「山口一郎先生、初の書籍『ことば 僕自身の訓練のためのノート』」

SCHOOL OF LOCK!


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聴取期限 2023年4月7日(金)PM 10:00まで




音を学ぶ"音学"の授業、サカナLOCKS!。
今回は、山口一郎先生、初の著書『ことば 僕自身の訓練のためのノート』発売を記念して、この本を紹介しながら当時のことを振り返っていきます。


山口「はい、授業を始めますから席に着いてください。Twitterを開いている人はTwitterを一度閉じなさい。Instagramを開いている人はサカナLOCKS!のインスタアカウント(@sakanalocks_official)をフォローしなさい。授業が始まりますよ。」

「僕の初の著書『ことば 僕自身の訓練のためのノート』が発売されました。これはですね、僕がメジャーデビューする前に自分自身の訓練、練習のために書き綴っていた250篇の言葉たちを集めたものになっています。時期でいうと今から20年以上前ですね。2001年から2006年までなので。だけどね、実は中学校の頃からずっと書いてきていたんですよ。中学校の頃からずっと書き続けていて、書籍化されたのは、インターネットが普及してきて、『魔法のiらんど』っていうブログみたいなのがあったんですよね。そこで当時やっていた、サカナクションの前身バンドでブログを書こうよみたいな……本当はメンバーひとりずつ日替わりで書いていたのが、いつの間にか僕だけが書いていたものがあったんですね。それが今回、その中から書かれた詩を抜粋していったって感じなので本当にごく一部なんですけどね。」

■『ことば 僕自身の訓練のためのノート』特設サイト [→コチラ!]


「それをなぜ書籍化しようと思ったかというと、父親がその詩を見つけて、非常にその詩がいいねと。それを書籍化した方がいいんじゃないかと言い始めたので、親孝行のつもりで……僕はまったく出すつもりはなかったんですけど、やるなら勝手にやってくださいって言ったら、本当に青土社っていう現代詩を取り扱っているところに持っていって、勝手に書籍化を進めていったというね……父親の熱い情熱のもと刊行することになったんですね。」

「僕的には、自分で本を出すつもりじゃなかったから、この本を作る上で実は何も内容に関しては参加していません。どの詩を載せるか選んでないです。全部父親と青土社の方が決めて出しました。僕が関わったのは装丁だけですね。装丁に関しては僕に関わらせてくれって、恵比寿の『POST』っていう本屋さんの中島さんっていう方に協力してもらって、サン・アドの葛西薫さんという……僕が大好きな北海道出身のデザイナーの方にお願いして装丁を作ってもらいました。オリジナル版というか、特殊パッケージ版はもう発売されていたんですけど、通常版の方がいよいよ発売になるということで。その発売を記念して4月7日に代官山蔦屋でサイン会というかね、トークイベントも行うので是非きていただきたいんですが……なんと、このトークイベント、父・山口保が上京してきて、保との対談トークイベントみたくなっていますんで。こちら申し込みしていただけると、親父と僕の口喧嘩が見れるかもしれませんので、是非応募していただけたらと思っております。」

「それでは、今夜は『ことば』の中に書かれている詩をいくつか紹介したいんですけど……これ、朗読するのとか恥ずかしいよね(笑)。自分の過去の詩をさ……どれ読む?うーん……通常版の方はなってないんだけど、スペシャルパッケージ版では一部が白い紙になっているところがあるんですよ。そこが親父的には大事な……『一郎にとって大事な詩の一部や』みたいなことを言ってたんで、その中から選ぼうかなと思うんですけど……どれがいいかな。」



ナンドデモ

白紙の上を歩いている僕がいる。
それは刈り取られた田んぼのようでまっさらだ。
黙々と考え、迷い込んだ人生の裏参道を踵の硬い靴を鳴らし歩いていくのは、
ある意味大胆で残忍です。
だけど止まらず歩き続ける僕の思惑は悲しき先住民の叫びに似ている。
日本は変わらなければならない。だから僕は白紙の上を走ります。




出典:山口一郎著『ことば 僕自身の訓練のためのノート』青土社 (2023年) より


「政治的なことを言っていますよね、当時は熱いんでね。あと、誰かに向けて書いているというよりは、自分に向けて書いている詩なのでね。これは2003年11月9日に書いたものですね。2003年といえば、僕は23歳だから……ちょうど前のバンドが解散したくらいかな。自分一人でやり始めたくらいかもしれないですね。だから結構対外的にというか、自分自身に向けてっていうのがすごく強くなり始めた時だったような気がしますけどね。でも、僕はデビューが遅かったから……26、27だったんでね。東京に出てきたのも30歳ですからね。だから、そういう苦労したというか、若い頃悶々ととモラトリアムを謳歌していた時代が自分の中にあったというのは、サカナクションの生み出される音楽に影響が出ているんじゃないかと思いますし、この本に書かれている詩はすべて僕の原液になっているんじゃないかなと思います。」

「でも、この詩を(先週の授業で取り上げた) ChatGPTに読み込ませて……ふふふ(笑)。読み込ませたら、僕の詩がもうちょっと僕っぽくなるんじゃないかと思いますけどね。ってことは、これ、電子書籍版も出した方がいいのかな?(笑) 電子書籍版出したらChatGPTも読むようになってくれるのかな?」

「でも、デビューしてたくさんの人に自分の存在を知られるっていうことって、当時僕はすごい苦手だったんですよ。そこに対するカウンターとして自分は音楽をやってきたつもりだったのに、自分がその中に埋没していくことに対する恐怖であったり、不安みたいなものが……自分を裏切っているのではないのかっていうね。そういう不安みたいなものがデビューしてからは出てきましたけどね。だから、街で全然自分のことを知らない人に話しかけられることに対して当時はすごく嫌悪感がありましたけど……逆に今は、話しかけられたいもんね(笑)。見つけたら、声かけてほしいもん。ちょっと忙しくて写真撮ってあげられなかったり、対応できなかった時とかは、一日不安になるもんね。対応してあげられなかったな……って。この間も、加藤(浩次)さんとラジオ収録中街を歩いているときに、写真撮ってもらっていいですかって言われたんですよ。ごめん、今ラジオ収録中なんだよねって断ったんですけど、その子すごいショックだっただろうなって……それを考えると悶々としちゃって。ちゃんと対応してあげればよかったなって思っちゃったりとかしてね。それくらい今は変わってきていますよ、僕。丸くなってきているのかな?この詩を書いていた頃と比べると今の自分は丸くなっているというか、もっとおおらかになっているのかもしれないですね。だから今この詩を書こうと思ってもかけないし、書いても嘘になるというね。今は今の言葉を書き綴っていかなきゃいけないと。自分自身もこの本を読み返しましたけど、そう強く感じたというね。そういったお話でした。」

「この本、本当に勉強になると思うんですよ。音楽を志す人、言葉を志す人にとって……勉強って言ったらおこがましいけど、こういう詩を書いていた人が今こういう詩を書くんだって、その経緯みたいなものを楽しめるものにもなっているし、サカナクション好きな人じゃなくても、将来ミュージシャンになる若者がこういうことを考えていたんだとか、こういう言葉を使ったんだみたいなのを見るっていうのはちょっと新しい企画として面白いんじゃないかと思いますので、興味のある方は是非書店で購入していただくか、ネットでも販売していますんでね。予約していただけたらと思います。」


今回の授業もそろそろ終了の時間になりました。

「いやー……やっぱり、自分の詩を朗読するって本当恥ずかしすぎるから、もう嫌だな。いやいや……もういい。もういい、もういい……!厳しい、厳しい。ふふふ(笑)。1個が限界だね。地獄ですよ。やってみなさいよ、皆さん。自分が書いた昔の詩をラジオで朗読してみなさいよ。結構厳しいよ(笑)。僕が書いたものを僕が読み上げるのは恥ずかしいけど、皆さんが読み解くとどう読み解けるのかみたいなものもお聞きしたいなと思ったりしております。」

「父親曰く、第二号も出そうと思っているらしいんでね(笑)。まだいっぱい詩はあるんで。第二号も出そうっていう気になっているそうですよ。なので、興味のある方は追いかけてもらえたらと思います。珍しく宣伝の回になってしまいましたけど。リリースがないんでね、サカナクション。珍しく宣伝させてもらいました。」

■『ことば 僕自身の訓練のためのノート』特設サイト [→コチラ!]

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