山口「先生、今日は非常に疲れておる。……新曲が、できたぞ。ふふふ(笑)。」
■ Blu-ray楽しみ!!
タイコクラブの映像か!!!!2分超えたんですか!!!めちゃくちゃ楽しみです!!今までにない目線だしね!
女/18/静岡県
「そうです。7月30日に、サカナクションはLIVE Blu-ray & DVD 『SAKANATRIBE 2014 -LIVE at TOKYO DOME CITY HALL』という映像集を発売するんですが、そこの特典映像に、10代のみんなはまだ行く事ができない、TAICOCLUBの映像が含まれているんだぞ。これね、本当に面白い映像なんで。僕たち先生方の後ろ姿しか見えないけど、お客さんの動きとかが見えるので。楽しみにしていてください。」
「……先生やっぱりちょっと、まだ放心状態だ(笑)。先生は、頑張って制作したぞ!……では、黒板書きます。」
今回の授業は、先日の緊急学級会でも皆さんからの要望が多かった『対談』の授業をお届けします。
山口一郎(以下、一)「では、本日のゲスト講師に登場して頂きましょう。7月30日に発売されるLIVE Blu-ray & DVD『SAKANATRIBE 2014 -LIVE at TOKYO DOME CITY HALL-』の監督を務めてくださった、山口保幸監督です。」
山口保幸(以下、保)「どうもー、山口です。よろしくお願いします。」
一「僕も山口ですー(笑)。よろしくお願いします。今日はダブル山口ですので、僕は監督の事をいつも通り"山口監督"と呼びます。ので、監督は僕の事をいつも通り……」
保「"一郎君"で通させていただきます。混乱しますからね。」
一「よろしくお願いします。ラジオで顔が見えないのでね。よろしくお願いします。まず、監督と僕との出会いは、「ドキュメント」のミュージックビデオですよね。」
保「そうです、そうです。」
一「初めて僕が監督の顔を見たのはSkypeだったんですよね(笑)。」
保「Skypeね(笑)。Skypeで打合わせって、結構……何者?みたいな(笑)。」
一「僕はツアー中で、九州にいたのかな。どうしてもそこでしかスケジュールがとれないから、打合わせをしようって。」
保「初めてSkypeで打合わせをしたよ。」
「そして、Skypeで「ドキュメント」の打合わせをして、出てきた叩き台っていうか、「ドキュメント」のアイディアが、"ストーカーがうちに進入する"っていうアイディアと、"女子高生のスカートの中からiPadが出てくる"っていう(笑)。「これ、どうだ?山口君。」って初対面で言われて。あ、この人ぶっ飛んでんなって思って(笑)。」
保「いきなり爆笑してたよね(笑)。まあ、始めに一郎君が撮っていた写真を使って何かできないかってお願いだったのかな。」
一「そう。僕のiPhoneで撮っていたカメラロールの写真を使って、ドキュメントのミュージックビデオを考えて欲しいってアイディアをだったのに(笑)。「一郎君の家にロープでストーカーが進入してくるっていうのはどうだい」っていうのと、「女子高生が手紙を回すように、スカートの中からiPadを回すっていうのはどうだい」って……全然俺の話が出てきてないやって(笑)。でも、それでもう、全然OKですって(笑)。それが最初の出会いでしたね。」
保「そうですね。」
一「そこから「ドキュメント」を完成させて、その後「僕と花」か。ミュージックビデオの撮影があったんですよね。あれも面白かったですよね。」
保「ユースト(Ustream)で生中継しながらミュージックビデオを作るという……多分、初の試みじゃない?世界的に。」
一「そのまんまですもんね、実際。本当にすごかったですね。」
保「あれも面白かったですね。」
一「面白かったですよね。僕、結構真剣に演技しなきゃダメでしたよね(笑)。」
保「いや、でも、一郎君演技上手いなって思ったよ。」
一「いやいや、やめてくださいよ(笑)。うまくないっすよ。」
保「いや、良い表情してたよ。」
一「ああなったら、本当にやらなきゃダメですからね。」
保「まあね、やるしかないよね。」
一「そこでなんか照れたりした時点で寒いですもんね(笑)。」
保「確かに。そこはやってくれるだろうと思っていました。」
一「そして、「ユリイカ」のミュージックビデオも監督とやらせていただきましたね。」
保「はい。」
一「あれも、すごかったっすねー……。」
保「ははは(笑)。」
一「現場がもう、すごい感じでしたよね。」
保「裸の女性がいっぱいいてね。」
一「いやだって、普通に考えたら……あれ、女性7人でしたっけ?」
保「もう一人くらいいたかな?」
一「女性7〜8人が横になっているところに、僕たちが真剣にカメラ向けたり、僕がなぶったりしていたわけですからね(笑)。」
保「すごい光景だよね、あれ。端から見たらね。」
一「でもあれ、本当にすごいのできましたね。」
保「すごいのできたね。」
一「あれ、どうっすか?周りでの評判とか。」
保「結構みんな絶句してますね(笑)。あちこちで言われますね。」
一「海外での反応もあるみたいですね。YouTubeとか見ていて。」
保「あー、だろうね。」
一「あれは現場で結構いろんなアイディアが決まっていったりして。」
保「結構現場でディスカッションしながらやっていったよね。」
一「最後、"EURIKA"っていう女性で象った文字も、「もっと左!」みたいな(笑)。」
保「あれはもう、全員総掛かりだからね(笑)。想定していたデザイン画と、人間の身体じゃ上手くいかないとかもあったから、結構江島君とかも「こうやったらどうだろうか」とか、みんないろいろ言い出してね(笑)。」
一「あと、これはちょっともう、倫理的にダメなんじゃないかとかね。」
保「あ、そうそう。ちょっと……映ってる!みたいな(笑)。」
一「あはは!(笑)」
「ユリイカ」(MUSIC VIDEO)
一「そんな形でずっとサカナクションと関わってきてくれた山口監督ですが、僕ら以外にも、フリッパーズ・ギターもやってたんですか?」
保「やってましたねー。」
一「へぇー、何の曲ですか?」
保「全部関わってる。」
一「え!そうなんすか。」
保「デビューから解散まで。」
一「えー!じゃあ、小山田(圭吾)さんとかと面識が……」
保「もちろん、もちろん。」
一「そうなんですね!あと、サニーデイ・サービス。」
保「サニーデイも、デビューから解散までやった。」
一「『東京』のアルバムとかも?」
保「うん、全部。」
一「そうなんですね!すごい……!あと、ゆらゆら帝国。」
保「ゆらゆらも、一曲を覗いて全部やってますね(笑)。」
一「うわー(笑)。あの、坂本(慎太郎)さんのソロの、この間の曲もそうですもんね。腹話術使ってるやつ。(「スーパーカルト誕生」)」
保「そうです。」
一「すごいですね〜。あと、ケツメイシ。ケツメイシさんもやってるんですか。」
保「ケツメイシさんも結構やってますね。10曲近くやってますかねー。」
一「そうなんですね。あと、僕とも仲が良い、星野源さんの曲もやってるんですもんね。」
保「はい。星野君もやってます。「夢の外へ」ですね。」
一「それ以外にも、数えきれない程ミュージシャンのミュージックビデオを手がけているわけですけど、ミュージックビデオ以外にも映像を作る事ってあるんですか?」
保「うーん、まあ、でも、音楽を基本にやってますね。テレビの番組とかも音楽を軸にって感じで、たまにコマーシャルとかもやりますけど。」
一「なんか、僕もいろんな映像監督と仕事してきましたけど、みんなほとんど広告とかのCMがメインで、ミュージックビデオはストレス発散の場っていうか、そういう感覚でやられている人が多いんですけど、監督は映像一本、ミュージックビデオが軸なんですね。」
保「うん、なんか、広告がきてもなかなか決まらないんだよね(笑)。問題があるんだね、きっと。」
一「問題がある(笑)。」
保「分かんないんですけどね。なかなか続いて行かないんだよね。」
一「でもなんか、その感じ分かるなー……。監督、ちょっと変態ですもんね。」
保「そう。その辺なのかな(笑)。」
一「だと思いますよ(笑)。僕も映像やってたら監督と同じ感じだったと思う。」
一郎「そんな形でずっと一緒に長くやってきたわけですけど、今回のLIVE Blu-ray & DVDの監督を山口監督にお願いしたわけですが、実は今までの映像作品って大橋陽監督にずっとやってもらっていたんですね。今回なんで山口監督にお願いしたかっていうと、今回は僕らにとって一種の集大成なんですね。大きいライブ会場じゃなくて、小さいライブハウスもあるツアーだったし、旧譜を織り交ぜたり、小さい場所も含めてあんなに細かく回れるなんて最後かもしれないって。そういうライブだったので、ずっと自分たちを制作の側から見てきてくれていた監督にやってもらいたいなっていうのがあって、今回お願いしたんですけど。」
保「今回は、始めはNHKの番組の中でライブを見せようっていう所があって、始めは僕も結構シンプルにやろうかなって思っていたんですよ。でも、ライブのコンセプトを聞いて、"0から100"って、その裏側を見せて行くような作りだったので、それを見せたいなって。そしたら、シンプルから、逆に33カメ(33台のカメラ)くらい必要だなってくらい、急に広がっちゃって(笑)。」
一「ははは(笑)。実際、あの会場には33カメあったんですか?」
保「うん、メンバーを押さえているのは12カメくらいなんです。12とか13とか。スタッフの方が多い(笑)。」
一「ははは(笑)。そうなんですね。客席の中にもカメラを持った人がいたんですもんね。」
保「います、います。客席の中にも2カメくらいいて、ブース周りに10カメくらい入っていて、一人ずつにカメラがついているっていう。」
一「ライブの編集とか撮影とかって、過去には僕ら以外にもいくつもやっていらっしゃるんですか?」
保「うん、それはやってますね。だけど、今回みたいなケースはないですね(笑)。」
一「実際に、今回のライブ映像もそうですけど、BSで放送されたライブ映像も、PAの人のボリュームを触っている手だったり、照明の人の手元だったり、オイルアートの人の手元だったり、レーザーの人の手元だったり……スタッフの人とかもたくさん撮影したわけじゃないですか。それをライブに混ぜてひとつの作品を作るっていうのって、相当大変だったというか、難しかったと思うんですけど、実際に編集を終えて、どうですかね?まだ客観視できてないと思うんですけど(笑)。どうでした?」
保「まずその、演奏するフロントワークと、オペレーションバックワークを共存させながら、かつ音楽的ビジュアル的に見せていくってところが、なかなか匙加減が難しいところかなって。面白い所でしたね。それをBlu-rayとかで、マルチアングルでぽっと切り替えるとオペレーションが出るとか、そういうことではなく、あくまでこっち側が、音楽映像の表現としてみせたかったので、スタッフワークも含めて映像的にかっこいいものにしたいなっていうところで苦心しましたね。まあ、通常ライブ映像だったら、ひとつの画質とかトーンを決めたらそれを通しでやるんですけど、一郎君が"0から100"っていうのを映像にも落とし込みたいっていうのがあったから。「モノクロからいつの間にかとんでもない画質になっていく」とか、そういうことをずっと言っていたじゃない?」
一「そういうのもありました。こんなに変化して大丈夫かなっていうのが心配でしたけど、実際やってみて大丈夫でしたね。」
保「うん。テレビだと、放送基準があるから無理なんだけど、ああいうBlu-rayやDVDは基準がないので。その辺は自由の範囲が結構あるんですよね。あとは、一郎君がまたそこを輪をかけて(笑)、いろいろ面白い事を言ってくるから。」
一「ははは(笑)。途中で、「モノクロトウキョー」の時に、一回猫の映像を入れようって(笑)。」
保「あ、あった!ありましたね(笑)。」
一「いきなりバーって引き込んでいって、歌詞に沿って猫が出てきたら面白いんじゃないかとかね。」
保「そうですね。どんどん作りながら、話しながら、また発展していって。」
一「いやー、もう、面白いっすね。あっという間に時間になってしまいました。まだまだ山口監督とはお話ししていきたいので、また来週も是非お越し下さい。」
保「はい。よろしくお願いします。」