「開催直前『NF#15 NF1ROOM』を一郎先生が解説していくぞ!」

SCHOOL OF LOCK!


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聴取期限 2023年6月9日(金)PM 10:00まで




音を学ぶ "音学" の授業、サカナLOCKS!。
今回は、サカナクション先生が今月から開催するイベント『NF#15 NF1ROOM』について、山口一郎先生が詳しく解説していきます。

NF#15 NF1ROOM


まずは授業前の雑談から。

山口「最近僕、YouTubeで生配信やってるって言ってたじゃないですか。」

職員(カヲル先生)「うん。」

山口「対談した中学校3年生の男の子が、八景島シーパラダイスで5年前に聞いた曲を見つけられないから探してほしいっていう……」

職員「うん(笑)。ふふふ(笑)。」

山口「ヒントが鼻歌のみで、オープニングがドン、ドン、ドン……っていう感じで、サビのメロディーのおしりがこんな感じで……みたいな、すげえヒント少なかったんですよ。それをチャット欄でいろいろ意見を集めたりとか、八景島シーパラダイスに直接電話して、その当時プレイリストを作っていた人は誰ですかって聞いたりとか、いろいろやったんですよ。当時プレイリストを考えていた人っていうのは分かんなかったんです、八景島シーパラダイス側も。で、チャット欄でこのミュージシャンかな、このミュージシャンかなっていって、昨今の八景島シーパラダイスのプレイリストが残ってるんで、それを参考に、その辺の曲を聴いてみてねって言ってたんですよ。そしたらこの間彼からDMがきて、『ついに見つけました!i-depの曲でした!』って(笑)。」

職員「えー!」

山口「チャット欄っていうか……凄すぎないですか?みんな。鼻歌のメロディーからそこに辿り着くってすげーなと思って。」

職員「人間のAIみたいな感じっすよね。」

山口「そうそう。人間AIだなって。ただこれAIではこの感動ないよなと思って。AIだったら一瞬で見つかるじゃないですか、パッと。でもなんかこう……うねうね苦労して見つけた答えと、AIがパッと出した答えって、同じ答えでも質量が違うなと思って。」

職員「いやー、そうだね。」


山口「昨今ChatGPTとか、あとイラストを作るマシンとかあるじゃないですか。俺、それ全然否定しないんですけど……自分はミュージシャンなので音楽のことしか分からないんですが、なんか今の時代の音楽って、リアリティみたいなものがどんどんその欠如していってる気がするんですよ。どんな人物がどんな気持ちを込めてこの曲を作って、どんな想いがあるのか……そこを秘匿して音楽の一側面しか見せていないブランディングの塊のような気がするんですよね。だからなんか感動しにくいというか、流行っても一瞬で廃れるっていうか。一過性のものが多い気がするんですよ。」

職員「あー、そうね。」

山口「僕、YouTubeの配信ってリハビリのためにやってきてたたけど、これってドキュメンタリー見せてんだなと思って。曲が生まれるまでの前振りっていうか。こんな生活をして、こんなことを考えて、人とはこんなことを話してる人が、こういう曲を作ってますって……ポンと生まれる答えというか。なんかそれってラジオでぱっと流れてきていい曲だなって思うっていうだけじゃなくて、その過程を知ってるから、この曲の意味がもっと深く伝わるんだ……みたいな。今まで音専誌とか音楽メディアからしか知れなかったところが、本人のメディアからより詳細に分かった状態で曲が生まれるっていう。曲が生まれてからその過程を雑誌で知るんじゃなくて、事前に知ってるっていう……これって新しい音楽の聴かれ方というか、手に入れられ方な気がするんですよね。だからやってて間違いじゃないなっていう確信がちょっと最近出てきましたね。」

職員「今やってる配信とかがさ、いずれ自分の音楽に紐づいていくなっていう道筋みたいなのは、うっすらとでも見えていたりするの?」

山口「ひとりひとりとの会話がこの曲になるなっていうのはないんですけど、習慣になっているじゃないですか、配信が。その習慣が自分を作っていくから。そういう意味では絶対影響あるだろうなと思います。」

職員「楽しみだね。」

山口「そう、楽しみなんですよ、どう受け取られるのか。頑張りますわ。」


山口「はい、授業始めますから席についてください。Twitterを開いている生徒はTwitterを一度閉じなさい。Instagramを開いてる人は、サカナLOCKS!のインスタアカウント(@sakanalocks_official)をフォローしなさい。授業が始まりますよ。」

「今回は、今月から開催される『NF#15 NF1ROOM』についてお話ししていきたいと思います。この6月から、東京、札幌、福岡、大阪、名古屋で開催されます。この『NF』って何かというと、"Night Fishing"の略でNFなんですね。直訳すると"夜釣り"っていうことになるんですけど……私、サカナクションというバンド名をつけるぐらいですから、釣りが好きなんですよ。釣りってどういう遊びかっていうと、魚の生態を調べて、その魚がどんなものを食べていて、どこにいるのかっていうのを探す遊びなんですね。音楽も僕は探す遊びだと思っていて。いつも聴く音楽って偏ったりしてません?例えばJ-POPとか、J-ROCKとか、決まった範囲でしか聴いてなかったりするじゃない。でも、僕ら音楽を仕事にしてるミュージシャンからすると、ダンスミュージックもあり、エクスペリメントミュージックもあり、オルタナティブもあり、テクノもあり……いろんなジャンルの音楽を、洋楽邦楽問わずインプットしてきて、それでアウトプットしてるんですね。その背景みたいなものがいろいろあるわけですよ。ルーツミュージックっていう言葉もある通り、僕らが生み出す音楽には必ずルーツがあるんです。なので、音楽っていうものを探す遊びとして体験してもらえるようにするにはどうしたらいいのかなっていうのを、音楽に関わる僕らの仲間……音楽に関わる音楽以外の仕事をしている人たちと共に、そういうのを発信していこうというのが『NF』の始まりでした。その一環として、ダンスミュージックの楽しみ方、ライブハウスではなくて、クラブでの遊び方っていうのをみんなに体験してもらおうっていうので始まったのが『NF』というイベントなんです。」

「みんなクラブって聞いたら、どう?やっぱちょっと怖いとか、ナンパがすごいとか、フロアの床にゴミがいっぱい落ちてるとか……怖いイメージありますよね?もちろんそういうクラブも世の中にはいっぱいあります。だけど、ダンスミュージックを純粋に楽しむっていうことを、ライブハウスでライブを普段楽しんでる人たちも体験してほしいなって先生は思ってます。なんでかっていうと、先生も札幌のPrecious Hallという伝説のクラブがあるんですけど、そのPrecious Hallで、深夜バイト終わった後に朝までそこにいて、いろんな人と交流して、いろんな人生の経験を積んだし、そこで流れてくる音楽に感動して、ライブハウスとクラブ遊び方の違いっていうものに自分は共感した上で、サカナクションっていうバンドを作り上げてきたからです。」

「今昨の日本では、そのクラブミュージックというシーンがすごい衰退してきていて、なかなかたくさん人が入るという箱がないように思われます。でも世界的には、アリーナクラスの大きい箱で、クラブミュージックのミュージシャンがオールナイトでイベントをやったりだとか、みんながストレスを発散するために、クラブで踊るという行為をしているにもかかわらず、日本ではそういうシーンがちょっとずつ……風営法の問題とかもあるんですけど、衰退していってるような気がするんですね。なので、サカナクションというミュージシャンとして、日本におけるクラブミュージックのシーンを衰退させないためにも、クラブミュージックのイベントをやっていこうという思惑で『NF』というのを開催してます。」

「ずっとやってきたんだけど、コロナ禍で一旦ストップしていて。今年からまたスタートし始めました。今回15回目ということなんですけども、"NF1ROOM"というテーマで、全国5都市で開催することになりました。先生も今療養中なので、なかなか外に出て人前に立つっていう機会が少なくて、いきなりそういう場に立つとちょっとドキドキしちゃうから、『NF』というイベントで人前に立つことにちょっと慣れたい。リハビリも兼ねて全国でやってみようということになっています。今回はすべて24時スタートのイベントなんですね。なので10代の生徒は見に来ることができないんですけど、その代わりにストリーミング配信というのがあるんですね。12時から朝5時までストリーミング配信して、かつアーカイブも見れますので、自分が好きな時間に見直すこともできます。」

「歌ったり、楽器を演奏したり……分かりやすくギターを弾いたり、ベースを弾いたり、ドラムを叩いたりするようなイベントではないんです。CDJっていうものを使ってDJが曲をどんどん繋いでいったり、コンピュータを使って音楽を制作して発信したりとか、ちょっと普通のライブとは違うんで、どこを見たらいいか分からなくなったりすると思うんですけど、流れてくる音楽は確実に本物のものなので、体験してみたいという生徒は、是非ストリーミング配信を観てもらえたらなと思います。」

「フェスでいうラインナップみたいなものも、この『NF』っていうイベントにあります。まずは、全公演に僕がDJとして出演するのと、あとNFという僕が作っているチームのクルーである青山翔太郎くんが出演します。青山翔太郎くんってどういう人かっていうと、ずっと僕と一緒にNFを作ってきた人なんだけど、元々、音楽のプロモーターだったんですよ。よくこのサカナLOCKS!のプロモーターの授業ってやったりしているじゃないですか。ミュージシャンを宣伝する仕事をしていた人で、プロモーターからMaison Kitsunéというファッションブランドの方に転職して、ずっとパリにいた人です。その後、1LDKというセレクトショップのパリ店の立ち上げとか、自分でバックのブランドを作ったりだとか、ファッション側の方にも精通してた人で、またNFに入ってくれたことで音楽に戻ってきてる。自分でトラックを作って、サブスクリプションにも青山翔太郎(Shōtaro Aoyama)で曲が出てるんで、是非聞いてもらえたら嬉しいです。ファッションと音楽、双方をやってきた人ですね。彼が今NFを取り仕切って僕の代わりにやってくれている人なんですけど、彼もDJで出演いたします。海外の気分を味わいたい生徒とかは、青山くんのDJとかも注目してもらえたら嬉しいなと思います。」

「配信が行われるのは6月10日のLIQUIDROOMだけなんですけど、そこではサカナクションのドラムである江島啓一であったり、Rhizomatiksというテックチームの真鍋大度先生も出演しますよ。江島がDJをいつ帰り始めたかっていうと、あいつは結構最近で、僕はNFをやり始めた頃にDJやれよってずっと言ってたんだけど、頑なにやらないって言ってたのが、いつの間にかやり始めたっていう。でも、いいDJで、ミニマルテクノっていうジャンルを主にやるのかな。なのでちょっとストイックなDJになるんじゃないかと思います。」

「真鍋さんに関しては、ドラムンベースであったりだとか、ヒップホップ……チルヒップホップみたいな。いろんなジャンルをやるDJですね。でも基本的に真鍋さんは自分の曲を流したりもするので、ライブとDJが混ざったりしてるような感じです。」

「ライブとDJの違いっていうのは……みんなが思うライブって、バンドで『行くぞー!』っていうのもライブだけど、自分の曲を流す……PCを使ったり機材を使って、歌が入ってない曲でも、自分で作ったトラックを再生するっていうのがライブで、人が作った曲を繋いで流すのがDJっていう感覚ですね。このNFのイベントでは、DJとライブの違いって一体何なのかっていうのが一見すると分かりにくいんだけど、よーく見ると分かります。その辺を楽しんでいただけたらと思います。」

「6月17日に、札幌Sound lab moleで行われるNFには、Kuniyuki Takahashiさん……高橋邦幸さんが出演いたします。邦幸さんは世界で活躍するミュージシャンで、グローバルですごく有名なミュージシャンです。ドイツのすごく大きい有名なクラブがあるんですけど、そこでも人を集めてしまう。日本でよりも海外の方がファンが多いんじゃないかなと思う人です。先生が札幌にいたときからずっと活躍された方で、まさか自分が邦幸さんと一緒にイベントをやったりするようなことになるなんて思ってもいなかったですし、サカナクションのリミックスも担当してくださってます。」

「6月23日、福岡のBEAT STATIONには、ゲストとしてYonYon先生が登場します。YonYonは福岡在住で福岡で活躍してるんですけど、彼女も非常に素晴らしいミュージシャンで、ダンスミュージックとポップスを融合して、いろんなファンをクラブシーンに連れ込もうとしている素晴らしいミュージシャンですね。自分のYouTubeやInstagramとかでもそういった配信でクラブミュージックとは何かとか、DJとは何かみたいなことをやったりとかしていて、非常に尊敬しているミュージシャンです。彼女のオリジナルの曲ではDJ中に歌ったりもするので、分かりやすいんじゃないかなと思います。リリースもしてるので、是非YonYonちゃん、聴いてみてください。」

「7月8日、名古屋のCLUB MAGOには、ゲストとして江島(啓一)先生が登場します。江島はミニマルテクノっていうジャンルがすごく好きで、起伏が少ない同じグルーヴが続いていく中で人をどんどん躍らせていくっていうスタイルなんだけど、NFの時には少し分かりやすく起伏のある曲をかけたりもします。江島もNFで欠かせないDJの1人ですね。ぜひ名古屋の方は聴きに来てもらえたらと思います。」

「7月23日のCIRCUS Osakaには、ゲストとしてSAMO先生が登場します。SAMO先生は若い女の子DJで、僕らも初めてNFに呼びました。すごいパワフルなDJする女の子で、聴きに来てもらえたら楽しんでもらえるんじゃないかなと思います。非常に期待している若手のニューカマーDJですね。」

「最後に、『NF』に来る皆さんに一言お伝えしたいんですが、ライブとは違って『NF』はダンスミュージックのクラブとしてのイベントです。なので、自分から踊りに行かないと、楽しもうとしないとなかなか楽しめないイベントかもしれません。ただ、そこにいる人たちはみんな音楽が好きな人たちで、その空間を楽しもうとしている人たちの集合体です。だから、積極的に自分のステップで踊ったり、ただずっと踊らずに聴き入ることも、それはそれで構いません。自分が楽しみたいように、そのイベントを楽しんでもらえたら嬉しいなと思います。すごくピースフルなイベントで、クラブの怖いイメージみたいなのは比較的少ないイベントだと先生は思っています。なので、お酒を飲める方はお酒を飲みながら、大きい音で流れるDJと、それを楽しむ人たちを見ながら、一緒に空気を楽しんでもらえたら嬉しいですし、お酒を飲めない方は、音に対して集中して、こんな空間でこういうことが行われているんだっていうのを体験してもらえたら嬉しいなと思います。」

「配信の方も、イベント自体が5時間で、5時間インスト曲が流れ続けるので、例えば勉強するときに聴く用のトラックとしてアーカイブを聴くっていうのもありですし、主婦の方とかだったら家事をしながらとか、仕事の通勤中に聴いたりだとか、アーカイブでも聴けるんでね、是非。オンラインチケットは1500円で安いんで、購入して、観て聴いていただけたらと思います。」


そろそろ今回の授業も終了の時間になりました。

「日本のクラブミュージックシーンっていうのは歴史があります。電気グルーヴ先生が日本のクラブミュージックシーンに大きな影響を与えたと先生は思ってるし、サカナクションがある程度ちゃんと道筋を作って次の世代にバトンしたいなと思って頑張ってやてきましたが、コロナも明けたんでね、これから本格的にNFというイベントもやっていきたいと思っていまうすので、興味のある方は足を運んでもらえたらと思います。今日はね、ちょっと真面目な話というか……『NF』って何なのっていうのを説明した回になったんですけど。いろんな楽しみ方があるんですよ、音楽には。それをいろいろ経験してみた上で好きが嫌いか判断してみるのもいいんじゃないかなと先生は思います。ピースフルな空間なので、興味のある方は足を運んでいただきと思います。」

『NF#15 NF1ROOM』特設ページ

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