ON AIR REPORT オンエアレポート

9月生まれの音楽家、ディアベリに注目!

17/09/11


9月に入って涼しい毎日、もうこのまま残暑がもどってこなかったら寂しいですね。今夜もお聴きいただきありがとうございました。

今回は、9月生まれの音楽家から、作曲家として、出版社経営でも活躍したオーストリア出身のアントン・ディアベリ(1781-1858)に注目しました。ディアベリはオペラやミサ曲、歌曲、ピアノ曲などを書いていますが、現在では、ソナチネなどのピアノの小品以外は、ほとんど演奏される機会はありません。そして、ベートーヴェンの作曲した<ディアベリ変奏曲>op.120 で知られています。

<PLAYLIST>
M1 ディアベリ 《ソナチネ ヘ長調》 op.151-3 /ハンス・カン(ピアノ)
M2 《ディアベリ変奏曲》op.120 ディアベリによるテーマ、リストによる変奏曲、シューベルトによる変奏曲、 チェルニーによるコーダ/ルドルフ・ブフビンダー(ピアノ)
M3 ベートーヴェン《ディアベリのワルツによる変奏曲》/横山幸雄(ピアノ)(1998〜99年『ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集』12枚組の8枚目)

ディアベリは、少年時代を聖歌隊ですごし、修道院の僧侶をしているとき、ハイドンの弟と出会いヨーゼフ・ハイドンに指導を受けます。その後、ギターとピアノの教師をしていましたが、友人と「ディアベリ商会」という楽譜出版社を創業。家庭での音楽演奏のための楽譜を出版して成功します。1819年、38歳のとき、自ら作ったワルツの主題を当時の人気作曲家50人に依頼して変奏を書いてもらうというプランを実行します。そこにはシューベルト、10歳のリスト、チェルニーなども含まれていました。シューマンやリストは、とても短い変奏でもその作曲家の個性が感じられます。
また、ベートーヴェンも変奏を依頼されますが、最初はディアベリの主題が気に入らないと放置。しかし、1822年(52歳ごろ)独自の変奏曲を思い立ち、33曲、演奏時間50分という自身の作品でももっとも長い曲に仕上げます。すでにすべてのソナタも書き終えていたベートーヴェン、もとの主題の原型は完全に姿を消し、楽しみながら実験として書いたのではないでしょうか、ベートーヴェンにとって変奏曲は重要なジャンルですが、晩年の作風を後世に残すという意味で重要な作品といえます、と横山さんはおっしゃっていました。

また、曲を聴きながら「ディアベリの主題そのものはあまり魅力を感じないけれど、この曲をベートーヴェンの作品と思って弾くとそのように傑作に聞こえる」とも!