ON AIR REPORT オンエアレポート

『トーク&ライブ』イベント レポート(2016年2月24日@TOKYO FMホール)

16/03/17


『CELVIANO Grand Hybrid presents 横山幸雄のピアノでめぐり逢い トーク&ライブ』
イベント レポート(2016年2月24日@TOKYO FMホール)




番組初の公開収録「トーク&ライブ」!

まもなく350回を迎えるこの番組、初めての公開収録が開催されました。
ロビーにはCELVIANO Grand Hybidを試奏するコーナーも登場。多くのリスナーにこのピアノを楽しんでいただきました。


今回は、「ピアノでめぐる音楽の旅」というテーマで、ウィーンとパリ、2つの街にゆかりの作曲家の作品の演奏と、横山さんの思い出をまじえた楽しいトークをお届けしました。ステージの進行は、小山ジャネット愛子さんです。


前半は、ウィーンへの音楽の旅

オーストリアのウィーンは音楽の都、たくさんの音楽家が活躍しましたが、まずはモーツアルトから。

モーツアルトは1781年3月、25歳にウィーンに定住、35歳に亡くなるまでウィーンに住み続けました。18曲残されているピアノ・ソナタのうち、短調で書かれた曲はたった2つ(第8番と第14番)しかありません。


今回演奏された「ピアノ・ソナタ 第8番 イ短調 K.310」はモーツァルトの20代前半の作品で、パリへ演奏旅行をしていた時期に書かれたと言われています。
演奏会自体は大成功をおさめましたが、演奏旅行に同行していた母親が亡くなるという悲しい出来事もありました。短調で書かれたのは、こうした悲しい体験が影響しているのかもしれません、と横山さん。

続いて演奏されたのはシューベルトの即興曲。
シューベルトは1797年にウィーンに生まれ、ウィーン合唱団で歌い、作曲家・演奏家として活躍し31歳で亡くなりました。シューベルトが残した数多くの歌曲に見られる要素は、ピアノ作品にもふんだんに取り入れられています。とりわけ即興曲などの小品には素直に歌心が発揮されていますと横山さん。


「即興曲作品142-3」は、横山さんが小学校の頃、初めて演奏したシューベルトの作品です。ウィーンを訪れたのは横山さんが小学6年生のときで、これが初めての海外旅行。ウィーン・フィルの本拠地であるムジークフェラインでも演奏し、楽しい思い出があるそうです。

リスナーの方からのメッセージ&質問コーナー

Q:CELVIANO Grand Hybridをステージ上で演奏しての感想は?
「TOKYO FMホールは天井が高く“演奏していて心地よい空間”。CELVIANO Grand Hybridで、番組のためにこのホールで演奏したこともありますが、今日はお客さんが入ることによって響きがかわり、優しく溶け込むような音色に感じられました。最近の電子ピアノの進化は目覚ましく、演奏者の個性の違いが感じられるくらい繊細な表現ができるようになってきています。」


Q:自分を奮い立たせたいときに弾きたい曲、聴く曲はありますか?
横山さん「基本的にシーズンごとに自分が弾きたい曲を選んでいるので、それをはやく弾きたいという思いがあります。この曲をこの場所でこんな風に弾きたいと曲目を考えるのがいちばん楽しい。また、10代の後半にフランスに留学していたので、フランスの作曲家の作品を弾いて懐かしい感情に浸ることもあります。といっても忙しくて浸っている場合ではないんですけどね(笑)」


後半は、パリへの音楽の旅

パリは、横山さんが16歳のときに留学し青春時代を過ごした第二の故郷でもあります。特に19世紀までは音楽の都、芸術の最先端といえばパリで、ショパンはポーランドから、リストはハンガリーからというように、さまざまな国から音楽家たちが集まっていました。リストはショパンよりも1歳年下ですが、リストの方が先にパリに到着していました。天才少年として有名だったリストは、社交界のサロンに出入りしては絶賛を浴びていたと言われています。


一方でショパンは21歳のときにようやく、父の祖国であるパリに到着します。遠慮がちでシャイな性格だったショパンをリストは積極的に社交界に紹介し、彼の作品を演奏会で取り上げて、多くの人々に広めました。サロンに留まり続けたショパン、ヨーロッパ各国各地を巡り何千回ものリサイタルを開いたリスト。まるで性格の違う二人だからこそ、お互いに良い刺激となったのではないでしょうかと横山さん。
「ポロネーズ第6番変イ長調「英雄」」はショパン32歳、音楽家としての絶頂期に書かれた作品。いっぽう、「ノクターン 嬰ハ短調 WN37」は20歳のときの作品で、いわゆる遺作のノクターンとして知られています。ショパンがワルシャワを離れて最初に向かったウィーンではあまり歓迎されず、満足に活動できない状況で作曲されたと言われています。


最後は、リストの「ラ・カンパネラ」。「リストの代表作のひとつです。パガニーニのヴァイオリン協奏曲に基づく作品ですが、原曲よりもリストの「ラ・カンパネラ」が有名です。リストはさまざまな作曲家のさまざまなジャンルをピアノで演奏していますが、誰かの作品の編曲ということにとどまらず「リストの作品」として生まれ変わらせていると言えるかもしれません」。

【演奏楽曲】
・モーツァルト《ピアノソナタ第8番 イ短調 K.310》
・シューベルト《即興曲 変ロ長調 Op.142-3》
・ショパン《ポロネーズ 第6番 変イ長調 op.53「英雄」》
・ショパン《ノクターン 嬰ハ短調 WN37》
・リスト《ラ・カンパネラ》

このイベントで横山さんが演奏した音源が番組HPで、お聴きいただけます。
あわせてお楽しみください
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