カヲル先生「さっき、あしざわ教頭がこっちに来るって言ってましたよ。」
山口「あれ、9月26日で退任なんですよね。いやー……何年ですか?」
カヲル先生「5年。」
山口「5年……サカナLOCKS!の方がちょっと先輩ですよね。」
カヲル先生「うん。」
山口「こっちに来るって話でしたけど、本当にいらっしゃるんですかね……」
(教室のドアが開く音)
あしざわ教頭(以下、教頭)「(ケーキを持って歌いながら)……ハッピーバースデートゥーユー」
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山口「(爆笑)」
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教頭「ハッピーバースデー ディア 一郎さーん!ちょっと早いけど〜!」
山口「わー、チャオ!チャオ!ありがとうございます。」
教頭「おめでとうございます!ちょっと早いですけども!」
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山口「じゃあ、願い事します。」
教頭「お願いします。」
山口「あしざわ教頭が離婚しますように。(ろうそくを吹き消す)」
教頭「やめてください。吹いちゃったよ。叶ったらどうするの。」
山口「(爆笑)」
教頭「真っ先に行きますからね、一郎先生のところに。」
山口「嘘、嘘嘘(笑)。」
教頭「おめでとうございます!」
山口「ありがとうございますー。」
教頭「9月8日ですもんね、誕生日は。」
山口「うん、8日。」
教頭「おいくつに?」
山口「39ですよ!サンキュー。感謝だから。」
教頭「そうですか。」
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山口「ということで、あしざわ教頭が来てくれました。」
教頭「すみません、お邪魔しちゃって。」
山口「本当はね、こっちが挨拶に行かなきゃいけないんですけど。」
教頭「いえいえ。」
山口「26日(教頭が最後の日)、僕、日本にいないので。申し訳ないんですけど……」
教頭「とんでもない。」
山口「いよいよ、教頭を退任しますけど、どんな気持ち?」
教頭「まだ実感があまりないですね、正直。毎日ずっと来ているので。」
山口「5年毎日ですもんね。正直……大変でした?」
教頭「大変でした。ふふふ(笑)。やしろ教授ともそういう話をしましたけど、大変な時期もありました。」
山口「でも、ラジオのパーソナリティって、この『SCHOOL OF LOCK!』をやる前にもやっていたんですか?」
教頭「一応やっていました。」
山口「でも、相手にするの10代ですもんね。」
教頭「全くそれまでのものとは違いましたね。10代に向けてしゃべるっていうことと、教頭先生と……みたいなものはすごくありましたね。」
山口「この際だから、裏話とか聞いてもいいですか?もう、立ち去るわけですから。」
教頭「そうですね。」
山口「飛ぶ鳥後を濁していきましょう(笑)。」
教頭「ははは!(笑) 校長と変な感じになるのはやめてくださいね(笑)。すみませんね。」
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山口「教頭になるときに、オーディションに行ったわけですよね?」
教頭「ありましたね。」
山口「それってどんな感じなんですか?」
教頭「最初に、海賊先生っていう方に声をかけていただいて、「よかったら、セッションしたいんだ。校長とセッションしてくれ。」って言われて……そこに諏訪さん(カヲル先生)もいらっしゃって。その時初めて……お会いしたことはあったんですけど。」
山口「あ、とーやま校長と?」
教頭「はい。そこでどういう感じでやるのかとか、ルールが分からないまま始めて。その場でこういう感じでしゃべってくださいとか、生徒の代わりに職員がしゃべるので、電話に出てくださいとか。」
山口「わ、完全にこう……ゲネプロみたいな?」
教頭「そうです、そうです。」
山口「へー……!」
教頭「生徒に電話してみよう!みたいな。でも、その時生徒をどう呼ぶとか、そこら辺のルールとかが全然分かっていなかったので、手探りの状態で。」
山口「それで決定したわけじゃないですか。教頭に。そこで、何年やるとか最初に契約があるんですか?」
教頭「これが、全くないんです。」
山口「(爆笑)」
教頭「全くないので、「去るタイミングは自分で決めていい」って。「自分が去りたいんだったらその時に去ればいい。去る者は追わないから。」って。」
山口「じゃあもう、バンドみたいですね。」
教頭「あー、そんな感じですね。」
山口「へー。」
教頭「最初は楽しいから始まって。いろんな人と喋れるし、新しい人がどんどん来るし。生徒が「わー!教頭先生だ!」ってなってくれるし。楽しいんですけど、だんだん「あれ……俺、どうやっていったらいいんだ?」っていう。1回RUSH BALLの打ち上げかなんかで僕相談したことありましたよね、一郎先生に。」
山口「ありましたね。」
教頭「僕、その相談に集中しすぎて、自分が結婚することを言い忘れて(笑)。」
山口「ふふふ(笑)。」
教頭「「なんであの時言ってくれなかったんですか?」って一郎先生に後で言われた気がしますけど(笑)。」
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山口「この間、歴代の校長教頭軍団と飲んだじゃないですか。」
教頭「軍団って……悪の軍団みたいな言い方やめてもらっていいですか(笑)。ありましたね。」
山口「ふふふ(笑)。そこに入れてもらってすごく感じたことを言ってもいいですか?」
教頭「なんかすごく怖いですけど……聞きましょう。」
山口「僕ね、あのメンバーの中で一番あしざわ教頭が自分と近いと思ったんですよ。」
教頭「え。」
山口「なんかね、この場にそぐわないけど頑張ってる感(笑)。」
教頭「それはどういう風に捉えたらいいのかなー……」
山口「僕もね、東京に出てきてミュージシャンの友達ってあまりいないんですよ。」
教頭「よくおっしゃっていますよね。」
山口「気兼ねなく話せないっていうのもあるし、違う考え方の人たちが多いなって思うんですよ。いつも孤独を感じているけど、時間が経ってくると、だんだんそういう人たちの前にいる自分を作れるようになってきて、あしらい方じゃないけど……触れ合い方っていうか。だんだん分かってきて。本当の自分ってどんなだったっけって分からなくなって、それに戸惑ったりもしているんですけど。あしざわ教頭もそういう気があるなって。なんかこう……すごい周りに合わせようとしたり、自分はこうなんだけど、それを見せないようにして、表面で人と接しているというか。」
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教頭「あー……それは……あの時に特にってわけではなかったと思うんですけど。多分、自分の性格的に、自分がすごいって思った人に対してすごく萎縮しちゃうんです。そういう人と対面した時に、自分が小さくなってしまうというか。なんでしょうね……こんなやつが喋っていていいのかって思っちゃうというか。」
山口「あー……。でも、本当はそう思っていないでしょ?」
教頭「え!いやいや。」
山口「なんかその……僕もそうなんですよ。例えば、ユーミンさんと会ったりとか、くるりの岸田(繁)さんに会ったりとかすると、話したくないくらい……」
教頭「分かりますよ……!なんていうんですかね……下手なこといって嫌われるくらいだったら……」
2人「話したくない!(笑)」
教頭「本当にそうなんですよ!!だから、一郎さんとユーミンさんが……僕はなぜかその間にいてしまって……」
山口「メトロックじゃない?」
教頭「メトロックだ!メトロックの時にそうなって。話したい気持ちはあるけど、これはどうしよう……って。無言でただただそこにいる。俺は何なんだ。でもいたい。っていう複雑な心境があの状態でしたね。」
山口「うん。だからすごい分かるけど、なんか……もっと素でいいんだと思いますよ。」
教頭「あー……」
山口「僕、心配になったんですよ、一回。あしざわ教頭を見ていて。すごく神経質な方だから、仕事の自分と、本当の自分が分からなくなっちゃって、バランスを崩しちゃうんじゃないかなって。だから、奥様とか敏感に感じていらっしゃると思うんですけど。」
教頭「なるほど。」
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山口「だから、一回楽になった方がいいんじゃないかなって思っていたの。だから、教頭を辞めるっていう話を聞いた時に、その……悲しいなとか寂しいなってもちろん思いましたけど、よかったなって実はちょっと思ったんですよ。」
教頭「あー……これを言うと語弊があるかと思うんですけど、僕が辞めるってなった時に、すごい……寂しいんですけど、肩の荷が下りた気がしました。もう教頭じゃなくなるのか……生徒からすれば、ずっと教頭なのかもしれないですけど。教頭じゃなくなるっていうので、なんか……戻れるというか、帰れるというか。そういう気持ちは正直ありましたね。」
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山口「一回、教頭になる直前に揉めたじゃないですか、僕。」
教頭「ありましたねー。」
山口「(笑)」
教頭「これはね……生徒が知る必要は全くなかったと思うんですけど、僕は本当によくやらかすんですよ。」
山口「でも、それは、僕があしざわ教頭のことをよく知らなかったから。ミュージシャンとしてのある種……立場として、ミュージシャンとしてそれはないんじゃないのっていう。あしざわ教頭にっていうか、フェスの運営的なところで怒ったことがあって。」
教頭「はい。」
山口「この際だから、皆さんにもお話しますけど。フェスで、フテネコを描かれていたじゃないですか。」
教頭「ライブドローイングみたいな形でやっていました。」
山口「そう。ライブドローイングで描かれていたんですけど、その裏でライブをしている若い子たちもいたわけです。それをTwitterで、「ライブペインティングしているから遊びに来てください」とか、ミュージシャンと2ショットを撮って、その写真を上げたりしていたんですよ。だから、ちょっと待てよと。イラストを描くっていうことはいいけど、音楽を利用しているんじゃないの?って。ミュージシャンを利用しているんじゃないかって、僕は怒っていたんです。誰だこいつと。こんなことをするんだったら、困るな……みたいな。そんな風に思っていて。その直後に教頭になられるっていう話があって(笑)。」
教頭「これは確かに嫌ですよね、逆だったら本当に。」
山口「それで、ちょっと待てよってなって。僕は別に、会って話をしないと分かんないしなって気持ちだったんだけど、大人たちが動き始めて……僕らもサカナクションの『sakanaction』が出た時期で、調子に乗っていたから(笑)。」
教頭「そんなことはないと思いますけどね。」
山口「ビクターの人がガシガシ頷いてるけど(笑)。」
教頭「(笑)」
山口「そういうのもあって、ちょっと大事になっちゃったんですよね。でも、その後お話しして誤解も解けてよかったんですけど、入口がね。」
教頭「本当に、僕自身が調子に乗っていたんでしょうね。」
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山口「ただ、音楽っていうものって、目に見えないし手で触れない分、人の心に届くじゃないですか。だから、届ける側もすごく神経質に作るし、ものすごく丁寧にブランディングしている人はしているんですよ。だから、そこに関わることってすごく難しいし、変にやると利用しているって思われると思う。だから、SCHOOL OF LOCK! のすごいところって、ちゃんと10代に音楽の力を知ってもらうっていうことを丁寧にやっているからこそ、こんなに長く続いているし、職員の愛情がすごいじゃないですか。だから、誤解を招いたのは、きっとそこの……音楽の本質というか、核の部分をまだあまり理解できていなかったからそういう風に思われたのかもしれないと思う。」
教頭「そうですね。」
山口「でも、SCHOOL OF LOCK! のチームになったわけじゃないですか。それで、10代の話を毎日聞いて。僕も、サカナLOCKS! を始めてから、自分の10代の時と、今の10代の子たちのことを比べても全然比較にならないし、リアルな10代の声を聴くとハッとしたり、分かることもたくさんあるじゃないですか。」
教頭「はい。なりますね。」
山口「それを、音楽でお返ししていくって気持ちになっているから。あしざわ教頭もきっと、ここで得たことで、縁が切れるんじゃなくて、得たものをこれから恩返ししていくというか……フテネコ描いていくっていうか。」
教頭「まあね(笑)。でも、絵とかはリアルに影響が出るなって思いますね。出ているなって感じもしますし。自分が子供ができた時に、やっていてよかったなって思うことが多分いっぱいあるんだろうなって。」
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山口「あれ?あしざわさんっておいくつですか?」
教頭「僕は9月19日が誕生日で、40になります。」
山口「じゃあ僕の1個上なんですね。」
教頭「そうなんですよ。そんな感じはしないですけどね。」
山口「若いですよね。奥様もね、すごいお綺麗でね。」
教頭「いやいやいや(笑)。(誕生日ケーキに乗っかっている)チョコレート食べながら言わないでくださいよ(笑)。」
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山口「ふふふ(笑)。でも、奥様もこないだフェスにいらっしゃっていて。RUSH BALLに。」
教頭「RUSH BALL、最高でしたね。いろんな方が暗闇をいいことに踊りまくっていましたよ!」
山口「でも、あしざわ教頭、勇気ありますよね。」
教頭「え……どういうこと?」
山口「だって、奥様がいらっしゃるのに人妻と踊るわけでしょ?」
教頭「こらこらこら。やいやいやい。」
(チャイムの音が鳴って……)
山口「(笑)」
教頭「ありがとうチャイム。チャイムありがとうだよ本当に。」
山口「でも、10月から何するか決まっているんですか?」
教頭「10月からは、自分がやりたいことをもっとやりたいなと。お芝居やったりとか。好きなことをもっとやれたらいいなと思っていますけどね。」
(♪『聴きたかったダンスミュージック、リキッドルームに』 )
教頭「あ、踊りに行こうかな!」
山口「(笑)」
教頭「ちょっと、時間みたいなので、私はやしろ教頭のところに戻ります。」
山口「じゃあ、また飲みに行きましょう。」
教頭「行きましょう!ありがとうございました。」
山口「ありがとうございました。」
今回の授業も終了の時間になりました。
山口「今までは教頭って存在だったから。これからは友達として、人生相談とかしてみようかな。相談したことを、サカナLOCKS! で、どんなこと言ってたよって報告しようかな。人妻とまた踊ってたよとか(笑)。そういうことをバンバン言おうかなと思っています。本当に、あしざわ教頭、おつかれさまでした!」
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