サカナクション先生がアナログ盤をリリースするということで、前から興味のあったアナログレコードプレイヤーを買いたいと思います。いろいろ調べてみたら、値段が高いのが多かったので、まずは安いプレーヤーを買いたいと思います。それにしても針で音楽が流れるってすごいですね。
男/19/東京都
山口「おー、偉い。トライ、プレーヤー買うんだ。偉い。実際に、レコードっていうのはそれに音が刻まれていて掘られているんだよ。それを針が読み取って音が鳴っているわけだから、そのレコードが鳴っていると言っても過言ではない。」
山口「きのう3月25日に、サカナクション初期の作品、『GO TO THE FUTURE』、『NIGHT FISHING』、『シンシロ』のアナログ盤がリリースとなりました。今夜は、サカナクションのアナログ盤に針を落として、いっしょにアナログ盤のサカナクションの楽曲を聴いていきたいと思いますが、目の前にレコードプレーヤーがあるんですよ。だからちょっとドキドキしているんですけど。……今日はね、ここで突然の、副担任の登場です。副担任の……ヒゲマンボウ。」
江島「江島啓一です。よろしくお願いしまーす。」
山口「今日は、エジマンボウと一緒に。」
江島「はい(笑)。マンボウ先生で良いですよ、もう。」
山口「(笑) マンボウ先生と一緒に針を落としていくわけですけど、アナログ盤、ついにリリースされましたね。」
江島「はい、されました。」
山口「先生、アナログ盤の作業は、副担任'sの諸君に頑張ってもらって、歌詞を書いていましたけど(笑)。」
江島「七草狩り、まだ行ってるんだ(笑)。山から下りてきてないの?」
山口「今、通いだから(笑)。ロープウェイで。ここまで毎回ロープウェイで来てるから(笑)。」
江島「あははは!(笑) 通いなんだ。」
山口「そうそうそう(笑)。まだ行っているんでね。いろいろと作業を頑張っていただいたわけですけど。」
ということで今回は、サカナクションのドラム 江島啓一先生と一緒にアナログ盤に関する授業をお送りします。先日リリースされたばかりの、サカナクションのアルバム初期3作品のアナログ盤、そしてレコードプレーヤーを教室に用意して、アナログ盤を聴きながら授業していきます。
山口「ついに、できましたね。」
江島「でかい。」
山口「うん、でかいね。これ……生徒諸君にも見せたい!まあ、ジャケットの表1(表表紙)はCDと一緒なんだけど、中身が違うんだよね。こう……パーンと開いてもらうと……。これ、見せたいな……生徒諸君にも。何て言ったら良いんだろう……。うわー。」
江島「やっぱね、サイズが違うと、細かい所に発見があったんだよね。」
山口「例えば?」
江島「『NIGHT FISHING』のやつって写真じゃん、絵じゃなくて。」
山口「デザインの中にあるものがね。うんうん。」
江島「この奥行き感とか、ここまで細かく見られなかったなって。」
山口「CDとして出たときは気づかなかったものが、レコード盤として出たことで、サイズが大きくなって、より、そのデザイン性みたいな所に気がついたってことね。」
江島「はい。」
山口「でも、実際に自分たちのCDがアナログ化されるって、ドキドキするね。」
江島「ドキドキするよね。」
山口「生徒諸君……トライとかはプレーヤーを買うって言っているけど、なかなか踏み切れない生徒諸君がいっぱいいるわけじゃん。だって、レコードプレーヤーだけあれば良いわけじゃないんでしょ?」
江島「そうだね。」
山口「これを、音として流すってなると、いろんな工夫が必要だったりするので。アナログって何なのかっていうところも、ここで、生徒諸君といっしょに学んでいきながら、実際にレコードに針を落とすってこともやっていきたいんですよ。ラジオのオンエア上で、アナログの音とデジタルのCDの音の違いが分かるかは分かんないんだけど(苦笑)、実際、アナログをかけていますよっていうのを体験しようかなって。」
江島「はいはい。ここで。」
山口「だってさ……アナログって、実際にこれ(盤自体)が鳴っているんだもんね。」
江島「鳴ってる、鳴ってる。実際にね。マイクとか通ってなくて、このままで音が出てるってことだよね。」
江島「そうそう。レコードには、溝があって、それで音が記録されているんですけど。」
山口「だから、実際にレコードを見てみると、溝が細い所と太い所とあるわけじゃん。これはつまり、曲の展開だったりしているってこと。音が高い所は溝が細かったり、音が厚い所は溝が深かったりしている。」
江島「そうそう。溝が無い所が、曲間ですよ。」
山口「あ、だって、エジー、レコードを作る時にレコードの工場に行ったんでしょ?」
江島「行った!」
山口「これってさ、素材は何なの?」
江島「ビニール。(※ポリ塩化ビニル)」
山口「あ、ビニールなんだ。」
江島「だから、ちょっと格好良く言おうっていう人は、バイナル (vinyl)って言うの。『俺、バイナル持ってるよ。』って。」
山口「ははは!(笑) 『サカナクションのバイナル、買った?』って(笑)。」
江島「そうそうそう(笑)。」
山口「じゃあ、サカナLOCKS!の生徒は、アナログとかLP、レコードじゃなくて、“バイナル” って言えばかっこ良くなるんだ(笑)。」
江島「そうそう(笑)。なんかちょっと通っぽいよね。」
山口「先生もレコードプレーヤー持ってるじゃん。で、針を置くでしょ?そうすると、ここから小さい音で鳴ってるんだよね。」
江島「鳴ってる。」
山口「つまり、針がレコード盤を読み取って、その音を増幅させて、スピーカーから鳴っているんだもんね。」
江島「うん、うん。」
山口「ってことは、ここに小人がいたら、ここでフェスが行なわれているってことだよね。」
江島「あー(笑)。行なえるかもしれないね。相当ちっちゃいフェス(笑)。」
山口「実際に工場に行って作っているのを見たときは、どうだったの?どんな風に作ってるの?」
江島「この、レコードプレーヤーの、めちゃくちゃデカいバージョンみたいなのがあって、掘るときの素材はバイナルじゃないんだけど。」
山口「ああ、型がね。」
江島「そう。パッと見は、針を落として聴いているみたいな感じなんだけど、実際はそれが掘られているの。」
山口「今日はここに、レコードプレーヤーがあるわけですけど、これはどこのブランド?」
江島「テクニクス(Technics)のSL-1200。」
山口「有名なやつですよね。今、これ、売ってないんですよね。」
江島「売ってないです。生産中止です。」
山口「先生、今回事情があってレコードプレーヤーを買い揃えたじゃないですか、新しく。これ買おうと思ったんだけど、無いんだよね。」
江島「うん。」
山口「中古ではあるんだけど、先生ちょっと、潔癖性だから中古は嫌なんだよ。」
江島「そうなんだ(笑)。潔癖性だったんですね(笑)。」
山口「誰が触ったか分かんないの、嫌だからさ。家にあるの。」
江島「ふふ(笑)。で、新品のを?」
山口「新品の。パイオニア(Pioneer)にしたけどね。……これが、かの有名な、テクニクスだね。」
江島「DJの人とかが使ってるやつだね。」
山口「うん、よく見ますよ。……じゃあ、これを使って実際に曲を聴いてみたいと思うんですけど、どの曲にする?」
江島「えー……やっぱりファーストじゃないですか?」
山口「だよね。先生もそう思った。ふふ(笑)。じゃあ、“三日月サンセット”にしようか。音が実際にここで鳴っているっていうのを上手く説明したいよね。」
江島「したいね。」
山口「じゃあ、ちょっとやってよ、エジ君。」
江島「じゃあ、針を落とすよー。レコード回しまーす。この針を……この、縁に上手く落とす……。」
(レコードに針を落としたノイズが鳴って……)
山口「お。カチャッて言った。聞こえる?生徒のみんな。サーっていってるね。」
(♪ “三日月サンセット”のイントロが流れ出して……)
山口「ういー!……分かる?今、ここに小人がいたらフェスが行なわれているくらい、小さい音が流れているんだよ。……あー、なるほどね!違うね。」
江島「まろやかになるでしょ。」
山口「やっぱり、塊になってるね、音がね。デジタルとは違うね。……ラジオで分かるかなー。」
江島「分かるかなー。」
山口「今、目の前でターンテーブルが回っているわけだから、これをちょっと触ると、回転数が遅くなるわけじゃん。すると、曲が遅くなるんだよね。……ちょっと、触ってみるよ、先生。」
(♪ 音がゆっくりになって……)
江島「おぉー!(笑)」
山口「なった?先生の声、変になった?」
江島「なった!」
山口「じゃあ、もう一回触ってみるよ!タッチするよ。」
(♪ 音がゆっくりになって……)
山口「わははは(笑)。おー……。」
(♪ 元のテンポに戻って……)
2人「イェーイ!」
江島「……実際こんな使い方はしないんだけどね(笑)。」
山口「でも、実際DJとかがテンポを合わせたりするのに、速度落とす時にはやるよね。」
江島「そうですね。」
山口「じゃあ、実際にここにターンテーブルがあるわけだけど、いろいろ、先生が気になる所を言っていこうかな。」
江島「お。」
山口「あのさ、“33”と“45”っていう、これは何なの?」
江島「これはレコードが、1分間に33.333333……回転するの。」
山口「45っていうのは?」
江島「速いんですよ、33より。」
山口「この違いは何故あるの?」
江島「これは、盤によって……バイナルによって(笑)、回転数が違うんですよ。」
山口「違いを設ける理由は何?」
江島「45の方が速い分、音が良いんだけど、あんまり入れられないの、時間を。だから、アルバムとかだと33とかの方が多いかな。」
山口「はいはい。レコードのサイズが決まっているから、掘れる量が決まっていると。だから45だと速く掘る分、あまり量を掘りきれないと。その代わり、音が良いよと。33だと、アルバムとかで曲数をいっぱい入れたい人が回転をゆっくりする事で情報量をいっぱい入れられると。」
江島「そう。収録時間が長くなる。」
山口「だから何曲も入れられるってわけね。ちなみに、サカナクションのこのRPM(回転数)はいくつなの?」
江島「33の方です。」
山口「33の方で曲数をいっぱい入れられるバージョンにしたわけね。シングルとかは45が多いよね。」
江島「前に出した、『INORI EP』は45なの。1曲ずつしか入ってないんだよね。A面とB面。……あ、表面と裏面ってあるんですよ。」
山口「そう!レコードって、表と裏があるんだよね。つまり、“A面”、“B面”ってよくあるじゃん。シングルとカップリング、みたいな。あれってこのレコードからきていたりするんだよね。」
江島「そう。裏面って感じで。」
山口「じゃあ、次の曲に飛ばしたいときはどうすれば良いの?CDだとボタンひとつじゃん。」
江島「はい。」
山口「例えば、今は1曲目の“三日月サンセット”をかけています。でも、『ねー、エジマンボウ、“インナーワールド”聴きたーい!次の曲が聴きたーい!』って。」
江島「ほほほ(笑)。『ちょっと待ってな!』」
山口「これ、どうしたらいいの?」
江島「これは、針を持ち上げて……」
(♪ 曲が止まって……)
山口「あ、(音が)止まった。」
江島「で、2曲目の、(溝が)掘られていないところに落とすんだけど……。」
山口「うん。じゃあ、置くよ。え、掘られていないところって、どこ?……ここ?」
江島「うん、置いて。」
山口「え、この隙間だよね?」
江島「そう、隙間、隙間。」
山口「うわ……頑張って、ちょっと……」
(※ 山口先生が針を落としてみると、曲の途中がいきなり流れて……)
江島「あー!(笑) ちょっと、(ラジオの)AD失格ですよ、これ!(笑)」
山口「ちょっと待って!……頑張るから!……先生、ちょっとこれ、ポジションが悪いわ。」
(※ 再び山口先生が針を落とすと“三日月サンセット”のアウトロ部分、だんだん音が小さくなっていく部分が流れて……)
山口「わー!(笑)」
江島「ちょっと残っちゃってる(笑)。」
山口「うわー、これ、ちょっと……。勝負しようぜ!AD勝負!」
江島「うん(笑)。」
山口「(DJ風に) サカナクションのレディオプログラム……じゃあ、次の曲聴いてもらいましょう。“インナーワールド”」
(※ 山口先生が針を落としてみると、同じく、“三日月サンセット”のアウトロ、最後の部分が残っていました。)
山口「いやー……!これ、難しいわ(笑)。」
江島「山口先生、失格です(笑)。」
山口「じゃあ、エジーやってよ。」
江島「うん。じゃあちょっと……マイク、どかしていい?」
山口「わははは!(笑)」
江島「本気になるよ!(笑)」
山口「じゃあ俺がMCやるね!(再びDJ風にしゃべる)サカナレディオー!……どうも初めまして、サカナクションのボーカルの山口一郎ですー。イェーイ!それでは聴いてもらいましょう。サカナクションで“インナーワールド”!」
(※ 江島先生が針を落としてみると……)
(♪ インナーワールドのイントロが鳴る……)
江島「お!?」
山口「いや!でもちょっと欠けたじゃん!(笑) なんでそれで満足してんの(笑)。」
江島「うわー(笑)。ちょっと欠けたー!」
山口「何だよ!『どうよ!』みたいな顔して!(笑) ダメでしょ、今のじゃ!」
江島「勢いで行けるかなと思って(笑)。」
山口「……つまり、次の曲に移るためには、溝を見て針を落とさなきゃいけないんだね。」
江島「そうだね。テクニックが必要だね。」
山口「つまり、アナログの不器用な所もあるわけでしょ。現代的じゃない所。次の曲に飛ばしたりとか、A面に2曲入っていて、次の曲にするためにはひっくり返さないといけないとか。そういった一手間あるところも、レコード……バイナルのね!楽しみ方の一つだったりするわけですよね。」
江島「バイナルのね!うん。」
山口「じゃあ、実際にレコードを聴くためには何が必要なのかな?」
江島「フォノイコライザーっていうのが必要なんだけど。」
山口「ちょっと難しい言葉が出てきたぞ……。」
江島「難しいね。でも、今、全部入っているやつがあるから。」
山口「全部が入ってるって、何が入ってるの?」
江島「レコードプレーヤーと、スピーカーと、ヘッドフォンのジャック。コンポに繋げたい人はコンポに繋げられますよってやつと、」
山口「コンポに繋ぐってどうやって繋げば良いの?」
江島「あのー……"赤白(RCA端子)"ってやつ。」
山口「赤白ね。」
江島「あと、パソコンに繋ぎたい人は、USB接続できますよってやつ。」
山口「じゃあ、それが一個あれば、レコード聴けちゃうってやつもあるんだね。」
江島「聴けちゃいます。」
山口「ちなみに、それのお値段は……(笑)。」
江島「ははは(笑)。それは、オープン価格です。多分そんなに高くない。1万円ちょっとくらいですかね。」
山口「でも、音質はちょっとあれだよね。それ自体が鳴るってことだもんね。」
江島「そうだね。」
山口「でも、自分の家にあるコンポだったり、パソコンに繋げたり出来るんだったら良いよね。」
江島「割とお手軽に始められるやつがあるんです。」
山口「じゃあ、いろいろと調べてもらったりすると、サカナクションのバイナル聴いてみてー!って思っても、家にプレーヤーがない人も、お父さんとかにお願いして買ってもらったりすると良いんじゃないかな。」
江島「はい。」
山口「こうやって、レコードを楽しむ若者たちが増えてきているそうで、レコードも今売れているみたい。そうやって、音楽の楽しみ方も、自体を経る事で増えていくっていうのは当たり前の事だけど、古き良きものを、楽しみ方として残しておくっていうのも大事な事じゃないかなと思います。」
江島「はい。」
山口「ということで、今回の授業はここまで。サカナクションの山口一郎と」
江島「江島啓一でした。」
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