「先週お休みだった山口一郎先生からの近況報告。」

SCHOOL OF LOCK!


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聴取期限 2022年6月3日(金)PM 10:00まで




音を学ぶ "音学"の授業、サカナLOCKS!。
前回はサカナクションのドラム:江島啓一先生が授業してくれましたが、今回はお休みしていた一郎先生が戻ってきました。最近の活動について、近況報告をしていきます。


山口「先週、江島が来てくれたじゃないですかサカナLOCKS!。僕、帯状疱疹になっちゃって。ずっと体調が悪かったんですけど、忙しいのが当たり前の中で休めていなかったんですよ。15周年の配信ライブを3日間やって、そこでぷっつり切れちゃったのか、メンタルも体も一気にどーんって下がっちゃったんですよね。人と話したくない、音楽のことを考えている自分に気づくと嫌になるみたいな……自暴自棄みたいな感じになっていたんですよ。その矢先に帯状疱疹がきて、口内炎もできて……免疫力が落ちているんですよね。帯状疱疹ってなったことあります?」

職員(カヲル先生)「ない。」

山口「めっちゃ痛いんですよ。ひりひりぴりぴりして。神経痛みたいな感じで周りが痛いんですよ。で、寝る時にそれを庇っていたら、持病のぎっくり背中と四十肩がめっちゃ悪化しちゃって、お尻のところまで痛みがきちゃって。そんな最中にMETROCKがあって。」

職員「そうだね(苦笑)。」

山口「今までは体が痛くてもステージに立ってきたんですよ。ステージに立っちゃえばなんとかなる、上がっちゃえば関係ねーよって気持ちだったんですけど、今回のは結構心もやられていたから……実は、METROCKの東京公演のとき、ぎりぎり3時間前くらいまで出演できないかもしれないっていう状態で。ライブの翌日もボロボロで……動けないわ口内炎できるわで、食べられないし動けないしで。そこからの自分のスケジュールと今の自分の状態を想像するだけでどんどん落ちていっちゃって。ニッチもサッチもどうにもブルドッグ状態になったんですよ。」

職員「つぶやいてたね、それ。」



職員「そんなに重たい一言だったんだ……」

山口「そうなんですよ(笑)。今ここでヘルツ先生がそれ(※)をかけられたらすごいなって思いながら(笑)。あっ、痛ててて……」
(※フォーリーブス「ブルドッグ」歌詞の引用なので)

職員「笑うと痛いの?(笑)」

山口「痛いっす、痛いっす(笑)。現状も、痛み止めを飲みながらなんとかやっているんですよね。で……めちゃめちゃあるんですよ、スケジュールが。」

職員「ツアーなんて6月からでしょ?」

山口「そうなんです。今この調子で仕事していくじゃないですか、痛み止めを飲んで。そうして乗り越えていけるの?って。誤魔化しているだけじゃないですか。免疫力も体力も落ちていて、持病のぎっくり背中とかも発症していて……何が何だか分からない精神状態になっていて。このまま走り切れるのかなっていうのがめっちゃ不安なんですよね。で、不安だから、余計に落ちていくんですよ。で、独身でしょ?あーんって誰もしてくれないから(笑)。痛てて……」

職員「咳をしても一人……」

山口「そう。しかも、すごい難しいんですよ。自分が体調悪いっていうことをあんまり出すと、心配をかけるというか。現場のテンションも下がるじゃないですか。だから、調子が悪くても、大丈夫ですよって言うしかないんですよ。」

職員「『(明るく)おはようございまーす!よろしくお願いしまーす!』ってね。」

山口「そんな感じにしなきゃいけないし、心を強く保たなきゃいけないじゃないですか。写真も撮るし、SNSも更新しないとみんなが心配するから。」


山口「……なんか(教室の中を)飛んでる。でっかいハエが。……ふふふ(笑)。あ、痛てて……」


山口「しかも、告知しなきゃいけないこともいっぱいあるんですよ。今、ピエール・エルメとfragment designとサカナクションでコラボしているんですけど、そのレセプションがこの間あって。さすがにレセプションに行かないわけにはいかないじゃないですか。だから、行くんだけど、無理しているから心から笑えないっていうか……大事なプロジェクトでも、気持ちをちゃんと伝えられないっていうのも、メンタル的にやばいし。そういうのがどんどん重なっていって、メンタルがやばいっていう状態になっちゃって。」

職員「いやー……」

山口「本音を言えないじゃないですか、こうやって。」

職員「初めましての現場とか、初めて関わるような人たちにね。」

山口「そうそう。こんなに"ニッチもサッチもどうにもブルドッグ"状態になったことがなかったから。」

職員「山口一郎史上一番ニッチもサッチも状態だ。」

山口「ニッチもサッチも状態ですね。」

(♪ 「ブルドッグ」が流れて…… "ニッチもサッチもどうにもブルドッグ!")

山口「(ポーズをとりながら)ブルドッグ!わーお!!……痛ててて(笑)。」

職員「やめて!もう。痛いんだから。(曲を)かけたらやっちゃうんだから。」

山口「痛てててて(笑)。」

職員「ムチを打つみたいに、やめて(笑)。ドSだよ、今の。」

山口「ははは(笑)。いや、(曲が来るのを)待ってた待ってた。」

職員「待ってた?(笑) ほらまた頑張っちゃってる。」

山口「用意してるの見えてたから!そりゃやりますよ。」

職員「いかん、いかん(笑)。」

山口「でもね、本音を言える場所がないのが結構やばいなと思って。この間エジー(江島先生)に来てもらった時は、本当に、ニッチもサッチもどうにもブルドッグだったんですけど……」

(♪ 「ブルドッグ」が流れて…… "ニッチもサッチもどうにもブルドッグ!")

山口「ブルドッグ!わーお!……痛ててて……いや、こうやってムチを打たれながらやっていくスタイルだから、サカナLOCKS!も。」

職員「(笑)」

江島『一郎先生はね、すごいと思いますっ!』
(急に先週の江島先生の声が聞こえてくる)

山口「うるせーよ、江島!(笑) 何なんですかこれ(笑)。持ち上げたいのか笑わせたいのか分からないやつを放り込まれても……」

江島『ひとりしゃべりはね、難しいです!』

山口「うるせーよ!(笑)何年バンドをやってるんだよ。ひとりしゃべりをこっちに任せすぎていただけだろうが。」

江島『一郎先生はね、本当に、毎週毎週やってすごいなと思いますっ!』

山口「うるさい、お前!(笑)プロ野球選手のヒーローインタビューみたいなしゃべり方するんじゃねーよ。もうちょっとこなれた感じでしゃべってくれよ。僕、頑張ってるでしょ?(笑)サカナクションを背負ってやってきてるんだから、15年こっちは。任されてるんだから(笑)」


山口「ふふふ(笑)。いや、本当にね、江島が来た時は、本当にやばかったんです。その先のスケジュールもあったから。今も変わらずやばいっていう状態ではある。今一番の心配は……どーんと休めればいいんですよ。例えば2週間とか。とりあえず精密検査をして、人間ドックとかして、病院にも行って、家で休む。本当に忙しかったから、ずっと……自分で忙しくしていたんだけど(笑)。全部自分で忙しくしていたんだけどね。ミュージシャンが持つレギュラー番組の数でギネス記録を作りたいみたいなこと言ってたし(笑)。そんなニッチもサッチもどうにもブルドッグなね。自分のせいでもあるんですよ、ツアーを入れたりとか、オンラインライブを繰り返しやったりとか、音楽のため、文化のためになるということが大義としてあるから、そこがあれば全部やりますっていう形でやってきていたけど、今100%のパフォーマンスで出来るかどうかっていうのは……。今こういう時代で、SNSとかで赤裸々に自分の状況を伝えていける時代だからこそ、こうやって露骨に話をしているけど。正直、ちょっと不安。やれたとしても、バランスが壊れちゃうかもなって。」

職員「そうだね……」

山口「ただ、15年やってきて、東京に出てきてなんて尚更ですけど、まともに休んだことなんてないんですよ。もちろん、そういう期間はあるけど、僕はメディア稼働があったり、プロモーションがあったり。空いているっていっても、家で作業をするとか、勉強したりとか、なんだかんだやるんです。あと、普段家でぼーっとしていても、これ面白そうだなとか、これどうしようかなとか、ずっと考えちゃってるんですよね、無意識に。みんなそうだと思うんですけど。だから、実際に休むってどういうことって話にはなるんですけど、1回休養したほうがいいかなって気もしてる。けど……できない。スケジュール的に。ただ、これを招いたのも自分なんですよ。」

職員「うーん……」

山口「例えば、マラソンで、49.195km走れるよと……」

職員「4 "2" .195kmね。」

山口「ふふふ(笑)。ニッチもサッチも……」

(♪ 「ブルドッグ」が流れて…… "ニッチもサッチもどうにもブルドッグ!")

山口「ブルドッグ!わーお!……痛い、痛い……(笑)。あの、許してください。今こういう状況だから、間違っても。」

職員「7km増えている段階でもうオーバーワークが出ちゃってるもんね。人より7km多い感じが出ちゃってる(笑)。」

山口「欲張っちゃって(笑)。そうそう。焼肉にいって、2人前くらい食えるよって頼んでいざ出てきたらやっぱりすげー多いなって思っちゃったみたいな感じでしょ?」

職員「例えですでに(笑)。」

山口「だから、42.195km走るって決めたのは自分だから。だけど、ペース配分を、こういう風に走れば大丈夫だって思いながら走ったのに出来なかったのは、言い方は悪いけど、プロ意識に欠けるじゃん。」

職員「どうかな……うーん……決めたのは自分って一郎くん言ってたけど、それを覆させるのも自分しか出来ないじゃないですか。自分で決めちゃってることなんだから。」

山口「そうなんだけどねー。……こういうことって、よっぽどじゃないですか。つまり、弱音を吐いているんですよ、今。これで誰かに迷惑をかけるのも嫌じゃないですか。自分がなんとか乗り越えれば解決するっていう状況だから、なんとかするしかないんですけど。病院に行っても休めってしか言われないから……すでに。でもね……結構限界きてる。」

職員「珍しいもん、ここまでボロボロの感じ。」

山口「いや、ボロボロだったんですよ、今までも。これくらいボロボロで来たことあります、ここにも。何度もある(笑)。でも、ボロボロじゃないことを演じられた。今はリカバリーできないですね、ちょっと……。」


山口「このサカナLOCKS!の現場って、どっちかっていうと家族に近いじゃないですか。一緒に別の仕事もみんなやってるし、10年もやってるから赤裸々に自分を見せてもいいっていう。気を張らなくていいから、今こうやって本当のことを話せているんですけど、他の現場だとあんまり話せないですね。あと、メンバーとかにもこんな風には話せないです、やっぱり。」

職員「あー、そう。メンバーは逆に話せないの。」

山口「話せない。……で?ってなるから。」

職員「で、どうする?ってなるからね。一郎はどうしたいの?ってことね。」

山口「そう。だから、どうしようかなって感じ。」

職員「うーん、どうかな……一郎くんの音楽人生を見た時に、この短期間を見るか、もっと長いスパンで見るかで、長いスパンのここに行くためには今休まないと次に行けないよなって思えないかな?」

山口「ただ……休めばいいじゃん、って気軽に言われるんですよ。でもね、その決断ってよっぽどなんですよ、マジで。」

職員「うん。そう思うよ。」

山口「体は、まあいいんですよ。どこかしらみんな痛いじゃないですか。ただ……心。そこがね……なんかギアが入らない感じ。」

職員「メンタルをコントロールする先生とかさ。」

山口「そういうのね。企業の人とかでも、そういうのをつけている人がいるって言うけど……ただここで問題なのは、相手が山口一郎なんですよ。このややこしい男にメンタルクリニックの先生がきたら、絶対喧嘩になる(笑)。」

職員「(笑)」

山口「"ちょっと待ってください、その考え方ってどういうことですか?" みたいな(笑)。絶対食ってかかるから。それか、"どうしてこのお仕事に就かれたんですか?" とか。」

職員「なんでInstagram Liveの対談みたいに質問してるのよ(笑)。」

山口「ふふふ(笑)」

職員「どうしよー……(笑)。」

山口「それか、もういいよ行かなくてってなっちゃう。だから今ね、本当に本当に、ニッチもサッチもどうにもブルドッグなんです。」

(♪ 「ブルドッグ」が流れて…… "ニッチもサッチもどうにもブルドッグ!")

山口「ブルドッグ!わーお!……ちょっと元気がないことも伝わってる?この言い方で(笑)。」

職員「分かんない、もう(笑)。情緒が分からない(笑)。」


(♪ チャイムが鳴りました!)

職員「これはもう終わりだよ、授業。授業終わり。」

山口「雑談で……(笑)」

職員「もう終わり終わり。帰ろ、帰ろ。ふふふ(笑)。」

山口「つまり、今は、まだ体調が復活しきれていないから、ひょっとしたらサカナLOCKS!もまた副担任'sに来てもらうことになるかもしれないし、その辺りは情報を追いかけてもらえたらと思うんですけど、やっぱり……15年バンドをやるのって、みんな『すごい、さすがです』って言ってくれるし、やっている方も『あっという間でしたね』とか、『15年なんて、ユーミンさんは50年もやっているし途中経過ですよ』とか言うこともあると思うけど、我々にも15年やってきた中にとんでもない想いがあるんです。特に、東京に出てきたのが30歳になってからで、遅く、大義を持って始めた我々だからこそ、いろんな衝突もあったし、ぐちゃぐちゃになったものを広げ直してアイロンをかけたみたいな時もあったし。そういう重みがあるんです、自分たちなりのね。こうやって今僕が言っていることに対して、休んじゃえばいいじゃんって簡単に思うかもしれないけど、15年やってきて、それを選択することって結構な自分の裏切りになるような気もしてる。まだ踏ん切りがつかないなって感じもある。私もおじさんだからね。その辺を悩んでいるなっていうことも、うまくここでつたられたらいいなと思います。……ということでね(笑)。今回の授業はここまでで良いのかな……授業になったのかな。なんか井戸に向かって、王様の耳はロバの耳ー!って叫んだような、あ、ニッチもサッチもどうにもブルドッグー!って叫んだみたいな。」

(♪反響したような音で「ブルドッグ」が流れる)

「……あ!井戸の底から聞こえてきた!!(笑) ということで、音を学ぶ、音に学ぶ、音で学ぶ "音学"の授業、サカナクションの山口一郎でした。」

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