10/15 「CDを買う・買わないの基準ー2」 今週も先週に引き続き、『CDを買う基準・買わない基準を考える』の授業を行ないます。今回の授業にも、サカナクション先生のレコード会社、ビクター (Victor Entertainment) から、山口先生曰く "ビクターの、上から50番目くらいに偉い人" が参加してくれます。前回は、生徒の皆さんから届いた意見に、とにかく舌を巻いていた山口先生&ビクターの偉い人。今回も貴重な意見がたくさん届いていますよ!
「2曲で1000円って言うのは、僕らみたいに曲を作ったり、実際にビジネスにしている側からすると、すごく硬派だなと思います。飾らずに曲で勝負していてカッコイイというか……。 ある程度のネームバリューがあって、ファンを獲得しているミュージシャンじゃないとこういうことはなかなかできないんじゃないかと思います。デビューシングルからこういう形で売っていくっていうのは、ちょっと勇気が必要なんじゃないかな。特典としてライブ音源だったり、ライブDVDを付けるっていうのは、現在ではもうたくさんの人がやっていて、それをやるのも当たり前すぎるかなっていうのを感じていて、サカナクションではその部分も工夫しようと思っています。あと、"ぱっと見が大事" っていうのはあるんですよ。売れそうだったり、お店として売りたいと思わせるミュージシャンになると、お店に入ってすぐの場所(平台)に積まれたり、大きなポップを作ってもらえたりします。しかし、これはメーカーの営業の力も関係してきます。営業の人がお店回りをするときに「これは絶対売れますよ!」と、しっかり伝える力があるところは、ミュージシャンのコーナーを作ってもらえたり、"イニシャル" と呼ぶ初回出荷枚数、つまりCDを出すタイミングで、お店が確保してくれるCDの数が増えます。これはオリコンにも関わってくる部分です。お店は売れ残ったことによる在庫を抱えたくないし、返品もしたくないので、営業が怠慢だと、あまりCDを置いてくれないんです。また、CD自体の見映えというのも大切で、今の時代、僕なら、ジャケットなどをこだわらないアーティストは、CDを売る気がないんだと捉えますね。それぞれ好きなミュージシャンだったり、その人たちの特性を生かしたジャケットだと、「買いたいな」って思いますよね。つまり、ミュージシャン側から積極的にCDを買ってもらう工夫を考えなきゃいけないんだなっていうのが分かりますね。」 それでは今回も、この意見に関してのビクター側の反応を見ていきたいと思います。今回も、音学室に "ビクターボタン" を設置しました。ビクターの、上から50番目に偉い人が「なるほど!」と思ったら分だけ、ボタンを押してもらいます。 「じゃあ、この意見……ビクター的にはどうでしたか?」 「うん。」 「止まった!……これさ、先週満点出しすぎちゃって、出し惜しみしただけでしょ?(笑)」 「満点じゃなかった理由ですが、ビクターの人曰く、この意見は、メーカーとしての基本理念としてあるものだから、比較的予想がついた答えってことですね。僕的にも、メーカー側の意見として、これは解ります。ラジオの申し子ちゃん、ごめんね、満点じゃなくて。意見を送ってきてくれてありがとう。」
「へぇ〜!これは意外!お年玉とか、親戚の家に遊びに行ったときにもらう、お小遣いがあるからかな?でも、聞いたことある話なんですけど、ヴィジュアル系のバンドが、年間スケジュールをライブのときに配って、CDの発売予定日やツアーの予定日程を教えるっていうこともあるみたいです。ファンの子たちはそのスケジュールをもとに、そのバンドのためにお小遣いをやりくりして、そのスケジュールに合わせてお金を貯めるのだそうですよ。……そういうことですよね?お金が入ってくるときにCDをリリースすると買いやすいし、親の給料日の後だと子供はねだりやすい、と。……ほぉ〜。貴重な意見ですね。」 「さてそれでは、この意見、ビクター的には、どうでしょうか……」 「おぉ〜!!」 「ビクター側の意見としては、ここまでは意識していなくて、フェスの時期は、出費がかさむんじゃないかっていうことを意識するそうです。あと、アーティストのいるポジションによっても違っていて、"ついで買い" を狙うっていう方法もあるって聞いたことがあります。例えば、B'zさんの発売日に合わせてリリースすると、B'zさんのCDを買いにお客さんが集まるから、そのついでに買われやすいっていうこともあるんだそうです。メーカーにはそういう戦略もあったりするんですよね。でも、僕にはひとつ知りたいことがあって、メーカーガCDの発売日を選ぶ(決める)一番大きな理由は何なんだろう……?僕たちはいつも、発売日については全部、ビクターにお任せしていますので、どういう風に決めているのか気になりますね。」 この山口先生の疑問について、ビクターの上から50番目に偉い人によると、「一番はオリコンチャートの上位に入りやすい日を狙って設定する」のだそうです。あとは、CDショップは、決算の関係でなかなか仕入れてくれないということもあるので、月末は避けるということもあるのだそう。とはいえ、そのような事が関係なく売れることもあるので、ミュージシャンによる部分も大きいそう。ちなみに、ミュージシャン各自の都合によって、発売日がズレてきたりすることもあるそうです。 「なるほどね〜。この、給料日の後だと買いやすいっていうのはありそうですね。効果がありそうな気がする。でも、ミュージシャンからすると、できれば親にねだってもらったお小遣いで買ってもらうよりも、自分でコツコツ貯めたお小遣いや、アルバイトしたお金でCDを買ってもらいたい、そういうミュージシャンになりたい……と思いますね。気持ちとしては、ですけどね。だけど、メーカーがこういう下世話な戦略をとるっていうのもよくわかりますね(笑) ちょっと、次回取り入れてみようかな(笑)」 という感じで、今回も貴重な意見の数々。本当にありがとうございました。まだまだ紹介したいメッセージがたくさんありますが、先週と今週で、この授業はおしまいです。 「たくさんメッセージが届いていたから、全部紹介したかったし、勉強になったんですけど、とりあえずみんなから送られてきたメッセージはビクターで保管します(笑) しっかりマーケティングした上でサカナクションの今後のCDリリース形態に反映させていきたいなと思っています。本当に宿題提出ありがとうございました。」 さて、それではここで、新しい宿題です! 次の宿題は、小論文……テーマは、こちら! 『 メジャーとインディーのメリット・デメリットについて140文字以内で述べなさい 』 このテーマは、熊本県のきぃちゃんが送ってくれた、サカナクションのレギュラー宿題である「分かったフリのアーティスト用語」に寄せられていた意見で、これは皆さんにも考えて欲しいので、とっておきました。きぃちゃん、ありがとう! 皆さんの意見を140字以内にまとめて、【 こちらから 】送ってきてください。 そして、来週の授業ですが、ヘッドフォンかイヤホンを準備して参加してください。 音の違いを聞き分けてもらう内容になると思います。 そんなに音質のよいものでなくてもいいので、準備お願いします! M 『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』 / サカナクション |