VOL.320「森を育てるメンマ」
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森を育てる国産メンマ、「延岡メンマ」。
加工・販売を手がけているのは、
宮崎県延岡市にある、「LOCAL BAMBOO」という会社です。
代表の江原太郎(えばら・たろう)さんは、地元出身。
大学進学を機に上京しましたが、
30歳を過ぎて、「地元の農業をなんとかしたい」と考えたといいます。
延岡市は、面積の8割が山林。
そこで直面したのが、林の中に”竹”が生え過ぎているという問題でした。
竹は、成長のスピードが早く、森に入る日光を遮り、木々の成長を止めてしまうため、
放置すると、森の生態系に影響を及ぼしてしまいます。
ですが、たけのこをとるだけでは、竹林整備にはつながりません。
江原さんが、持続可能な取り組みとして考えたのが、「国産のメンマ」づくりでした。
メンマの99%は、外国産。
そんななか、国産メンマを作っている会社を探し、毎週通い続け、
知識と技術を磨き、メンマの新しい発信の仕方を模索した江原さん。
「メンマの使われ方というと、だいたい、ラーメンの具材やおつまみで知られていますが、
うちは、消費量が上がることで、
森が保全されて循環できると考えているので、
主食であるごはんや、パスタやトーストに合うような、味付けメンマを作りました。」
商品づくりだけでなく、地産地消の学習と食育という観点からも、
活動を展開している、「LOCAL BAMBOO」。
「地元の小学生中学生に向けて、学校給食で、延岡メンマを提供したんですね。
そのなかで、放置竹林とか竹害という言葉も知らなかったり、
メンマが竹で出てきていることも、知らなかったんですね。」
江原さんには、メンマの原料や放置竹林の問題を知らずとも、
美味しく食べて解決できる、ということを知って欲しいという想いがあります。
日本中にある竹林は、
人の手が加わることで新たな可能性を生み出します。
今後は、放置竹林で困っている人と一緒にご当地のメンマを作り、
美味しく食べることで、森を守っていく活動を展開していきたい。
江原さんたちの挑戦は、これからも続きます。