ON AIR REPORT オンエアレポート

5月29日 ゲストは長谷川陽子さん

11/05/30


今夜は日本を代表するチェリストの一人、長谷川陽子さんをゲストにお迎えしました。
長谷川さんとは、僕もこれまで何度も共演させて頂いております。
実は今月も2回ご一緒したんですよ。

===長谷川陽子さんのプロフィール=====================
9歳から桐朋学園大学付属《子供のための音楽教室》で井上頼豊氏に師事
高3年でリサイタルおよび協奏曲デビューを飾りコンサート活動に入る。
桐朋音楽大学に入学。
1989年より文化庁派遣在外研修員としてフィンランドのシベリウス・アカデミーに留学
1990年 《ロストロポーヴィッチ国際チェロ・コンクール特別賞》受賞。
2000年はホノルル交響楽団、NHK交響楽団(オラモ・サカリ)と共演
2003年プラハ交響楽団とのツァー
2004年プラハでの定期公演
2005年はフランス・ナントの音楽祭に参加。

*これまで20枚のCDをリリース。
デビュー・アルバム《珠玉のチェロ名曲集》がクラシック・ヒット・チャート第1位にランクイン。
第5弾のCD「コダーイ:無伴奏チェロ・ソナタ」は 《文化庁芸術作品賞》 《日本プロ音楽録音賞》などを受賞。 1999年の《バッハ無伴奏チェロ組曲》につづき、2001年チェロとアコーディオン版の「展覧会の絵」もレコード芸術特選盤となるなど、常に話題のCDを発表しつづけている。最新作は《愛の小径〜チェロ名曲集》(2010)

* エッセイ集「チェロの森」発売(2010)
少女時代、フィンランド留学、演奏の世界を“コトバ“ で弾く初のエッセイ集
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今夜まず1曲目に長谷川さんよりご紹介頂いた作品は・・・コダーイの《無伴奏チェロ・ソナタ》です。

チェロはとても活躍の幅が広い楽器で、ソロの作品もあればコンチェルト作品もあり、またオーケストラの一員としても欠かせません。実に様々な表情をもっている楽器です。ソロの中でも、長谷川さん自身、無伴奏の曲にとても興味を持っていらっしゃるとのこと。ピアノはいらないということでしょうか?!(笑)なんでも、様々な声(時にはおじいさんのような音だったり、赤ちゃんのような音だったり)を使って、全空間を自分の好きなようにアレンジできるというのが無伴奏の醍醐味で、その転機となったのが、このコダーイのアルバムなんだそうです。
実はこのアルバムでは、ヴィヨーム、ゴフリラー、ロジェリという3台のチェロを用いて、楽器の個性や作品の求める音に合わせて弾き分けているそうです!このコダーイの曲は、ヴィヨームという今から150 年ほど前に作られた楽器で演奏されています。チェロの世界では、150年というのは、まだまだ新しい部類に入るそう!すごいですよね〜、ピアノだったら相当な年代物で、演奏に耐えるものは少ないですから。
チェロは、何といっても多彩な音色と音域の広さが魅力の一つですが、時にはメロディーを朗々と歌い、また時にはオケなどで縁の下の力持ちとして活躍したり・・・ピアノも「楽器の王様」と言われますが、チェロも非常に可能性の幅広い楽器ですよね。

今夜もう一曲ご紹介したのは・・・ショパンの《序奏と華麗なるポロネーズ》です。ショパンはほとんどピアノ曲だけを残していますが、チェリストの友人がいたためか、チェロという楽器には親近感をもっていたようです。晩年にも《チェロ・ソナタ》という傑作を残しています。
この《序奏と華麗なるポロネーズ》はショパン10代最後、まだポーランドにいた頃に書かれています。ショパンのことを目にかけていた貴族・ラジヴィウ公とその娘のために作られたと言われています。ピアノ曲ではないのですが、やはりショパンらしさ溢れる作品に仕上がっています。

これまで番組ではたくさんショパンの楽曲をお届けしてきましたが、室内楽は初めてご紹介しました。ショパンのまた別の顔を少し知って頂けたでしょうか?
長谷川陽子さんには、また来週もご出演頂きます! どうぞお楽しみに♪

<オンエア楽曲>
♪M1 コダーイ《無伴奏チェロ・ソナタ 作品8》より第一楽章 /チェロ:長谷川陽子
♪M2 ショパン《序奏と華麗なるポロネーズ 作品3》/チェロ:長谷川陽子、ピアノ:横山幸雄
   (2011年5月24日 六本木スィートベイジルでのライブ録音より)



【長谷川陽子さんの今後の予定】

● 長谷川陽子を囲む 『第18回 ひまわり広場 in 関東』
日時:7月3日(日) 午後2時〜
場所:カワイ表参道
内容:一部:ミニ・コンサート/二部:懇親会/三部:チェロ・アンサンブル
曲目:マスカーニ:カヴァレリア・ルスティカーナより間奏曲 他

● Hakuju ギター・フェスタ2011“ラテンアメリカへの息吹”
日時:8月20日(土)午後6時半〜
場所:白寿ホール
内容:*Part3 ジョビンへのオマージュ 福田進一 & 長谷川陽子 A.C.ジョビン(S.アサド編):波/アンパロ/ルイーザ/ストーンフラワー 、A.C.ジョビン(フォーゴ編):黄金の歳月 ほか
*Part4 タンゴの世界 ギター:福田進一/庄村清志/大萩康司 
チェロ:長谷川陽子 バンドネオン:平田耕治 ピアノ:須藤信一郎 ヴァイオリン:鈴木慶子

【横山幸雄の今後の予定】

●プレイエルによるショパン ピアノ独奏曲全曲演奏会 第9回
日時:6月10日、午後7〜9時
場所:石橋メモリアルホール
曲目:2つのノクターンOp.37、バラード第2番ヘ長調Op.38、2つのポロネーズOp.40、
     スケルツォ第3番嬰ハ短調 Op.394つのマズルカOp.41 他

●東京フィル定期演奏会 指揮:三ツ橋敬子
日時:6月24日、午後7時〜9時
場所:サントリーホール
曲目:ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」