VOL.324「森をつくる太鼓」
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東京・浅草にある、文久元年創業の「宮本卯之助商店」。
作っているのは、太鼓や神輿です。
モノづくりで、日本の“お祭り”を160年以上、支えてきたこの老舗が、
今年、東京・檜原村の杉の間伐材で作った、「太鼓」を発表しました。
森がないと思われがちな東京。
実は、面積の4割が森林です。
ですが、森からの恩恵が充分に活かされていないのが現状です。
森が、いつまでも豊かであるように、
そして、人と人をつなげるお祭りが、いつまでもなくならないように。
そんな想いを込めてスタートしたのが、
間伐材を太鼓にすることで、樹齢100年を迎えた檜原村の杉を豊かにし、
森を作っていく、「森をつくる太鼓」プロジェクト。
その第一弾が、檜原村にある林業会社、
「東京チェンソーズ」と共同製作した、桶太鼓です。
“お祭り”に長年、関わってきた「宮本卯之助商店」。
8代目の宮本芳彦さんは、こんな風に語ります。
「お祭りっていうのは、ずっとあると思っていたらいけないんです。
なんのためにやっているのかを忘れてしまうと、
だんだん、みんな、続けられなくなると思うんです。
思い出していけることを、わたしたちがやっていかなければならなくて。」
間伐材を有効活用するため、立派な太い木とは限らなくても、
浮造り仕上げが施され、美しい木目も楽しめる、「森をつくる太鼓」。
これまで太鼓に縁のなかった人が手に取り、
それがきっかけで、地域のお祭りに参加するようなことがあったら嬉しい、
と、宮本さんは話します。
「“森をつくる太鼓”は、自然と共生することとか、
人と人をつなぐこととか、地域をつなげる役割とか。
そういう、お祭りが持っている意味を思い出せるものになれると思うんですね。
そんな考え方を発信していきながら、
忘れないようにしていきたいなと思っています。」
「森をつくる太鼓」。
ポンと叩けば、それは、未来につながる「音」として、
多くの人や森に共鳴していきます。