聴取期限 2023年6月2日(金)PM 10:00まで
音を学ぶ "音学" の授業、サカナLOCKS!。
今回は、何かのマイノリティであると感じている生徒と話していく授業、『マイノリティ相談室』です。中学・高校と6年間、男子校に通っているという生徒からの相談に乗っていきます。
山口「はい、授業始めますから席についてください。Twitterを開いている生徒はTwitterを一度閉じなさい。Instagramを開いてる人は、サカナLOCKS!のインスタアカウント(@sakanalocks_official)をフォローしなさい。授業が始まりますよ。さて今夜は、自分が何か社会的にマイノリティであると感じている生徒と話をしていく『マイノリティ相談室』の授業をお届けします。」
男子校の生徒会長をしている高校3年生です。
男子校は年々減少しているので、マイノリティ相談を選びました。
そんな私は中高一貫だったので、今年で6年目になります。
また大学で工学部を専攻しているので、これから合わせて10年間以上まともに女子と話すことがないかもしれません。
そんなことに焦りを感じているため送ってみました。
神奈川/18歳/男性
山口「調べてみましたところ、男子校というのは高校全体の%しかないそうです。僕らの世代では、男子校って結構あったようなイメージがあるんですけど、減ったんですね。共学になっていってるんだ、どんどん。それでは早速お話していこうかなと思います。」
山口「こんばんは、サカナクションの山口一郎です。」
ヱイネモ「こんばんは、ヱイネモと申します。」
山口「ヱイネモくんは中学からってことは、もう6年間男子校ってこと?」
ヱイネモ「そうですね。6年間ずっと男子だけの環境で青春を過ごしてきまし
た。」
山口「ははは(笑)。本当に周りに全く女子いないの?」
ヱイネモ「そうなんです。唯一女性といえば、保健室の先生だったり、あとは数学とか理科の科学の先生だったり。」
山口「ヱイネモの周りでさ、女子と付き合ってる男子っているの?」
ヱイネモ「小学校の時に付き合ってそのまま長く付き合ってる子もいますし、あとは女子高の文化祭とかのパイプを持ってる人がいるので(笑)。女子高で勇気出して声かけて仲良くなって、そこから付き合うっていうケースも聞いたことあります。」
山口「ほー。ちなみに、ヱイネモはそういう繋がりはないんだ?」
ヱイネモ「僕一応生徒会長なんですけど、生徒会で学園祭とか文化祭のチケットというか、招待が来るんですよ。それで行けるから、みんなで喜んだと思ったら、コロナ禍がきてしまって。そこから何もないっていう状態です。」
山口「うわー、それ厳ちいなー。」
ヱイネモ「厳しかったです。」
山口「ちなみに大学には進学する予定なんだよね?」
ヱイネモ「はい。志望してるのが、理系の工学系なので……」
山口「工学系かー(笑)。」
ヱイネモ「それで、インターネットで男女比とかも調べてみたら、工学部の大体の割合が、男子8割で女子が2割。多いところだる男子が9割で女子が1割という。ほぼ男子校の状態です。」
山口「あー、そう言うね。でもさ、逆に考えれば、いきなり男子2割女子8割の大学行くよりよくね?一旦、女子2割、女子1割のパーセンテージを挟んでから社会に出る方が、ちょっとまだ何か、段階踏めるんじゃない?」
ヱイネモ「あー。」
山口「ヱイネモの相談としては、女子への免疫をどうやってつけたいかってこと?」
ヱイネモ「そうなんです。」
山口「でもさ、今、何のあれもなく言うけど、ヱイネモイケメンじゃん。」
ヱイネモ「本当ですか?」
山口「いや、超イケメンだよ、マジで。」
ヱイネモ「ありがとうございます。」
山口「普通にしてれば女子からくんじゃね?変に意識しなければ、向こうから来ると思うよ。」
ヱイネモ「でも6年間男子校で、結構歪んでるので……自分自身が。」
山口「じゃあ、バイトするとかどう?飲食店とか、女子が働いてるところとかでバイトしてみて、そこでコミュニケーションしてみるっていうのは1個手かもしれないよ。」
ヱイネモ「一郎さんはバイトとか何されてましたか?」
山口「俺いろいろやってたよ。イベントのスタッフもやったし、飲食店もやったし、あとゴミの清掃とか。」
ヱイネモ「その中で女子が多いなって感じたバイトとかありますか?」
山口「HMVのレコードショップ、CDショップでアルバイトしたときは、スタッフは女子多かったよ。でもあんまり意識しない方がいいと思うんだよね、男性も女性も。意識しちゃうと思うけど、いつも男性友達と話してるのと同じノリで女子と話していけば……常に自分をフラットに保つっていうのが大事だと思うよ。」
ヱイネモ「はい。」
山口「なんか女子になったからいきなり奥歯噛み締めて、手をギューって握るんじゃなくて(笑)。もう自分の中で、女子と話すときの第一声のプレイリストじゃないけど、言葉のプレイリストみたいに作っててさ。『こんにちは、どこの大学?』とか、『何を勉強してんの?』とか。」
ヱイネモ「トークテーマとかも決めておく事前に決めておくってことですか?」
山口「そういう風になるとどんどんガチガチになっていくから、逆に(笑)。別に普通に男子と話すのは話せるんでしょ?」
ヱイネモ「そうですね。普通に学校でみんなと話してます。」
山口「現状、ヱイネモは女子と話せないの?」
ヱイネモ「一応話せるんですけど、やっぱり何か自分の中で、ここやっちゃったな……とかっていう反省をしちゃうんですよ。」
山口「ふふふ(笑)。例えばどういう反省するわけ?」
ヱイネモ「これも生徒会で、学校同士の交流があったときに、筆箱にアニメのキャラクターのキーホルダーをつけてたんですね。そのとき結構有名だったアニメのストラップだったんで、それを見て女の子が『このキャラ知ってる。このアニメ好きなの?』って聞いてきたんですよ。そのときにその当然すぎて、あっ……って言って、あって第一声だけで5秒間ぐらい頭が真っ白になってしまって。そこから『あ、好きです』みたいな感じで、ちょっと変な空気になっちゃったっていうのがありまして。話した後に、もう頭抱えてやっちゃったなこれって思って。」
山口「ははは(笑)。結構それ重症やな(笑)」
ヱイネモ「そうですね。6年間は結構足かせになっちゃってます。」
山口「なってんだ。でもヱイネモこうやって話してると貴族感あるね。貴族っぽいぞ、なんか。」
ヱイネモ「本当ですか?」
山口「今のまま、女子が苦手なままででいても、自然に女子が周りに増えてきて、ヱイネモが普通にそれに慣れてくるのでも十分女子と接するようになると思うけどな。無理すると、失敗しちゃったとか思ったり、後で後悔したりとかするじゃん。だから無理せずに、自然に機会が増えてくるのを待ってはいいんじゃない?自分から慣れようとしなくていいと思うけどね。変に何か気負えば気負うほど悩みになってっちゃうぞ、多分。」
ヱイネモ「おっしゃる通りです。」
山口「ふふふ(笑)。」
山口「いやでも、バイトじゃね?まずバイトだと思うな。」
ヱイネモ「バイトですか。」
山口「バイトで、最初行くと教えてくれる人が女子のケースが多いバイトを選ぶっていうのは、手かもしれないよ。バイトする予定はあるの?」
ヱイネモ「大学生になったら、したいなと思ってます。」
山口「そこで男子しかいないバイト選んじゃったりしたらもう多分地獄だぞ(笑)。」
ヱイネモ「そうですね(笑)。」
山口「あと、接客業がいいんじゃない?」
ヱイネモ「やっぱ接客が一番いいですか?」
山口「接客が多分一番女子と触れ合うし、綺麗な人も現れたりするしさ、出会いも多いだろうし。バイト先の女の子とかと合コンしようよみたいな話になる可能性もあるしさ。」
ヱイネモ「そうなんですね。」
山口「多分あるんじゃない?だから、接客業をやって女子に慣れてくっていう。ただ、仕事だと真面目にやるじゃん。真面目にお互いに仕事してると、ぱっと気が抜けたタイミングで休憩時間とか一緒だから、休憩室とか女子と2人きりになっちゃったりとかしたときに緊張したりしないようにした方がいいよ(笑)。」
ヱイネモ「あー、気をつけないといけないですね。」
山口「インスタとかやってるんすか?みたいな。」
ヱイネモ「その一歩の勇気が出せるのかどうかですね……」
山口「でもさ、せっかく生きてるんだからさ、楽しまないと。なんか自分の恥ずかしさだったり勇気のなさで、生きてることの喜びや楽しみが1個減るって思うともったいなくない?」
ヱイネモ「もったいないです。」
山口「もったいないよね。だからまあいいやって思わないようにした方がいいんじゃない?今話しかけるチャンスかなと思ったら、もう脇汗びっしょりになってもいいから、とりあえず1回話しかけてみるっていうのもいいし。人間って、そんなにさ……例えばヱイネモがさ、女子に話しかけられたら嫌な気持ちになる?」
ヱイネモ「いや、むしろ嬉しいです。」
山口「だから女の子もそうだって。話しかけてくれたら嬉しいじゃん。しかもバイトで同僚になったりとかさ、同じ学校で同じクラスになったりとかしたらさ。話しかけてくれたら嬉しいはずだよ。」
ヱイネモ「はい。」
山口「だって女子の方が緊張してると思わない?男子の中に入ってきてるんだからさ。」
ヱイネモ「そうですね、言われてみれば。」
山口「それをハブになってあげる気持ちになればいいんじゃないの?女子が来た、やった!じゃなくて、男子校の中に入ってきちゃった気分の女の子たちの間に入って、自分がハブになってあげようって思えば、何か自分も楽だし、女子的にも嬉しいんじゃない?だったら努力しがあるじゃん。」
ヱイネモ「そうですね。そういう考えが新しい視点っていうか、聞いてよかったです。」
山口「緊張してると思うよ、女子の方が。」
ヱイネモ「そうですね。」
山口「男子たちが、何か変な目で見てくるかもしれないって思ったりしてる女子とかもいるかもしれないわけじゃん。そういうのを助けてあげるみたいな気持ちを持つのと、あとヱイネモのその貴族感を1回脱却するために(笑)。女子が多いバイトをするっていうのも手じゃない?」
ヱイネモ「貴族感って僕、どんな感じが……」
山口「ははは!(笑) いや、なんていうかな……育ちが良さそうって感じ。いい人感がすごい出てるよ。」
ヱイネモ「本当ですか。」
山口「将来いいお父さんなりそう、既に(笑)。やわらかい笑顔もかわいいし、モテると思うよ、めちゃくちゃ。」
ヱイネモ「そうでありたいです。」
山口「どうする?お前、モテモテになっちゃったりしたら。」
ヱイネモ「期待されて、幻滅される危険があるかもしれないと思って……」
山口「バカ、何言ってんだよ。幻滅されてなんぼだろ。期待されて幻滅されての繰り返しなんだから。その幻滅されるところも好きだって思わせないと。自分の駄目なところも好きって思ってくれる人を好きになるといいよ。駄目なところを隠してるなんて無理だからさ。最初から隠さない方がいいよ。駄目なとこも全部いきなりオープンに出していって、それも好きだと思ってもらったらいいんじゃない?ヱイネモはなんか取り繕うとしすぎてるんだよ、多分。自分を良く見せようとしすぎたり、嫌だなって思われたくない症候群に入っちゃってるじゃない?そうじゃなくて、自分らしさをちゃんとそのまま伝えるっていうことをやれば……変にギーっていくと向こうもギーってなるじゃん。警戒して尻尾がフサフサなってる猫がいたら近づかないじゃん。なんか触っても大丈夫そうかなって思う猫がいたら触りに行くでしょ?」
ヱイネモ「はい。」
山口「ヱイネモはもう、シャーッて言ってるもん。目の前に女子がいるって時点で尻尾がワーッて膨らんじゃってるよね(笑)。俺のこと撫でていいんだよ、ぐらいの感じで、相手の膝でぐりーんいくくらいの(笑)。シャー!じゃない。」
ヱイネモ「はい(笑)」
山口「『こんちは!』でいいんじゃない?ヱイネモはもう『こんにちは(ピシッと言う)』って感じだもん、貴族っぽいから(笑)。"こんちは!" 言ってみ、こんちは!って。」
ヱイネモ「こんちは。」
山口「あ、いいじゃん……あれ? "こんにちは!"って聞こえるな、ヱイネモが言うと(笑)。おかしいな。なんか染み付いちゃってんじゃねーか、貴族感が(笑)。ちょっとなんかもうちょっと……」
ヱイネモ「なんかだらけた感じで?」
山口「だらけた感じで言ってみ?『こんちゃー』って。」
ヱイネモ「こんちはー。」
山口「あー!いい、いい。"こんちは、ヱイネモっす。なんか男子いっぱいいるから、結構緊張するでしょ?何かあったら言って、協力するから" って。もっと砕けた感じで。あとイケメンだから大丈夫だよ。もうその時点でも結構有利だよ。」
ヱイネモ「本当ですか。」
山口「俺みたいなもうどうしようもない、半分チンピラみたいなやつがこんちはって言ってもその時点で向こうがシャーッてなるからさ。ヱイネモみたいな貴族感があるやつが、こんちは!ってきたら安心ってなるよ。」
山口「先生からのアドバイスは、まずバイトで女子と触れる機会を増やす。大学で数少ない女子と男子とのハブになってあげる。その二つをとりあえず実践してみるのがいいんじゃないかな。あと、自分を良く見せようとしない。もう十分いいから、ヱイネモ。それで。モテるから。」
ヱイネモ「ありがとうございます。」
山口「こんちは作戦で。」
ヱイネモ「こんちわ作戦、分かりました(笑)。」
山口「大丈夫か、こんな感じでアドバイスは。」
ヱイネモ「いや、もう……本当に良いアドバイスくださってありがとうございます。頑張ります。」
山口「夜遅くまでありがとうね。」
ヱイネモ「こちらこそ本当にありがとうございます。」
山口「じゃあまたね。」
ヱイネモ「さよなら。」
今回の授業も終了の時間になりました。
山口「ヱイネモかわいいっていうか、モテるぞ、あの子。でも、こんちはって言っても、こんにちはに聞こえるぐらいの貴族感があったからな(笑)。大丈夫だと思うけど、やっぱり男子校にいる不安になるんだよな。でも、結果的に社会に出たときにはいろんな人に触れ合うわけだから、特に男性女性って気にせず、常に人に対して優しくしていれば大丈夫じゃないかなって僕は思うけどね。」
引き続き、何かのマイノリティであると感じていて、一郎先生に話をしてみたい生徒は [サカナLOCKS!掲示板] や [メール] で送ってきてください。
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