ON AIR REPORT オンエアレポート

7月24日 ゲストは文化庁長官 近藤誠一さん

11/07/27


7月第4回目の放送では、文化庁長官の近藤誠一さんをゲストにお迎えしてお送りしました。
近藤長官は、外交官として20年近く海外生活を経験し、昨年夏に大使から初の文化庁長官に就任されました。外交のスペシャリストであり、そして文化芸術に広く精通していらっしゃいます。幅広いご興味の中でも、特にクラシック音楽がお好きとのことで、音楽・文化にまつわる様々なお話をお伺いしました。

========近藤誠一さんのプロフィール============
広報文化交流部長、国連教育科学文化機関(ユネスコ)日本政府代表部特命全権大使、
駐デンマーク大使などを歴任。2010 年7月文化庁長官に就任。
* 著書に『外交官のア・ラ・カルト』『文化外交の最前線にて』 『パリ マルメゾンの森から』等その他論文、エッセイなど多数。
* 「アーティスト・イン・レジデンス」(外国の芸術家を日本に呼び、日本に滞在しながら創作活動をしてもらう制度)を推進。
* その他、「Kサロン」(国内外の芸術家や文化人を集めた懇談の場)など、独自の試みを通して文化交流、発信に尽力。
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今も公使問わず、お時間さえあれば演奏会に出かけていらっしゃるそうです。今年5月3日に行われた「TOKYO FMヒューマンコンシャスライブ 横山幸雄ショパンピアノソロ全212曲完全奏破コンサート」にも、朝からプライベートでお越し頂きました。長時間お付き合い頂き、ありがとうございました!実はご自身も小学生の時にピアノを習った経験がおありとのこと。文化に携わる仕事をするのだから、音楽でも美術でも何か一つ文化的な趣味を持ち、実体験を大切にするようにと文化庁の職員の方にもお話しされるそうです。そう言った手前、まずは自分からということで、長官自身も昔習ったピアノ、しかも連弾に挑戦されたそうです!

海外での生活が長い近藤長官からみた日本文化のお話についても伺いました。よく海外の芸術家からは、日本の観衆は素晴らしい。集中してくれるし、一瞬の間や沈黙をしっかり受け止めてくると言われるそうです。日本人のもつ間や空間に意味を見いだす文化的素養がちゃんと伝わっているんでしょうね。外に発散するエネルギー、情熱的な表現は欧米人の得意とするところですが、静かで、心の奥深くに染みていくような美意識は日本ならではのものだと僕も思います。

素晴らしい文化をもつ日本ですが、近藤長官は・・・・ぜひ子どもたちに、ちょうど夏休みで比較的時間があるときに、芸術一般の素晴らしさを少しでも体感してもらいたい。吸収力があり敏感な子どもたちが本物の芸術に直接触れ、感受性や情緒を伸ばしていくことが、どんな職業につくにしても日本人としてこれからの日本社会を作って行く上で大切だとお話下さいました。

芸術の素晴らしさ、音楽、特に生演奏の素晴らしさ―演奏者と聴いている人との目に見えない心の交流を少しでも子どもたちに感じてほしい、そして文化芸術が人生にとって、また国や社会をつくっていく上で必要不可欠なものであるという長官の思いを、僕自身しっかり受け止めていきたいと思います。一人ひとりが出来ることは小さくとも、僕も演奏活動を続けていくことで、心の豊かな日本になってくれればいいなと思います。

 


【オンエア楽曲/近藤長官からのリクエスト曲】
♪M1 ベートーヴェン《ピアノ・ソナタ 第17番「テンペスト」》より第三楽章 /横山幸雄
♪M2 ベートーヴェン《ヴァイオリン・ソナタ 第9番「クロイツェル」》より第一楽章
  /ヴァイオリン:イツァーク・パールマン、ピアノ:ヴラディーミル・アシュケナージ
♪M3 ショパン《ピアノ・ソナタ第3番》より第四楽章 /横山幸雄

【横山幸雄の今後の予定】
● 8月はイタリアのペルージャ音楽祭、ポーランドでのドゥシュニキ国際ショパン音楽祭に出演

●横山幸雄デビュー20周年記念リサイタル
日時:9月11日(日) 午後1時〜3時
場所:東京オペラシティコンサートホール
曲目:オール・リスト・プログラム

●ピアノ・リサイタル
日時:9月18日、午後2時〜4時
場所:大宮ソニックシティホール
曲目:ショパン:ワルツ5番、6番、スケルツォ4番、リスト:リゴレット・パラフレーズ 他