「宿題『2022年の音楽重大ニュースを教えて!』(2)」

SCHOOL OF LOCK!


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聴取期限 2022年12月9日(金)PM 10:00まで




音を学ぶ "音学(おんがく)" の授業、サカナLOCKS!。
今回は生徒の皆さんから提出された、宿題『2022年の音楽重大ニュース』をチェックしていきます。前回に続いての授業([2022年11月25日の授業]です。優秀な回答を送ってくれた生徒には、一郎先生の自宅から断捨離で出てきた、レアなサカナクション・グッズを進呈します!


山口「はい、それでは授業を始めますから席に着いてください。Twitterを開いている生徒はTwitterを一度閉じなさい。Instagramを開いてる人は、サカナLOCKS!のインスタアカウント(@sakanalocks_official)をフォローしなさい。授業が始まりますよ。これね……Instagramの写真がオンライン授業だから撮れないじゃない?だから、ヒグチくん(職員)に家に来てもらうことにします。家で撮ろう。だからヒグチくん、ちょっと出張をお願いします!なので、今後インスタアカウントは私の家でのかくれんぼ模様が撮影されることになると思いますのでお楽しみに。」

「さて今夜は、先週に引き続き、生徒の皆さんに宿題として出していた『2022年音楽重大ニュース』を紹介していきたいと思います。さあ、僕が療養期間中に世の中のニュースから全くもって離れていたということで、生徒の皆さんに2022年の音楽業界重大ニュースを教えてもらいたいということでやっていきたいと思います。宿題まだまだ届いています。そして、メッセージを送ってくれた生徒の中から2名に、私の家の断捨離で出てきた──もう発売されていない『SAKANAQUARIUM 2015-2016 NF Records Launch Tour』のスペシャルパッケージバージョンのBlu-rayサンプルか、スタイリスト私物の"夜を乗りこなすTシャツ"をプレゼントしたいと思います。」

「では早速、生徒から届いた宿題を紹介していきたいと思います。それではいってみましょう。山口一郎の重大ニュース!ピキーン!


僕が一郎さんに伝えたい2022年の音楽重大ニュースは、
今年の夏に公開された映画、『ONE PIECE FILM RED』の挿入歌に関する話題です。
映画『ONE PIECE FILM RED』の挿入歌を全て歌ったのは、Adoさんです。
しかし、作曲したのはそれぞれ違うアーティストで、
Vaundy、中田ヤスタカ、Mrs.GREEN APPLEの大森元貴さんらを筆頭に7人のアーティストが1曲ずつ手がけて、全7曲が映画の挿入歌として起用されていました。
歌う方は同じでも、曲によって歌い方を変えながらも自分の歌い方で歌うAdoさんや、映画の世界観を壊さずに自分の色を出している7人のアーティストのコラボレーションが喧嘩せず、綺麗にマッチしていました。
曲を聴いていて、個人的にもの凄い衝撃を受けたので報告させて頂きました!

晴れは気まぐれ
神奈川県/18歳/男性


「じゃあもう映画の一部にAdoさんが出演してるってことだウタというキャラクターだったんですね、それは結構面白い企画ですね。アニメの映画化って、ちょっとこんがらがりません?漫画の世界観とは違う世界観が1個生まれるわけじゃないですか、映画とかになると。それって漫画が原作で別の物語が付加されるってことに対して、僕はあんまり……漫画原理主義者としては、ちょっと否定的かなーっていうところがある中で、原作の尾田(栄一郎)さんがこの映画の世界観をプロデュースして作り上げたと。それだったら全然良いんじゃないですかね。要するに、尾田さんのクリエイティブの一部として映画を利用したってことですもんね。はー……それは面白いですね。」

「ウタさんというキャラクターができた中で、それが映画の中で歌うっていうのは結構面白いなと思いますね。昔、『リリイ・シュシュのすべて』っていう映画がありまして。そこでリリイ・シュシュという架空のミュージシャンが歌っていて、それに陶酔している若者たちのネガティブな青春劇みたいな映画があったんですけど、それにちょっと近い感じがするかなと思いますね。まあ、音楽って何なのっていうところもね……僕くらいの年齢になるといろいろ出てくるんですよ。なので、その音楽とは一体何なのかっていうところの議論もいつかサカナLOCKS!でしていけたらいいなと思っています。」


ブルーノ・マーズが10月22日から30日に全5公演、21万人を総動員したライブが行われました。
私自身、ブルーノ・マーズが日本に来日していたことはTwitterで目にしたのですが、御本人の目撃情報が多数出ており、心斎橋の商店街やラーメン屋、居酒屋などあらゆる場に出没していたらしいです。
やはり大スターは余裕があって他とは違うなーと感心しつつ、心斎橋のラーメン屋に行くんだーと庶民的な一面も見えたことに少し安心しました。

小鳥んご
神奈川県/19歳/女性


「ブルーノ・マーズが京セラドームと東京ドームの計5公演で21万人を動員と。今回の公演は9月に来日を発表、その直後にチケットは完売。急遽発売された見切り席の当日席も完売となったと。今年はレディー・ガガ、ビリー・アイリッシュ、マルーン5など大物海外ミュージシャンが続々と来日したということで。」

「実は、我々の世代の時の洋楽ファンと、今の人たちの洋楽ファンの感覚ってちょっと違うなっていう風に思うんですけど。一時期洋楽が全く売れない、動員もないみたいな時代があったじゃないですか。ちょっと前……5〜6年前とかですよね。ただ、SNSの登場によって、洋楽ファンがぐっと増えたっていう傾向はちょっとあるんじゃないかなと思います。ちょっと前だったら多分こうならなかったですよね、結果的にもね。」

「あと、日本のコンサートと海外のコンサートの座席の振り分けだったり値段設定の違いみたいなところっていろいろあるんですけど、洋楽のミュージシャンが導入してその手法を日本国内に流用することによって、我々もそれと同じ手法でチケットを販売できたりとかするんじゃないかなと。すごい良い影響だと思いますね。ダイナミック方式っていう形をとったりするんですよ、チケットの販売方法で。コンサートを観たい人が多いライブほどチケット代が上がるっていう、それって日本的な感覚で言うと、学生が観られなくなるじゃないかとか、お金持ちしか良い席で観られないじゃないかって、不平等だって声が上がるんですけど。でも、ミュージシャン的観点からすると、人気があるコンサートを作り上げるために必死になってクリエイティブしていくわけですから、そこに対して利益が上がってくるっていうのは、普通に考えたら嬉しいことではあるんですけど。ただ、すべてがそういうコンサートになるとどうなるかっていうのは考えなきゃいけないなとは思ったりもしています。」

「あと、ミュージシャンって意外と世帯じみてるんで……僕なんて、5万人のフェスの帰りに吉牛(牛丼)食ったりしてますから。この間(川谷)絵音くんもそんなつぶやきをしていましたけど、よくあることですからね。そんないきなりコンサート終わったらガウン着て、赤ワイン持ちながらホテルで『今日は良かったね……』みたいな感じにはなんないから。なってる人もいると思うけど。みんな終わったらすぐ家帰るから。ちょっとお腹に詰めて。ボーカリストは歌う前にごはん食べないから。終わってから食べるんですよ。食べてその日は終わっちゃうわけ。で、次の日はゆっくりするのよ、普通は。そういった世帯じみたところもありながら。海外ミュージシャンの動員が増えてきたのはSNSの影響も大きいんじゃないかなと思います。撮影OKだったりするんですもんね、海外だとね。そういうのでインスタ映えみたいなこともあるのかなと。」

「ミーハーの種類が変わってきている感じがしますよね。当時の日本国内でのミーハー感っていうものが、SNSの登場によって進化していっている気がしますね。僕もこの間久々に表参道まで1万歩くらい歩いて散歩したんですけど、クリスマスツリーに対して写真を撮る人たちが列をなしていて。ちょっと前なんてそんなの考えられなかったけど、そういうミーハーさの種類が増えてきたのかなって感じています。エンターテイメントにつとめる我々からすると、そのミーハーさみたいなものに対してどうアプローチしていくのかっていうことも必要になってきているんじゃないかなと思っています。」


私にとっての2022年の音楽重大ニュースは
「山下達郎 サブスク解禁一生しない宣言」です。
大物アーティストが次々とサブスク解禁を宣言していく昨今、
サブスクリプションを利用している私にとっては、時代を問わずに様々な音楽に出会える、素敵な機会に恵まれた時代だなぁと感じていました。
そして私はかねてから「達郎さんがサブスクを解禁したら片っ端から聞くぞ!!」と意気込んでいたのですが、アルバム『SOFTLY』発売時のインタビューで"サブスク解禁一生しない宣言"を目にしてしまい、私の夢は儚く散ってしまいました。
ですが、そこで語られていた解禁しない理由も納得のいくものであり、今の音楽シーンを表しているかのようなインタビューでした。
そのインタビューを目にしたことで達郎さんのCDを購入し、久し振りにCDコンポにCDを入れて音楽を聴いてみましたが、これはこれで尊い時間だなぁと思った2022年でした。

我々は地球人
神奈川県/29歳/男性


「山下達郎さん約11年ぶりとなるニューアルバム『SOFTLY』、そのリリース前後のインタビューで、サブスクはおそらく死ぬまでやらないと発言したということですね。インタビューで "表現に関わっていない人間が自由に曲をばらまいて、その儲けを取っている。それはマーケットとしての勝利で、音楽的な勝利と関係ない。本来、音楽はそういうことを考えないで作らなきゃいけない" という発言をしていたということです。アルバムはリリース1週目でCD売上約15万枚を記録と。」

「山下達郎さんがおっしゃる、表現に関わっていない人間が自由に曲をばらまいてその儲けをとっている。それはマーケットとしての勝利で、音楽的な勝利と関係ない……というのは、僕もそれに対しては非常に同意見ではありますけど、僕はサブスクの勝利か勝利じゃないかということよりも、音楽敵勝利っていうものに対して、音楽を作る上でCDが正義とも限らないし、CDが勝利とも限らないわけじゃないですか。音源を制作していく上で、CDは我々の音楽を圧縮しているわけで。出来上がったものから劣化をひとつ経ていると。それを美学として受け入れるかどうかというところもあるんですよ。僕的には、デジタルで音楽を配信できるということでは、圧縮しない音質で音楽を発信できる未来が待っているという希望がひとつあるかなと思っています。ただ、圧縮されることが音楽的歴史上当たり前のことになっていて、それがどう圧縮させるかという技法……つまり、調理で言ったら、新鮮な魚をそのまま食べるんじゃなくて、1日寝かすと味が変化して美味しくなるみたいなことにちょっと似ているんじゃないかと思うんですけど。手を加えることで音の味を変化させるというか。僕は、音楽原理主義者として、自分たちが作り出したスタジオで鳴っている音をそのままリスナーの元に届けていけるっていう時代が来ることの方が……しかも、それがサブスクリプションで届けられるようになった時が、非常に美しい瞬間なんじゃないかなと思う。そもそも音楽のマーケットでリリースをしていく中で、レーベルであったりとか、そういうところを介入してリリースしていて。直接的にミュージシャンが自分が作ったものをレーベルやマネジメントを介さずにサブスクリプションで配信できているっていうことの方がピュアなような気がしているんですよね。ただ、それをピュアに配信するっていうフォーマットを作る人たちが音楽に関わっていない人たちっていう風に考えるのであれば、達郎さんの意見もそうですし。ただ、音楽的勝利という部分で、自分が作ったものを誰も介さず発信できるっていうことも音楽的勝利なんじゃないかと僕は感じているかなと思っています。」

「私が休んでいる間にこんなことがあったのかという情報を手に入れることができましたけど、なんとなく自分が知っているなって思うニュースって、SNSから流れてきたものが多かったですね。なので、情報を入手する上でSNSっていうものが大きくなっているんだなっていうのは感じましたし……僕はイーロン・マスクと1回やりあっているんですけど(笑)。名前を変えられなくなる問題っていうのがTwitterであって問題になっていますが。Twitterの影響力っていうのがまた違った方向に今後進んでいくんじゃないかなと。それはちょっと予感として感じています。SNSにとっての音楽っていうものをサカナLOCKS!でやってみるのも面白いかもしれないですね。どのSNSが音楽に最も適しているのか……そういう批評みたいなものをサカナLOCKS!でやっても面白いんじゃないかと思っております。」

「ということで、2022年音楽重大ニュースの宿題を紹介してきましたが、ここでプレゼントの当選者を発表いたします!まずは、『SAKANAQUARIUM 2015-2016 NF Records Launch Tour』のスペシャルパッケージ版Blu-rayのサンプル!当選者は……(一郎先生の口(くち)ドラムロール)……でん!

"Perfumeの声出し解禁ニュース"を送ってくれた、茨城県のやましゅー!

おめでとう!この情報は、私もなんとなくしか知らなかったことを詳しく教えてくれたということで。ありがとうございます。」




「続いて、スタイリスト私物の"夜を乗りこなすTシャツ"インスタ配信用反転していないバージョン(通常のもの)!当選者は……(一郎先生の口(くち)ドラムロール)……ダダン!

"山下達郎サブスク一生解禁しない宣言"のニュースを送ってくれた、神奈川県の我々は地球人さんに決定しました!

おめでとうございマッスル!」




ということで、今回の授業は終了です。

「こうやってね、情報を定期的に欲しい。断捨離も定期的にやるから、定期的にこの授業をやれたら嬉しいなと思います。なので、つっこんだ音楽業界の裏側の話とかをしていけたらいいなと思っています。」

SCHOOL OF LOCK!


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