VOL.322「転地養蜂のハチミツ」
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今回の話題は、ハチミツです。
大分県豊後高田市に本社を置く、明治42年創業の「近藤養蜂場」。
ここがおこなっているのは、
「転地養蜂」という日本独自の伝統的な養蜂スタイル。
文字通り、南は九州から、北は北海道まで、
毎年、数ヶ月かけて旅をしながら、蜜蜂と花を追いかけて、ハチミツを採取しています。
蜜蜂は暑さに弱いため、日中を避け、夜中に巣箱をトラックに積み込み、
目的地まで移動。
蜜を採取し、花の旬が終ると、また次の場所を目指して移動します。
いまでは見ることの少なくなった、この転地養蜂ですが、
「近藤養蜂場」では、創業以来、親子4代受継ぎ、
その伝統を守り続けています。
4代目・近藤成明(こんどう・なりあき)さんのお話です。
「ハチミツっていうのは、種類ごとにぜんぜん味が違うんですね。
レンゲだったり、アカシアだったり、みかんの花だったり、風味も香りも、違います。
いろいろな花の蜜がありますが、
あれは、ミツバチが花から持ってきたまんまの味を、
そのまま瓶詰めしているので、そこが、すごいと思うんです。」
蜜蜂は自然の一部。
人間が決してコントロールできない、その営みに寄り添う形で、
技術と経験を用いることで、ハチミツを採ることができる。
これを忘れてはならない、と近藤さんは語ります。
「ぼくたちは、ノンストレスのところで仕事をしています。
基本的には、携帯電話もつながらないような場所で仕事をしているんです。
そんな、自然環境の中で採取できたものを、
みなさんに食べていただいているんですね。
きっと、ホッとできるような瞬間を感じていただけると思っています。」
ミツバチが働きやすい自然環境こそが、
私たち人間が安心して暮らせる未来。
人も自然の一部、なんですね。