解説:なぜクリスマスソングはクリスマスっぽいのか?

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山口「はい、授業を始めますから、席に着いて下さい。(外国人風に)マンガを読んでいる生徒は、マンガをしまいなさーい。Twitterを開いている生徒は、Twitterを一度閉じなさーい。Instagramを開いている生徒は、Instagramを一度閉じなさーい。授業が始まりまーすよー。」

「先週お伝えした通り、本日でサカナLOCKS!は3ヶ月間の休講に入ります。来年の4月からまた授業が再開します。ちょっと充電して、4月に帰ってきたいなと思っています。そして、今夜はクリスマス・イヴですね。(外国人風に)生徒のみんなは、どんなクリスマス・イヴを、過ごしているのでしょうかー。……ふふ(笑)。では、黒板、書きまーす。……最近、サカナLOCKS!で、「山口先生のテンションが違う……」みたいなことを書かれているが、先生は常に全力だからな。」

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「今夜は、クリスマスソングの授業をお届けしていきます。メリークリスマス!12月24日ということで、クリスマスソングをいろいろとかけていこうと思うのですが……クリスマスソングって一体何なんだ。なんかクリスマス感があるだけじゃないか。先生はそう思う。では、その“クリスマス感”は一体何なのか、何が理由なのか……それを検証して、3ヶ月間の休講に入りたいと思います(笑)。」

「先生、クリスマスとかあんまり好きじゃないぞ。だが、世の中にはたくさんのクリスマスソングが存在しているし、作り続けられている。そのクリスマス感みたいなものを、先生が、辛口に、理屈っぽく説明したいと思います!まずは、超メジャーなクリスマスソングを聞いてもらいましょう。この曲のどこにクリスマス感があるのか、音的にね。バシッと解説していきますよ。」

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1曲目は、山下達郎先生の「クリスマス・イヴ」

♪ 「クリスマス・イヴ」のイントロが流れ始めて……

「(0'02")……はい、ストップ!最初のこのコーラス感。ギターにかかっているコーラスというエフェクト感がクリスマスを感じさせる。じゃあ続きを聴いてみましょう。」

「(0'15")……はい、ストップ!今の、この鐘の音!……フフフ(笑)。これは確実にクリスマス感を演出している音ですね!まずコーラスのかかったギターがループされていく中で、リズムと同時に鳴るこの鐘……。この時点でクリスマス感がもう70%くらいありますね。続きを聴いてみましょう。」

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「(0'17") ……はい、ストップ!この、ドンっていうドラムの音に対するリバーブ感ね。これもクリスマス感がかなり出ています。この時点で80%クリスマス・イヴ(笑)。続きを聴いてみましょう。……この、“ドーン”のこの感じですよね。コード感もありますね。“ファー”っと入っている(シンセサイザーの)音もクリスマス感ありますよね。声にかかっているリバーブ感もクリスマス。」

「(0'39")……はい、ストップ!“雨は夜更け過ぎに雪へと変わるだろう”……。この一節でクリスマス感満載ですね!先生、この一文でいろいろ想像できる。……この主人公はね、外にいるわけですよ。で、誰かを待っちゃってる。雨が夜更け過ぎに雪へと変わるという予報を知っている。だから、彼女が来る前に、雪になってくれ……!みたいな願望もある。サカナLOCKS!的クリスマス度で言うと、100%クリスマスソング!(笑) この、ギターのミュートのドゥン、ドゥン、ドゥン……っていう感じもクリスマス感がありますよね。」

「(0'42")……はい、ストップ!(笑) ここで、“Silent Night”って言った時点で160%「クリスマス・イヴ」ですね(笑)。」

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『カンカンカーン!』(※ゴングの音)

「はい、ノックアウト!これは、クリスマスソングです!(笑) もう、納得。これでクリスマスソング度満点。しかも、よく出来ていますね。よく聴くと、本当によく出来ている……恐るべし山下達郎先生。これ、確かCMソングだったんですよね。牧瀬里穂さんが出ている。……どうなんですかね?これ、タイアップソングとして作ったんですかね?※CM用に作ったのか、曲が先だったのか……。もし、CM用に作ったとしたら、ハンパじゃないですよ。そんな恐ろしいタイアップ能力が……。」
(※CMタイアップのために書き下ろされた曲ではないそうです。)

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じゃあ、次いってみましょうか。次は……B'zの「いつかのメリークリスマス」


B'z「いつかのメリークリスマス」


♪ 「いつかのメリークリスマス」のイントロが流れ始めて……

「(0'01")……はい、ストップ!(笑) 最初に鳴っているオルゴールの音……。この時点で、かなり悲しいクリスマスですね。クリスマス度30パーセントくらいは今の1音で奏でられていますよ。恐るべしB'z先生……。続いて聴いてみましょう。……はい、はい。悲しいクリスマス……。このオルゴールが奏でているのは、メロディですからね。オルゴールで、サビのメロディが頭に歌じゃなく、きていますからね。さあ、この後どういう展開を見せるんでしょうか……!さあ、きますよ!」

「(0'22")……はい、リバースでシンセがふわーっと入ってきて……ギターのアコギの(エフェクトでかかっている)コーラス感、これもクリスマス感がありますね。(0'36")……はい、歌にかかっているリバーブ感もポイントが高いですねー。」

「(0'44")……はい、ストップ!“ゆっくりと12月のあかりが灯りはじめ”……この一文で、「あ……年末が近いし、クリスマスが近いな……クリスマスのことを思い描いているのかな……」みたいな。その感じがもうここで50%くらいクリスマス感が伝わってきていますよ。これはよくできていますねー。やはり、ヒットソングは(笑)。」

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「(そのまま続けて聞きながら)……はい、はい。“あかりが灯りはじめ”、これはイルミネーションのことですかね。慌ただしく光で街が踊っています。そして、そんな街を好きになる、と。そして、(曲の中で、“僕”は)走り始めています。閉店間際に……椅子を買っている!(笑) 」

「(0'44")……ストップ!“君が欲しがった椅子”を、閉店間際にダッシュして買いに行っている時点でクリスマス感70点!出てますねー。仕事終わりですね。街が光で踊っているわけです。みんなそういう街が大好きだと。“僕”はそんな中走って、閉店間際の20時くらいですよ。「確かあの子……あの椅子が欲しいって言ったな……。行け!間に合え……!」ってダッシュ!お店で、「閉店間際にすみません……。」って感じで。椅子をあげたくなる関係性っていうのは、あきらかに、一緒に暮らしているんですよ。一緒に暮らしているっていうことは、クリスマスを一緒に過ごすことを前提での歌ですからね。続きを聴いてみましょう。」

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「椅子を買った……電車に乗ってる!一人で!……“幸せだった”……?」

「(1'14")……ストップ!幸せ“だった”ということは……これ、過去形ですね!これは、今年のクリスマスじゃない!……ははは(笑)。“いつまでも手を繋いでいられるような気がしていた”……はい。“何もかもがきらめいて”……幸せだからね。きらめいちゃう。“夢を追いかけた”……ふたりの夢があったんですね。“喜びも悲しみも全部分かち合える日が来ること”ということは、結婚するとかってことですね。いつか結婚するだろうなって思って……」

「(1'53")……はい、ストップ!“メリークリスマス”出ました。いつか、付き合っていた彼女との関係性を、クリスマスというものを通して思い出しているこの曲は100点満点のクリスマスソングです……!」

『カンカンカーン!』(※ゴングの音)

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「……ノックアウト(笑)。ノックアウトです……。サカナクション先生は、ノックアウト。さすがによく出来ていますね、この歌。すげーよく出来てる……(笑)。もう、喉乾いちゃいましたよ、先生(笑)。これはやっぱりすごいですね。1mmの隙もない。隙のないクリスマスソングですね。だって、最初すごいポジティブに始まっているんですよ。ネガティブな音階、マイナー調に対して、ポジティブに始まる時点で回想的なイメージが入るんですよ。思い出している感は最初無いんだけど、曲の歌詞の途中で1ヶ所だけ過去形になっただけで、全部が思い出になるっていうね……。よくできていますね。歌詞は稲葉さんですか?稲葉大先生ですか。これは巨匠ですねー。素晴らしいですね。しかもね、アコースティックギターのリバーブって、この時点でクリスマス感がありますね。」

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「ちなみに、先程の山下達郎先生の曲とこの曲の共通点は、ドラム・インするときに、タン、トン、トンっていうタム回しから入っているっていうね(笑)。じゃあ、ドンドン行きましょうか。じゃあラストは、クリスマスソングの中でも思い入れのある曲を聴いてみましょう。稲垣潤一先生の「クリスマスキャロルの頃には」。これ、懐かしいですねー。」


稲垣潤一「クリスマスキャロルの頃には」


♪「クリスマスキャロルの頃には」のイントロが流れ始めて……

「はい、はい……。懐かしいですねー。わははは!(笑)」

「(0'09")……ストップ!いきなり“クリスマス”きましたねー。しかもね、先生はちょっと思うことがある。クリスマスキャロルの“キャロル”って何だ?(笑) (職員が調べて山口先生に伝えると……)あー。クリスマスキャロルっていうのは、クリスマスソングそれ自体のことをクリスマスキャロルって言うってことね。なるほど、そういう曲が流れる頃にはってことか。(続きを聴いていきます。)……わははは(爆笑)。これ、めちゃくちゃパンチありますね。」

「 (0'21")……はい、はい、ストップ!“君と僕の答えもきっと出ているだろう”……つまり、これはまだ11月の終わりくらいの可能性もあると。ははー。クリスマスソングであるにも関わらず、歌自体はクリスマス前であると。これは新しいですねー。すごいですね。ひょっとすると春かもしれない。……リリースは10月末!?すごいですねー(笑)」

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今回の授業も、そろそろ終了の時間となりました。

「やっぱり、80年代から90年代のクリスマスソングっていうのはすごく考えられていますね。聴く側の人たちの耳も肥えていたんでしょうね。音楽は今ほど簡単に手に入らなかったから。だから求めるものの種類が違ったんでしょうね。現代の音楽が悪いって言っているわけではなく、聴かれ方が違った分、すごく競争が激しかったのかもしれないですねー。」

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「クリスマスソングの授業が最後になって、ちょっとはしゃいでしまいましたが(笑)。来週が大晦日なので、今夜が2015年最後の授業になりますね。サカナクションにとって2015年はどんな年だったかっていうのを最後にお話しするとなると、一言では言い表せないのですが……。なんかね、いろいろ取材とかで、2015年のベストアルバムを教えてください!って聞かれることがあるんですよ。でもね、先生は半年くらいずっと(制作で)潜っていたんでね(笑)。半年間の記憶がほぼ無い(苦笑)。6ヶ月間くらいしか2015年を謳歌していなかったんだが、2015年は、先生たちにとっては飛躍の年になりました。それは、セールスがあったとか、動員があったとか、そういったことでの飛躍ではありません。先生たちがやりたいと思っていたことを実現できた年でした。それは、生徒諸君に口酸っぱく言ってきた『NF』というイベントね。音楽に関わる音楽以外の仕事を伝えるイベントをやりたい。リスナーのみんなと音楽体験を共有したい。そういうことを2015年にやりたいと思って実現した年でした。そういった意味ですごく飛躍した年でしたが、2016年は、先生は、また新しいアルバムを作ってツアーを回りたいと思います。なるべく短期間で制作をして。3ヶ月間お休みするこの期間に、なんとか先生はアルバムを作り上げて……さくらんぼ狩りとか七草狩りとか行かないように(笑)。……2016年の目標は「何か狩りに行かない」!(笑) 無事にまた4月にサカナLOCKS!へ戻ってきた時には、アルバムも出来て、ツアーも決まって、良い形で戻って来れるように先生は頑張りたいと思います。先生が授業をやっていない間にも、『NF』があるのでね。みんな、遊びに来るように。あと、何らかの形でSCHOOL OF LOCK!に飛び入り参加しようと思っているので楽しみにしていただけたらと思っています。」

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「今回の授業で、サカナLOCKS!は3ヶ月間の休講に入ります。皆さん、また春に会いましょう。受験生、受験頑張ってくださいね。良い結果が出て、春にまた先生と会えるように、勉強を頑張るように。先生も音楽を一生懸命頑張ります。2016年4月、サカナLOCKS!はまた授業再開です。その時に会いましょう。メリークリスマス!良いお年を!チャオ!(笑)」

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放送後記

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