江島「はい、授業を始めますから席に着いて下さい。」
草刈「マンガを読んでいる生徒はマンガをしまいなさい。」
岡崎「Twitterを開いている生徒はTwitterを閉じなさい。」
岩寺「授業が始まりますよ。」
今回のサカナLOCKS!は、サカナクションの「副担任's」4人による授業です。ドラムの江島啓一先生、ベースの草刈愛美先生、キーボードの岡崎英美先生、ギターの岩寺基晴先生、よろしくお願いします!山口一郎先生は「全国音楽教育方針取決委員会 秋の梨狩り大会」に出張で行っているため、お休みです。
江島「ぶどうの次は梨だそうですよ。」
草刈「どこに行ってるの?」
江島「えっとね、千葉県の船橋市まで梨を狩りに行ってますよ。」
岩寺「船橋……?」
草刈「あぁ、梨ね。」
江島「あの、黄色いやつが……。」
岩寺「黄色いピョンピョンした…?(笑)」
草刈「あ、それ、大変じゃない?(笑) 狩るの。」
江島「あれ狩るの、なんかちょっと、デンジャラスな感じするね(笑)。」
草刈「大丈夫かな?(笑)」
江島「あれを狩るっていうのはね。」
岩寺「なんとなく、やっている姿は想像できるけどね。」
江島「写真とか見たいよね、2人のツーショット写真。」
草刈「そうですねー。」
江島「是非ぜひ。梨を待っていようかなと。では、黒板をお願いします。」
ということで今回は、サカナクション先生が顧問を務めるSCHOOL OF LOCK! の部活動『バンド部』の授業をお届けしていきます。[ バンド部掲示板 ]に書き込まれた質問メッセージに4人が答えていきます。
江島「今回は全パートに向けた質問があります。」
■ 自分用の楽器が欲しくて…
バンド部掲示板、初書き込みでいきなりですが質問です! 皆さんは楽器を買うときに、何を1番優先して選びますか? 1.デザイン 2.使いやすさ 3.性能 4.値段
女/16/山形県
江島「4択です。」
全員「うーん……。」
岩寺「音は "性能" に入るってことだよね?」
江島「まあ、性能でしょうね。だからさ、シンセサイザーとかだったら、いろんな音が入っているとか、この音しか出ないとか。そういうのじゃないですか?」
岡崎「そういうの、ありますね。」
江島「じゃあ、各パートずつ聞いてみましょうか。岩寺さんは?」
岩寺「うーん。やっぱりギターってそのギターの音になるので、この4択で言うと性能。音ですよね。」
江島「音が良いか悪いか?」
岩寺「うん。そのギターを使って、そのギターの音しか出せないので、そのギターの音を買うっていう気持ちになりますね。」
江島「じゃあ、あれですか?めちゃめちゃ音が良かったら、ピンク色のギターでも買うんですか?」
岩寺「うわぁ……。それは難しいところだねー……。」
全員「(笑)」
江島「あれー?(笑)それだったら……」
岩寺「ちょっと、ランキング付けさせてよ。」
江島「はいはい。」
岩寺「1位は音だよ。2位は、やっぱり大事なの……デザインって。自分がその楽器に思い入れや愛着を持てなかったら楽しくないもん。」
草刈「あー。」
江島「はいはい、それはそうだね。」
岩寺「自分が持っている楽器がすごく可愛くて、それをずっと弾いているのが楽しくてドキドキするっていう経験が絶対に必要だし、それがプレイにも出ると思うんですよ。愛着が。」
江島「もう、このギターでしかこの音が出せないっていうのが、ピンク……ショッキングピンクだったら……」
草刈「ははは!(笑)」
岩寺「だったら、色を塗り替えたりしたらまた音が変わっちゃうから、それもしたくないし、レコーディング用にします。」
草刈「あー!」
江島「あー、人前に出ない(笑)。」
岩寺「そうそう(笑)。」
草刈「大人だねー。」
江島「でもさ、生徒のみんなは楽器を初めて買うんですよ。そんなに何本も買えるわけじゃないじゃないですか。」
岩寺「そうか。それで言うと、最初は"デザイン"で選んだ方が良いと思いますよ。音は二の次。」
江島「ほう!急に変わったね!」
岩寺「後は値段も大事。安くて、デザインが良いやつを最初は買った方が良い。最初に良いやつ買ったらダメですよ。」
江島「本当に?」
岩寺「うん。悪いやつを知って、悪いやつを何本も何本も経験した上で、良いやつを弾いた時に、「あ、あれと比べて全然良い!」って。「あれと比べると良い音するな。」って経験になるじゃないですか。」
江島「あ、でも、すごい初心者の意見を言わせてもらうと、最初に買った1本が全然音が良くないと、長続きしないと思う。」
岩寺「うーん、その場合はね、"オーバードライブ"っていうエフェクターを買うといいよ。へへへ(笑)。」
全員「(笑)」
草刈「ごまかす?(笑)」
岩寺「それをガッと踏んで、ガッと歪ませて、超楽しい!って。その、楽しいって思える時間が必要だと思うので、ギターに関しては、最初は"デザイン"ですかね。」
江島「じゃあ、ベースは?」
草刈「ベースは、"使いやすさ"ですね。」
江島「使いやすさ。ほう。使いやすさってどういうのがあるの?大きさとか?」
岩寺「重さとか?」
草刈「大きさ、重さ、自分の体に合っているかどうか。」
岩寺「なるほど。」
草刈「ベースは、大きさがありまして、ロングスケール、ショートスケール、3つくらいあるのかな。(※もうひとつは、ミディアムスケール)」
江島「ネックの長さが違うの?」
草刈「そう。ネックの長さが違うの。あれ?ギターもあるよね?」
岩寺「ギターもまあ、あるはあるけど、そこまでベースほど顕著じゃない。」
江島「若干の違い?」
岩寺「そうだね。」
草刈「私は、ミディアムのスケールを買いました、最初。手が小さいので。でも、長く弾けるし、無理せず、楽しめる時間が長くなるし。大きいもので良い音が出るのを無理して買っても、長続きしないと楽しくないと思うので、体に合ったものを。」
岩寺「そうだね。特に女の子だったらね。ベースやるってなったら大きいの買っちゃうと本当に手が届かなくて、弾き辛くて断念するとかっていうのはもったいないもんね。」
草刈「そうなんです。ボディも小さいのにしました、私。軽い物です。最初はね。」
岡崎「重いもんね。」
草刈「重いんです。良い音を求めると、結構重たくなってきて。私もすごく重たいのを買ったんですけど、……ぎっくり腰になりました(笑)。」
江島「あー、そういうのがあんだ!」
岩寺「ははは(笑)。」
江島「それは大変だね。」
草刈「はい、大変です(笑)。なので、体に合った使いやすいものがベースは大事です。」
江島「シンセサイザーはどうっすか?」
岡崎「その選択肢がすごい難しい。……全部欠かせないから。あと、すごい愛着で選んじゃう。愛着っていうか、「あ、これだ!これ、めちゃめちゃ好き!」っていうので選んじゃう。」
草刈「音?見た目?」
岡崎「音と、あと "誰が使ってた" っていうところの。」
全員「あー……!」
岩寺「大事だよねー。」
草刈「それ大事だね。誰が使ってるか。」
岡崎「で、「あれと同じ音を出したい。」とか、「同じ音が出た!」とか、そこで感動っていうか……。それで選んじゃったからね、最初はね(笑)。」
岩寺「でも、最初の動機としては正しいと思うよ、それは。」
江島「憧れから入るっていうね。誰が憧れだったんですか?」
岡崎「バンドに鍵盤が入っているのが許されるのかって。もっとロックっぽいのが好きだったから。だから、レディオヘッド(Radiohead)の鍵盤を弾いている人を見た時に、「アリなんだ……!」ってなったんだよね。」
江島「でも、レディオヘッドって、鍵盤専門の人は居ないよね?」
岡崎「専門ではないんだよね。ギターを弾く人が鍵盤も弾いたり、ボーカルの人がピアノを弾いたりしているけど。」
江島「ヴァン・ヘイレン(Van Halen)の「Jump」的なことでしょ?」
岡崎「そうそう、それも!この音を頑張って作って、この音なんじゃないかって探し当てた時に、感動したね。」
「Jump」
(♪「Jump」イントロが流れて……)
岡崎「わ、これだ!(笑)」
岩寺「うわ、久しぶりに聴いた。」
草刈「きたー。」
岡崎「これね、確かオーバーハイムっていうシンセサイザーだったんですよね。」
江島「これ、ギターのエディ(Edward Van Halen)が弾いてるんだよね。」
岩寺「そうだね。」
岡崎「(この音を見つけたとき) 私、「これだ!」って思って。めっちゃ弾いてたじゃん?なんか。」
江島「あ、弾いてた!」
岡崎「弾いてたでしょ?同じ音が出るっていうのが、シンセサイザーの場合はあったりするんだよね。プリセットっていうのがあるから、この音で作ったんじゃないかっていうのがあったりして。感動するよね。「これだ!」って。」
草刈「感動……。」
江島「じゃあ、5番目の"感動"……。」
岡崎「あ、すいません!選択肢、増やしちゃった。」
全員「(笑)」
江島「感動、憧れ。」
草刈「心が震えるかどうか。」
岡崎「それで選んじゃった……。」
江島「なんか、情熱的だね、ザッキー。」
草刈「エジーは?ドラムって難しそうだね。」
岩寺「そうだね。」
江島「あー……。でもね、僕、ギターの意見と食い違うんですけど、良いもの買った方が良いです。」
岩寺「ほう。」
江島「デザインももちろん。使いやすさに関しては、ドラムにはあんまりないんですよ。もう、太鼓だから。叩くだけなんで。」
草刈「うん。」
江島「音もぶっちゃけね、最初から自分の憧れで買うのもすごい重要なんだけど、ドラムに関して言えば、叩き手が違えば同じ楽器を使っても全然違うから、同じ音にはならないんですよ、絶対。」
岩寺「うーん。」
岡崎「生の楽器ですね。」
江島「これもちょっと、優先順位としてはそんなに高くなくて。まあ……良いの買った方が良いと思うよ。」
岡崎「ん?(笑)」
草刈「え?(笑)」
岩寺「ちょっと無理してでも、頑張ってね。」
江島「俺ね、高校の時に初めてスネアを買ったのを、実はいまだに使ってる。」
草刈「へー!」
岡崎「どれどれ?」
江島「この前の(環)ROY君とのセッションとかで使ったの。あれはもう高1で、アルバイトをして、初めての給料日に買ったスネアを未だに使っているので。」
草刈「おぉ、すごい。」
岩寺「へー……!」
江島「大切に使えば、もう全然。」
岩寺「そうだね。」
江島「それは、8万円ですね。」
草刈「くぅー……。」
岩寺「高校生で8万……!」
江島「1ヶ月分の給料を全部、バンって。」
草刈「頑張ったね。」
江島「でも、未だに使ってるから、8万円分はもう。」
草刈「元とったかなと。」
岡崎「うん、とってる。」
江島「初めてライジングサン(RISING SUN ROCK FESTIVAL in EZO)のテストバンドになったときも、それを持っていって。」
草刈「へぇー!」
江島「だから、思い出が詰まってるんですよ。だから、最初の1台って結構愛着が湧くから。安さだけでは選んで欲しくないな。」
岩寺「そこの妥協はね。あまりにも高いとやっぱり無理だから、自分の手が届くギリギリの範囲で、良いもの、できるだけ良いもの、っていうのを選んで欲しいですね。」
江島「できれば、親に借金とかしないで、自分の。」
草刈「自分の力で。」
江島「そうそう。その方が愛着が湧きやすい。そして、楽器は大事にしてもらいたいですね。」
草刈「はい。そういう基準でした、私たちは。」
江島「じゃあ、次行ってみましょうか……
岩寺「あれ。」
岡崎「あら。」
江島「あー……、しゃべりすぎましたね。」
全員「(笑)」
江島「1個しか読んでないですけど。」
岩寺「まぁ、全員分の答えがあったからね。」
草刈「でも、すごい大事な質問がきたからね。」
江島「うん、大事な部分でしたね。しょうがないです。」
草刈「しょうがないです、はい。」
江島「じゃあ、この辺で。」
岡崎「終りで……(笑)。」
岩寺「またやりましょうよ。」
草刈「はい。」
江島「さて、現在サカナLOCKS!では、先週からスタートした新授業、『サカナLOCKS! presents サカナクションと合唱ライオット supported by カンロ ボイスケアのど飴』に参加してくれる生徒を募集しています。」
草刈「サカナクションの楽曲を合唱で歌って音源を送って来てください。」
江島「大体あれですよ、この4人が。主にモッチと(草刈)姉さんが中心に、大体この4人でやってますよ。」
岩寺「そうだね。」
草刈「オススメの曲、みなさんあります?合唱がメインになっているのは「Aoi」だよね、まず。」
岩寺「うん。」
草刈「一郎君の歌がサビしかソロで聴こえて来ないっていう。」
江島「そうだね。」
草刈「サビすらも、モッチも私も歌っているから。」
岩寺「1曲通して合唱ができるのは良いですよね。」
江島「……あ、聴きたい!」
草刈「聴きたいよね!」
岩寺「楽しみだね、これ。」
江島「でも、自分たちの合唱じゃない合唱が入っているっていうのをすごい聴いてみたいな。」
草刈「聴いてみたいね。泣いちゃうかも(笑)。」
岩寺「うん。」
江島「本当にいっぱい人数がいるとか。」
岩寺「そういう合唱はね、人数が限られているとどうしても……。」
江島「4人だからね。」
草刈「そう。厚みが出ないので。みなさんに練習してもらって、レコーディングに参加していただけると……(笑)。」
岩寺「いいね。あわよくば、ライブも出演してもらえると……」
草刈「あ、ライブも(笑)。出演してもらおう。それ良いよ。ツアー一緒にいこうよ、ね(笑)。」
江島「行こう、行こう。」
全員「(笑)」
江島「楽しみにしています。」
江島「ということで、今回の授業はここまで。音で学ぶ、音を学ぶ、音に学ぶ音学の授業。サカナクションの江島啓一と、」
草刈「草刈愛美と、」
岡崎「岡崎英美と、」
岩寺「岩寺基晴でした。」
副担任'sのみなさん、ありがとうございました!
来週は、山口一郎先生が梨狩りから帰って来て授業をお届けする予定です。
そして、歌うことが好きな生徒の皆さん、ぜひ合唱ライオットに参加してください。
『サカナLOCKS! presents サカナクションと合唱ライオット supported by カンロ ボイスケアのど飴』の特設サイトは[ →コチラ ]!