ON AIR REPORT オンエアレポート

2月13日「恋人にプレゼントした音楽」

11/02/14


日付変わって2月14日。今夜はバレンタインデーでしたね。
日本では女性が男性にチョコレートをプレゼントする習慣が定着していますが・・・
プレゼントといえば、音楽家には「曲をプレゼントする」なんてロマンティックなエピソードもあるんですよ。
今夜はバレンタインにちなみ、「恋人にプレゼントした音楽」をテーマにお送りしました。
女性から男性へ贈った1曲として、12歳のクララ・シューマン(この時代はまだクララ・ヴィークですが)が、後の夫となるロベルト・シューマンに献呈した曲<ロマンス・ヴァリエ op.3>をご紹介しました。実はこのテーマ、もともとはロベルト・シューマンの日記にメモ書きされていたものだとか。

とても可愛らしいテーマ&変奏曲ですが、10分ほどの作品で後半はどんどん難しくなっていきます。当時から「天才少女ピアニスト」として名を馳せていたクララですが、作曲家としての才能も充分に認められる1曲だと思います。
当時二十歳そこそこのロベルトは、クララから贈られたこの曲に対して、手紙の返事を書くように、さらに曲でお返しをしているんですよ。
それが<クララ・ヴィークの主題による10の即興曲 op.5>です。
その後、クララとロベルト・シューマンは様々な苦難を乗り越えて、夫婦となるわけです。

曲を贈り合う恋人。なかなか普通は真似できないですね(笑)

さて、番組後半は、今年生誕200年のリストについてご紹介しました。
今夜は若きリストにとって大切な出会いとなった、
マリー・ダグー伯爵夫人とのエピソードをご紹介しました。
マリー・ダグー伯爵夫人(1805年〜1876年)とは、作家、ジャーナリストとしても活躍し、
当時のパリで「三大美人」と称されたほどの美貌と知性に溢れた魅力的な女性でした。
そんなマリーに夢中になったリスト。すでに結婚していたマリーでしたが1835年に離婚し、
その後フランツ・リストと生活をともにし、男の子と1人、女の子2人をもうけました。
二人は、スイス、イタリアへ旅行しましたが、そこでの様々な体験や印象は、
リストの「旅人のアルバム」(後に《巡礼の年 第一年 スイス》に改訂)や、
《巡礼の年 第二年 イタリア》に結実しているといえるでしょう。


〜オンエア楽曲〜
♪M1 クララ・シューマン 《ロマンス・ヴァリエ Op.3》
♪M2 ロベルト・シューマン 《クララ・ヴィークの主題による10の即興曲Op.5》
♪M3 フランツ・リスト 《巡礼の年 第1年「スイス」》 より第4曲<泉のほとりで>

【横山幸雄の今後の予定】

●2月28日(月)、午後6:30〜午後9:00   場所:国立能楽堂
新作能「調律師−ショパンの能」
ピアノ:横山幸雄
共演:節付・作舞・シテ:観世銕之丞

●3月5日(土) 午後2時〜4時  / 場所:パルテノン多摩大ホール
グランドサロン・コンサート〜オール・リスト・プロ〜
曲目:伝説第2曲:波を渡るパオロの聖フランチェスコ、ラ・カンパネラ、ピアノソナタ ロ短調 他

●そして、3月9日(水)午後7時から、東京、上野学園にある石橋メモリアルホールにて
【プレイエルによるショパン ピアノ独奏曲演奏会 第6回】があります。
曲目:パリ時代初期の遺作のマズルカ、4つのマズルカOp.17、12の練習曲Op.25 他

●そして、5月3日(祝) 午前8時(7時半開場)〜深夜2時 終演予定/
会場:東京オペラシティコンサートホール
横山幸雄 ショパン・ピアノソロ 完全奏覇全212曲 世界記録更新チャレンジコンサート」

※昨年の「ショパンの意思で作品番号をつけ出版した作品と主要な遺作・全166曲コンサート」に続き、今年は、昨年の166曲の他、ショパンの未発表曲46曲を含む、「現存しているショパンのピアノソロ作品全212曲」に挑戦します!

♪ぜひ足をお運び頂ければと思います♪