54年ぶりの開会式中止、延期。
そんな不運が私たちを襲った第96回全国高校野球選手権大会。
通称、夏の甲子園。しかし、私にとって開会式がなくても、球児たちの熱い試合がなくても、夏の甲子園を堪能することは充分であった。
甲子園球場を訪れると、中止となった開会式を惜しむかのようにたくさんの高校野球ファンがいた。
そこで私達は広瀬すずちゃんやよしだ教頭、SCHOOL OFLOCK! 職員と共に甲子園球場スタジアムツアーに参加。ここでは球場スタッフの説明を聞きながら、普段入ることのできない場所を巡った。まず案内されたのは3塁側の室内練習場。ここで球児は自分たちの試合の一試合前まで練習するそうだ。ピッチングマシーンを置いて打撃練習をするチーム。ランニングなどウォーミングアップに専念するチームなど使い方は様々だ。そして、練習場で一番印象に残ったのは、マウンドだ。グラウンドのマウンドと同じ仕様となっている。夏の甲子園では敗れた際、球場の土を持ち帰る。汗と涙でぐしゃぐゃになりながら、土を拾い集めるのは夏の甲子園の名シーンの1つと言えるだろう。他にも選手の意気揚々とグラウンドに駆けていく姿、勝利して腕を高々と挙げた姿、選手のプレーに沸き上がるスタンド……。練習場の土を見ただけで様々な情景が浮かび上がってきた。数々のドラマの裏には室内練習場も絡んでいるのかもしれない。
次に向かったのは、選手が試合後、インタビューを受ける通路だ。そこは勝負の世界。勝利したチームの指名選手、監督が大々的に取り上げられ、敗北したチームの指名選手、監督は区切られてインタビューを受ける。テレビの前では当たり前のように思っていたが、生で見て、残酷な気がしてならなかった。
最後に向かったのは球場内にあるロイヤルスイートルームの広間。全面ガラス張りのそこから見えたのは一面の甲子園球場。芝生の鮮やかな緑、バックスクリーンの時計台。校旗を上げる3本のポール、深く作られたライト、レフトスタンド。球場をテレビでしか見たことがなかった私は今までに感じたことがないような興奮と感動を覚えた。高校野球をテレビ観戦する度に、「生で見れたら……。」と強く願った聖地・阪神甲子園球場が今、目の前にある。私たち、リスナー記者はすずちゃんやよしだ教頭を驚かせてしまうほどの興奮状態に陥ってしまったのだった。ここでたくさんのドラマが生まれるのだ。次また球場を訪れるときはこの目でドラマを目撃したい。貴重な体験をさせてくれたスタジアムツアーはここで終了。