VOL.232「東京麦茶」
東京練馬区で、麦茶を作り続けて80年の老舗、「川原製粉所」。
創業当時から変わらない「砂釜焙煎」という方法で、
麦茶を製造する数少ないメーカーです。
ブランド名は「東京麦茶」。
「砂釜焙煎」によって、鼻に抜けていく香り高い麦茶に仕上げられています。
一般的によく使われる焙煎方法は、巨大なドライヤーで風を当てていく「熱風焙煎」ですが、
「川原製粉所」がおこなっている「砂釜焙煎」は、
煉瓦造りの石窯の中に熱した砂を回転させます。
その中に六条大麦を入れ、
遠赤外線効果で膨らませる、という手間のかかる焙煎方法。
この方法で焙煎することで、甘みや香りが引き出されます。
ちょうど、石焼き芋や天津甘栗のような感じですね。
気温や湿度、麦の水分量にも気をつかい、
手間をかけて、職人さんが「これだ!」という香りに仕上げていく熟練の技。
「川原製粉所」、代表の川原渉(かわはら・わたる)さんにお話を伺いました。
「砂釜で焙煎すると、色むらが出来るんですけども、
濃い部分で麦茶の香りを出して、薄い部分で麦茶の甘みを引き出していくという感じですね。
この焙煎の色を作ることが技術のいる作業で、
いま、うちで焙煎しているのは、職人歴40年という職人が中心になっています。」
“東京で麦茶を作っていることを知っている人って、どれぐらいいるんだろう”、、、
仲間内とのそんな話がきっかけで命名されたという「東京麦茶」。
その思いについて、川原さんはこんな風に語ります。
「むかし、おばあちゃんの家で、セミの声を聞きながら飲んだあの味と言いますか、
一息ついたりするときに、
東京麦茶がみなさまのそばにいてくれたら、作り手としてはとても嬉しいですよね。」
目指すのは、最高の香りと最高の甘み。
心を込めて作られる「東京麦茶」で、暑い夏を乗り越えたいですね。