今年も卒業シーズンがやってきた。
SCHOOL OF LOCK!では、いつもこの旅立ちの春に、アーティストと一緒に全国の学校に出張して、卒業生に贈るサプライズLIVEを行っています。
それが『MY GENERATION』
今年の担当アーティストは、我が校の"青学"の講師、BLUE ENCOUNT。
今回も全国から、色んな思いで、たくさんの応募がありました。
そん中、見事選ばれた学校は、熊本県 湧心館高校。
ちょっとだけ僕の話をさせて下さい。
この学校に決まったと聞いたとき、本当にビックリしました。
この湧心館高校は、僕、職員のバンズの母校。
僕は元々、湧心館高校とは別の高校に入学しました。
しかし当時、めちゃくちゃヤンチャなことばかりしていて、1年も経たずして退学。そんな、どうしようもない僕を受け入れてくれたのが、この湧心館高校でした。だけど編入してからも迷惑ばかりかけてきました…。3年で卒業することができず、4年かけて卒業。数年後、ヤンチャからも卒業。さらに数年後、SCHOOL OF LOCK!の職員になり、現在に至ります。
母校のために何かできる日がくるなんて、、、当時迷惑をかけた分、母校の後輩のために絶対に成功させたいという気持ちでした。
そんな僕の個人的な思いもありつつ、ブルエン先生にとっても地元・熊本県。
去年は震災の影響で、学校行事もいつも通りできなかった。そんな湧心館高校の生徒にとって、何年経っても色褪せない、強烈な瞬間を刻みたい!
そんな思いで開催された、MY GENERATION 2017の模様をレポートしていきます。
今回LIVEを届けてくれるブルエン先生も前日に熊本に到着。
生徒たちが下校した後、夜の湧心館高校で、リハーサルをしていました。
MY GENERATIONは、サプライズLIVEなので、絶対にばれてはいけません。
湧心館高校の先生方の協力のもと、体育館は数日前から工事中ということにして、真っ黒のカーテンがされています。
近所の人にもばれないように、ブルエン先生も、ステージの設営スタッフも、できるだけ音を出さないように、こっそりとリハーサルが行われました。
細心の注意を払って、準備が進められていきます。
一方その頃、校長・教頭はドライブから帰ってきて、FM熊本に到着。
なんと!阿蘇まで行ってきたんだって!
そして、夜10時。
いつも通り、SCHOOL OF LOCK! 開校の時間です。
何度も言うように、MY GENERATIONはサプライズLIVE。
熊本県での開催は事前に発表されていたけど、どの高校かは当日まで秘密。「明日はMY GENERATIONだから今夜は、エフエム熊本から生放送!」なんてこと言ったら開催校がばれちゃうかもしれない!
ということで、エフエム熊本からとは言わずに、生放送授業がスタート。協力してくれた、エフエム熊本のみなさんも、本当にありがとうございました!
でも、気付いていた生徒もいるかもだけど、この日の放送後記の写真がいつもと明らかに違うよね?(笑)
2月28日(火)、朝9:00、熊本の天気は晴れ。
いよいよMY GENERATION 2017当日です。
ブルエン先生・校長・教頭・職員で、湧心館高校の生徒たちにばれないように、こっそりと学校に入り、柔道場で本番までの準備を進めます。
この日は、湧心館高校 卒業式の前日。
この時間、生徒たちはというと…3年生は、卒業式の予行練習。1、2年生は、理由もわからないまま学校に残され、本来やらなくていい掃除をさせられていたんだって(笑)
さぁ、いよいよMY GENERATION 2017がはじまります。
まずは、生徒たちを体育館に呼び出します。
ピンポンパンポーン〜♪
突然の校内放送のチャイム。
しかし、流れてくる声は校内放送では聞き覚えのない、とーやま校長・あしざわ教頭の声。
「湧心館高校のみなさんはじめまして!突然ですが呼び出しです。これから、明日の卒業式に先駆けて、みんなの大切な3年間を、これからの人生で、絶対に色あせない記憶に刻むため、湧心館高校3年生の卒業を祝うLIVEを行います!全校生徒、今すぐ第2体育館に集合するように!」
その声にピンときてくれた生徒や、よくわかんないけど何かはじまる!と思った生徒たちが、「キャー!」「何これー!?」という叫び声をあげながら、第2体育館に走って集まってくる!!!
本当にあっという間に、体育館に全校生徒が集まりました。
目をキラキラさせている女子たち、わけもわからず調子に乗っている男子たち、1人ですみっこに立っている女子、正直ちょっとめんどくさそうな男子...。
だけどみんな、これから始まる「何か」にドキドキして暗闇の体育館に集まった。
湧心館高校の全員に向けた、MY GENERATION 2017、
スタートです。
湧心館高校の体育館に、SCHOOL OF LOCK!のギターチャイムが鳴り響く。
SCHOOL OF LOCK!とはなんなのか、なぜ僕らがここへ来たのか。ここで全てネタばらし。
ブルエン先生のオープニングSEである、MISSPRAY『Break Down The Clock』が鳴り響く。生徒たちのワクワク感も一気に上がる。
「湧心館高校のみんな元気?自己紹介しようと思ったけど、後にする!お前らの楽しい顔もっと見たいから。」
そんな田邊先生の言葉からLIVEがはじまる!
1曲目『LAST HERO』
「俺らは死ぬ気で夢を1個、1個叶えていってます。」
きっと初めてLIVEを見る生徒もたくさんいただろう。ブルエン先生はそんな生徒たちも含め、1人、1人にメッセージを届けていく。
「ぶっちゃけ、もっと盛り上がりたいんだよね!」
ここでとーやま校長&あしざわ教頭がステージイン!!!
「校長&教頭だけでは、まだ足りない!」
ここで、このMY GENERATIONに応募してくれた、聖華ちゃん&千夏ちゃんもステージイン!
聖華ちゃんの「湧心館高校いけるかー!?」という言葉からはじまった、
2曲目『LIVER』普段はタオルを回して盛り上がる曲だけど、タオルの代わりに制服のネクタイを振り回す生徒たち!!!
みんなLIVEの楽しみ方がわかった!その勢いのまま、3曲目『DAY×DAY』
最初は、後ろで1人でじっと見てた女の子、最初は、ライブを見ず、後ろで友達としゃべっていた男の子のグループ、そんな生徒たちも、身体を動かし、手を挙げる!
「他の誰でもなくて、お前が誰かの光になってやれよ。ただそれだけの歌です。」
4曲目『もっと光を』
“お前らの前でLIVEできて良かった。
今日の日ももちろんだけど、この3年間の楽しかったこと、
イヤだったこと、学校のこと、友達のこと、絶対忘れんなよ。
でも3年間1人だったていう生徒もいるだろ?
それでもいいじゃん。
3年間1人で頑張っとったお前は絶対強い。その気持ちを忘れんなよ。
そんなお前らのことをずっと考えていた先生のことも忘れんなよ。
お前の笑ってる顔、すごい良い笑顔です。
初対面の俺ら、先に大人になった俺らが言うから間違いない。
お前らの3年間、間違いなかったんだなと思った。
出会ってくれてありがとう。BLUE ENCOUNTでした。”
最後の曲『はじまり』。
そう、3年生にとって明日からが『はじまり』。
授業の最後はもちろん校長の黒板で締めます。
「熱」
熱量さえあれば、人は動くし、物事も動くし、人の心も動かすことができる。
今日も応募してくれた2人の強烈な熱があったからこそ実現できた。
熱で楽しい未来を作ることができる。
全部に熱を持って接することは難しいと思う。
僕も、この湧心館高校を卒業して、
好きなことだけに熱を持ってやってきました。
それが”今”につながった。
みんなも自分の好きなことだけでもいいから「熱」を持ってやってみて。
きっと楽しい未来が待っています。
熊本はまだまだ大変なこともあるけど、
この瞬間、みんなの笑顔を見れて良かった。
終わって生徒と話していて「3年間どうだった?」と聞くと、
みんな「色々あったけど、この学校で良かった!」と言っていた。
そこで自分も気付いた。
僕もこの学校を卒業して良かった。
今回この湧心館高校に決まるまでに、3人のキーマンがいました。
湧心館高校 情報処理科 3年4組 平川 聖華
聖華ちゃんは去年の夏からSCHOOL OF LOCK!を聴いてくれていました。
同じく、湧心館高校 情報処理科 3年4組 向井 千夏
千夏ちゃんはブルエン先生が大好きで、聖華ちゃんにMY GENERATION 2017のことを聞き、応募してくれました。
そして、3年4組 担任の軸丸美奈子先生。
LIVEが終わり、ブルエン先生、校長・教頭と、聖華ちゃん、千夏ちゃん、軸丸先生みんなに話を聞きました。
聖華ちゃんと千夏ちゃんは、3年間同じクラスで過ごしてきた大親友。
軸丸先生も3年間担任を務めてきた。
改めて応募の経緯を聞いていきます。
湧心館高校は、校則が厳しい学校だった。
だけど2人は諦めず、担任の軸丸先生に猛烈な熱量でアタック。
軸丸先生は、昨年の熊本地震もあり、これまで生徒たちのやりたいことを実現させてあげれないもどかしさを感じていた。ようやく生徒たちのやりたいことを実現させてあげられるチャンスだと思ってくれた。
軸丸先生が職員会議で掛け合ってくれて、湧心館高校の先生方は「生徒にごほうびをあげよう!」という気持ちで全面協力してくれました。
お互い、「大好きな先生です!」「とっても可愛い生徒です!」と言い切る。
本当に良い関係なんだね。
「大好きな先生たち、一生付き合いたい友達に出会えた。この高校に入って良かった。」
聖華ちゃんと千夏ちゃん、2人の素直な気持ちを話してくれました。
…ちなみに、卒業式の退場曲は、前日に急遽、ブルエン先生の「はじまり」に決まったんだって。今回のサプライズLIVEがあるため、練習では別の曲を代わりに使っていたんだけど、なんと、その曲は「3分クッキングのテーマ」。違和感ありすぎて、生徒たちは疑問に思っていたんだとか。(笑)
こうして、今年もMY GENERATIONが終わった。
ブルエン先生、SCHOOL OF LOCK!の職員は東京に帰った。
翌日の卒業式が終わり、3年間共に過ごした友達、先生とはバラバラになった。
別れがあるから、出会いがある。
終わりがあるから、はじまりがある。
さぁ、春から新しい人生の”はじまり”だ。