ON AIR REPORT オンエアレポート

冥王星発見の日にちなんで★

18/02/19


今夜もお聴きいただきありがとうございます。
突然ですが・・・・今から88年前、1930年2月18日、「冥王星」が発見されました。冥王星といえば、水・金・地・火・木・土・天・海に続く第9の惑星として古い時代の人は習ってきましたが、2006年、惑星から「準惑星」と呼ばれる別の分類になりました。ニュースになったのを覚えていらっしゃる方もいるかもしれませんね。
「宇宙」や「惑星」は、未知だからこそ想像力を掻き立てられたのでしょうか。実は音楽作品にも天体をモティーフにしたものが数多くあります。
今夜は、「天体(宇宙空間に存在し,天文学の対象となる物体の総称)」をテーマにお送りしました。
<PLAYLIST>
M1 ホルスト 組曲《惑星》 より 「木星 快楽の神」 / サイモン・ラトル(指揮)、フィルハーモニア管弦楽団
M2 コリン・マシューズ作曲 「冥王星、再生する者」 /サイモン・ラトル(指揮)、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
M3 ヨーゼフ・シュトラウス ワルツ《天体の音楽》op.235 /カルロス・クライバー(指揮)、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
M4 ドビュッシー《映像第2巻》より <そして月は荒れた寺院に落ちる>/ 横山幸雄(ピアノ)、アルバム『イマージュ』より


「天体」をモティーフにした音楽、なんといっても有名なのは、イギリスの作曲家グスターヴ・ホルスト(1874-1934)が1916年に作曲した管弦楽曲「惑星」です。
この組曲は7つの楽章から成り、それぞれにローマ神話に登場する神々にも相当する惑星の名が付けられています。とりわけ「木星 快楽の神」は有名です。
1916年当時は「冥王星」は未発見だったため、海王星までの7惑星(地球は抜く)がそれぞれの楽章となっています。冥王星発見後、ホルストは冥王星のための8曲目の作曲に取りかかりますが、半ばにして脳卒中で倒れ、未完成のまま1934年に亡くなりました。その後、冥王星を補完しようとする動きがあり、代表的なものとして、ホルストの研究家でイギリス・ホルスト協会理事の作曲家コリン・マシューズによる「冥王星、再生する者」(Pluto, the renewer)があげられます。今夜は、その一部を聞いていただきました。

ヨーゼフ・シュトラウスは、宇宙の運行を大きなハーモニーと考えて、ワルツ「天体の音楽」を書いたと言われています。もともと古代ギリシャ時代には、ピタゴラスによって「天体の運行が音を発し、宇宙全体が和声を奏でている」という発想があり、これが「天球の音楽」と呼ばれました。(その響きはきわめて大きいが、つねに鳴り続けているため人間の耳には気づかれないとされています)。この考えは、西洋の伝統的思想として根付いているため、ヨーゼフ・シュトラウスはそういうものを想像しながらこの曲を書き、聴いている人も思いをはせることができるのでしょう。
最後にお送りしたのはドビュッシー(1862〜1918)の1907年の作品。
《映像(イマージュ)》は、全部で4集があり、第1集(1905年)と第2集(1907年)が3曲ずつのピアノ曲となっています。この作品は、<月が沈む>という音のない“静寂“という世界を見事に描き出した1曲。高音の繊細な和音、低音の深い響きが解け合い、巧みな音の配置でドビュッシー独自の境地が聞こえてくる。ドビュッシーは弱音の使い方に特徴がある作曲家です。
 「大きいもの、激しいもの、ロマンティックなものにも感動があるが、「静けさ」や、「間」  があることで、別の想像力が掻き立てられます。ドビュッシーは今夜のテーマ「天体」と、近い作曲家といえるかもしれませんね、」と横山さんはおっしゃっていました。

来週は、指揮者、チェンバリスト、オルガニスト、ピアニスト、調布国際音楽祭のプロデューサーの鈴木優人さんをお迎えします!お楽しみに!