「サカナLOCKS! 最終回。山口一郎先生から生徒の君へ。」

SCHOOL OF LOCK!


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聴取期限 2023年10月6日(金)PM 10:00まで




(音学室で職員と談笑している)

職員(カヲル先生)「……ははは!(笑) もうやっちゃうのかい?」

山口「終わる?……11年半やってたラジオ終わるって……すごいっすね。」

職員「終わるんだね。」

山口「11年半の中で何枚アルバム出したんだ、みたいな(笑)。」

職員「(笑)」

山口「多分SCHOOL OF LOCK!の講師陣の中で……(♪チーン)……あれ?なんでチーンっていうんだろう?(笑)」

職員「Apple Watchかな?(笑)」

山口「Apple Watchかな?」

職員「ただ、ちょうど何枚アルバム出したんだろうっていうオチのところでチーンって鳴ってるから……」

(♪効果音が鳴る"チーン!")

職員「これこれ(笑)。」

山口「わはははは!!(爆笑)」

職員「この音使いだったから、Apple Watch気きかせてるよ、だいぶ。」

山口「そういうことか(笑)。俺SCHOOL OF LOCK!の中で在籍期間長いけどリリース数いちばん少ないと思う(笑)。」

(♪効果音が鳴る "チーン!")

職員「"(アルバム)÷(在籍数)" で換算したら確実に少ないね!(笑)」

山口「ふふふ(笑)。」


山口「……なんかね、最終回だからいろいろぶっちゃけるけど、ほんとサカナLOCKS!やってよかったなって思ったのは、若い人……自分は元々若かったわけじゃないですか。歳をとって、自分がベテランになるまでの、デビューしてからの自分がここにいるまでの期間って、音楽史にとってもすごい時期だったなって今振り返るんですよ。例えば、我々の時はCD出て、MD出て、ダウンロードできて、サブスクリプションできて、YouTubeでミュージックビデオ無料で観れて……すごい変化じゃないですか、アウトプットが。とんでもない変化じゃないですか。その時期に自分ミュージシャンやってたんですよ。それって、自分がイメージしている若い人たちっていうのが、自分が知らないツールをいっぱい使い始めてる時だったんですよ。SNSだったり、サブスクリプションだったりを使い始めた時だったから、一緒になって使っていたわけじゃないですか。同じ時期に。その時にサカナLOCKS!で、みんなが感じていることだったり、リアクションしたりしていることだったり、何に悩んでいるのかとか……僕はめちゃめちゃ吸収できたんですよ。その雰囲気を。今の若い人たちの雰囲気をこのサカナLOCKS!ないしSCHOOL OF LOCK!で体験できた。本当に僕にとっては大きかったと思うし、こういう時代の中であがいていたミュージシャンがいたんだっていうことをこのSCHOOL OF LOCK!の中で残せたっていうのは自分のとって良かったなって。(そういう姿を)見せられたっていうのは良かったなって、今振り返ると思います。」


山口「ただ、何を与えられたかっていうのはよく分かんないんだよね。「グッドバイ」の時にさ……曲ができた時に自分の心境だったりを語ったりしたじゃない。ああいうのとかさ。ずっと聴いてきている人は、いちミュージシャンのドキュメンタリーをラジオで覗き見れたって思ったりしていると思うけど。……何を渡せたかどうかは分かんないし、この後の自分の次のサカナクションに向かっていくストーリーだったり結果で、みんなに残せたらいいなというか……伝えられたらいいなって思ってるけどね。」


山口「…………雑談、始めます?(笑)」

職員「今もう、完全に1回番組終わったわ!(笑)」

山口「あははははは!!(爆笑)」

職員「始めようっていうトークで終わった。引退した、1回完全に(笑)。」

山口「引退したかな?(笑)」


SCHOOL OF LOCK!


(♪ チャイムの音)

山口「はい、最後の授業を始めますから席に着いてください。X(Twitter)を開いている生徒はXを一度閉じなさい。Instagramを開いている人はサカナLOCKS!のインスタアカウント(@sakanalocks_official)をフォローしなさい、授業が始まりますよ。」


「(大きく息を吸って……)サカナクションの山口一郎です。さて、2012年4月より11年半続いたこのサカナLOCKS!でございますが、本日をもちまして終了いたします。最終回でございます。皆さんへのメッセージを黒板に書きまして、ここから立ち去ろうと思います!ふふふ(笑)。」


「……正直ね、途中でそろそろ引退してもいいかなっていうか、サカナLOCKS!を降りてもいいかなって思った時期も実はありました。ビクターのサカナクション担当の山上さんとかに、自分がサカナLOCKS!で届けられるものは何なんだろうみたいなことを相談していた時も実はあったんです。でもその時思いとどまったのは、さっきも冒頭で話したけど、新しいものがどんどん生まれていく時代に自分はミュージシャンでいられて、それを使いこなしていく中で、若い世代、自分とは違う世代の人たちの考え方であったり、気持ちみたいなものを吸収できる場……自分として吸収して、それを音楽としてアウトプットできる場として、SCHOOL OF LOCK!、サカナLOCKS!ってすごい大切な存在なんだよねっていうのを確認したりしていたんです。」


「でも、結果的にサカナLOCKS!を辞めることになった決め手は、新しいツールがたくさん出てきた中で、ラジオという中でミュージシャンが届けられるものと、自分が持っているツール……SNSだったりのツールで届けられるものがちょっと似てきたなって思っちゃったんですよ。届けられるものが。もちろん、音楽をかけられるとかラジオのメリットもあるし、自分のSNSで発信できるものの種類もいろいろあるけど、少なくともサカナLOCKS!の中で届けられるものっていうのは自分のようなベテランのミュージシャンじゃなくて、若いミュージシャン、同じ目線のミュージシャンが届けてくれる方がリスナーにとっていいなと思ったし、自分にとっても良い結果になるんじゃないかなっていうことを思って、自ら降板させていただくことになったんです。自分はたくさんのものをいただいたので、サカナLOCKS!終了後も、皆さんにサカナクションの音楽を届けていけたらなと。皆さんがいいなと思うものを届けられたらいいなと思っております。」


「本当に11年半ありがとうございました、皆さん。生徒の皆さん、ありがとうございました。SCHOOL OF LOCK!の皆さま、ありがとうございました。本当はね、療養していく姿とかもラジオで感じてもらいたいなって思ったんですけど、タイミングとしてここが一番最適じゃないかなと思い、立ち去る決意をしました。……はい、ということでね……」

(黒板に手をかけて)

「……本当に最後だよ、みんな。でもね……あの……まだ話し足りないんだけど、"ちょっとお茶目ないっくんくん"みたいなのがここ5〜6年登場したじゃない。あの初回放送の俺の声を聞いたら分かるでしょ?」

(♪ 「サカナLOCKS!」初回の授業が流れる)


『はい、それでは授業を始めますので席に着いてください。それでは黒板を読み上げます。"音楽"。僕は今、黒板に "音を学ぶ" と書きました。音を学ぶで、 "音学"。これはこの時間の授業の科目であり、僕が担当する授業になります。』


「わははは!(爆笑)……はははは!!!……硬っっ!これがだよ?この11年半前は、こんな岩石芋みたいなカチコチなミュージシャンだったわけよ、私。このサカナLOCKS!を11年半やったらこう!」

はーい!どうもー!サカナクションの山口一郎っすーっ!!テッテレー!

「(笑)……って、全国放送で言えるようになってるわけよ。そのおかげでね、俺は「新宝島」が生まれたと思っているんですよ。あのコミカルな部分をサカナクションで出してもいいよねって思えたのは、サカナLOCKS!で自分の生み出した、すごく楽な"いっくんくんキャラ"を……事務所の社長の野村さんに反対されながらも(笑)、やってきたわけ。だから、サカナLOCKS!で本当に変われたっていうことも、それがサカナクションに結びついたっていう現実を生徒の皆さんにも伝えたいし、僕自身も本当に皆さんに感謝しております。」


「ということでね、最後にメッセージを書いてお別れしたいと思います。……お別れっていうか……え、生放送教室に呼んでくれるでしょ、ゲストで。」

(♪効果音が鳴る "チーン!")

山口「……あれ?……え?永遠にお別れ?」

(職員「呼ぶ、呼ぶ!(笑)」)

山口「呼ぶ?呼んでくれます?(笑)……あ、呼んでくれるならよかった。だから別に俺寂しくないもんね。ただね、これだけは言いたい。最後に……っていうか、何度も言ってるけど。本当にこのサカナLOCKS!のチーム、カヲル先生、ヘルツ先生、デミちゃん、カメラマンの樋口くん。このみんなに出会えたっていうのは、本当に自分の人生の宝物です。今後も帰って来られるように頑張りたいと思います。じゃあ……」

(黒板に向かって)

「……何書くか全く考えてなかった。そうね……最後だもんね……うーん。」

「……ま、これかな。やっぱり。どう考えてもこれだな。僕の信念ですけど、これを10代の皆さんに伝えたいと思います。僕が常日頃言っている言葉ではあるんだけど……」


SCHOOL OF LOCK!

"変わらないまま変わる"


「10代の皆さんに僕がミュージシャンとして伝えたいことっていうのはたくさんあるんですけど、でも、自分はミュージシャンなので、音楽でこれからちゃんと伝えていけたらいいなと思いますが、この場で皆さんに何か伝えられることがあるとすると……自分は本当にこのSCHOOL OF LOCK!を経て変わることができました。でも……ここにいるサカナLOCKS!のチームの皆さんは感じてもらえているかもしれませんが、変化はしているけど、変わらない部分は変わってないっていう風に思っているんです。その変わらない部分を自分の中でどれくらい担保できるか、そして、変わっていくことにどれくらい勇気を持てるか……そのバランスを常に意識していましたし、このサカナLOCKS!でそれを得ることができました。皆さんもこれから……聴いてくれている10代も含めていろんな年齢の方、いろんな人がいると思いますけど、変わることを怖がらないでほしいなと思います。結局、変わるから。ただ、変わらない部分が自分に必ずあると、どこを変えないかっていうのを自分の中で見定める……それが大人になっていくことなのかなと、僕はなんか……まだ人生半ばですけど、そう、今思っています。これが正しいかどうかは分かんないけど、僕は今そう思っています。なので、皆さんもこれから社会に出たり、学校が変わったりすることがあると思いますけど、変わることを恐れずに。今聴いている好きな曲も、絶対変わるから。いろんな曲を好きになるし、いろんなミュージシャンをこれからも好きになると思う。もっと時代が進化して、音楽の受け取り方も変わるかもしれないし、聴き方も変わるかもしれない。それでも必ず皆さんの近くには音楽があると思うし、新しい環境で自分を支えてくれる音楽が見つかると思います。だから、恐れずに。変化を恐れずに、音楽と共に、成長していっていただけたらと思います。自分もミュージシャンとしてそこにちゃんと加担していけるように、向き合っていきたいと思います。皆さん本当に、11年半、ありがとうございました。」


山口「……なんか、終わるね(笑)。ふふふ(笑)。……あれ?これ、あれなのかな?本当に終わるんだよね?……でも俺、校長になりたいんだよ!SCHOOL OF LOCK!の。こもりくんの後釜を。……どうっすか?俺、校長できると思う?」

(職員「スケジュール次第。」)

山口「ははは!(笑)……俺、もうミュージシャン辞めてラジオDJになるかな(笑)。」

(♪「ナイトフィッシングイズグッド」が流れはじめる)

山口「うはははは!(爆笑) 強制的に(笑)。」




山口「……いやー、でも皆さん、ありがとうございました!楽しく11年半をミュージシャン人生を過ごしながら、このSCHOOL OF LOCK!内のサカナLOCKS!で皆さんとコミュニケーションを取らせていただきまして勉強になりました。本当にありがとうございました。では皆さん、またいつか……いや別に、バンド辞めるわけでもなく居なくなるわけじゃないから。……初めてだからさ、こういう風に番組終わるのを話すのが、俺。だからよく分かんないんだけど……何を伝えたら良いかも分かんないしさ。何を言ったら良いか分かんないんだけど……お別れの言葉は何がいいのかな……では皆さま、本当にこれが最後でございます。サカナLOCKS!、終了いたします。僕の後を担当するミュージシャンの授業も楽しみにしていてください。ということで、今回の授業はここまで。音で学ぶ、音を学ぶ、音に学ぶ "音学"の授業、サカナクションの山口一郎でした!校長、教頭……ありがとうございました!元気で。みんな、バイバーイ!……ふふふ(笑)。」


SCHOOL OF LOCK!











































































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