た作品なのかなという気もします。この初演の九日後に永遠の眠りについたと言われていますが、まるで息絶えるかのようにひっそりと幕を閉じるこの作品は、チャイコフスキー自身の人生を象徴しているかのようです。

さて、2週にわたりチャイコフスキーの人生と音楽をご紹介してきました。作品のジャンルも多岐に渡り、また傑作も多数のこしたチャイコフスキー。今回は、その中の一部しかご紹介できませんでしたが、ストレートでかつ叙情的なメロディや独創的な構成など、チャイコフスキーの魅力を改めて実感しました。皆さんはいかがでしたか?

【オンエア楽曲】
M1 《弦楽セレナーデ》より第一楽章 
  / ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮、ベルリン・フィル・ハーモニー管弦楽団
M2 バレエ音楽《白鳥の湖》より<情景>
  /シャルル・デュトワ指揮、モントリオール交響楽団
M3 《交響曲第6番「悲愴」》より第四楽章
  /ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮、ベルリン・フィル・ハーモニー管弦楽団

【横山幸雄の今後の予定】
●横山幸雄デビュー20周年記念リサイタル
日時:9月11日、午後1時〜3時
場所:東京オペラシティコンサートホール
曲目:オール・リスト・プログラム

●ピアノ・リサイタル
日時:9月18日、午後2時〜4時
場所:大宮ソニックシティホール
曲目:ショパン:ワルツ5番、6番、スケルツォ4番、リスト:リゴレット・パラフレーズ 他

● ジルベスター・コンサート
日時:12月31日 午後5時半〜深夜0時45分(翌1月1日 0時45分)
場所:東京オペラシティコンサートホール
曲目:ピアノ協奏曲(第1番〜5番「皇帝」)全曲
   ソロ:ソナタ「悲愴」、「月光」、「テンペスト」、「ワルトシュタイン」、「熱情」
共演:横浜シンフォニエッタ/指揮:山田和樹
お問い合わせ:東京FM 03−3221−0080