NOEVIR Color of Life

EVERY SAT / 09:00-09:30

今、仕事も家庭も自分磨きにアクティブな生き様を実践する女性達。そんな女性達がいつまでも輝く心と勇気を失わず、体も心も健康な毎日を送るため、各界を代表して活躍する女性ゲストが自らの言葉でメッセージを送るのが、このノエビア カラーオブライフ。「生きること、輝くこと、そして人生を楽しむこと」をテーマにした、トークや音楽、話題、情報などが満載です。

TOKYO FM

NOEVIR Color of Life

EVERY SAT / 09:00-09:30

唐橋ユミ

今、仕事も家庭も自分らしく、いきいきと生きる女性たち。いつまでも輝く心を失わず、心も体も充実した毎日を送るため、各界を代表して活躍する女性ゲストが自らの言葉でメッセージを伝えます。“生きること、輝くこと、そして人生を楽しむこと”をテーマにした、トークと音楽が満載のプログラムです。

Guest小川洋子さん

小川洋子さん

1962(昭和37)年、岡山県生れ。早稲田大学第一文学部卒。
1988年「揚羽蝶が壊れる時」で海燕新人文学賞を受賞。
91年「妊娠カレンダー」で芥川賞、2004年『博士の愛した数式』で読売文学賞、本屋大賞、同年『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花賞、06年『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞を受賞するなど、数多くの小説・エッセイを執筆。海外にも愛読者を持つ。

家族、出会い、そして、物語を紡ぐということ

2025/01/25
今週も作家・小川洋子さんにお話を伺いました。

物語作りで大切にしていること
小川洋子さんが物語を作る上で大切にされているのは、「焦らないこと」と「登場人物の自由を尊重すること」。作家として物語を無理に動かさず、登場人物たちが自然にどの方向へ進むのかを見極めることを心がけているそう。
また、五感の中で特に「耳を澄ませる」感覚を重視し、登場人物たちの声や足音、風景の中の風の音などをじっくり感じ取る時間を大切にされています。そのため、すらすらと書けるわけではなく、一行書いては消す作業の繰り返しなのだとか。

創作の苦しみと喜び
作品を執筆する際、小川さんは「筆が乗る」という経験がないといいます。しかし、その苦しみは「価値のある苦しみ」だと感じて、登場人物たちが物語の中で生き生きと動き始める瞬間に喜びを感じるのだとか。ラストが決まっていない状態で書き進め、書き終わった時に「ここへ来るために書いていたのだ」と気づくときが、執筆がうまくいったと感じられるそうです。

プライベートと創作への影響
プライベートでは、ラブラドール・レトリバーの"Love"との生活が、小川さんの創作に大きな影響を与えています。「犬を飼ったことが人生で一番の選択」と語るほどの小川さん。言葉を話さない存在である犬と接する中で、小説が「言葉にできないこと」を描く場であることを改めて実感したと言います。
犬との時間は、小説の中で言葉にできない感情や経験を受け止める重要なきっかけになっているそう。

新たな挑戦と「推し活」
子どもの成長や犬との別れを経て、小川さんはミュージカルに出会い、新たな楽しみとして俳優・福井晶一さんを応援する「推し活」をスタート。舞台を観劇し、作品を通じて俳優としての深みや美しさを感じる時間は、小川さんにとって大切なひとときとなっています。
また、これから描いてみたい登場人物像として、小川さんは「隅にひっそりと隠れるような人々」や「死者たちの言葉を物語の中で再現すること」を挙げられました。また、小説の題材として、数学など一見小説とはかけ離れた分野にも興味を持っているとのこと。どんな分野であれ、黙々と働き、自己を表現しない人々の中に隠れた言葉を聞き取ることが作家の役割だと語ります。

十年後も変わらず、小説を書くことだけに集中していたいという小川さん。自身の作品が本屋や図書館に一冊でも残っていれば、それが何よりの喜びだとお話されていました。

たくさんの素敵な言葉が溢れた今回のインタビュー、もう一度聞きたい方はこちら!
NOEVIR Color of Life | TOKYO FM | 2025/01/25/土 09:00-09:30 https://radiko.jp/share/?sid=FMT&t=20250125090000
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翻訳版から広がる世界、そしてラジオの仕事

2025/01/18
今週も作家・小川洋子さんのライフストーリーをお届けしました。

小説が初めて翻訳された瞬間:想像を超えた喜び
小川洋子さんが人生の分岐点として挙げるのが、初めて自身の小説が翻訳されたときのこと。最初に翻訳されたのは2作目の小説『冷めない紅茶』で、翻訳言語はフランス語。フランス南部のアルルにある小さな出版社が、熱意をもってプロジェクトを進めたといいます。
「日本の無名の作家の作品を、遠いフランスで出版しようとするなんてすごい勇気だと思います」と語る小川さん。さらに、翻訳者のローズ・マリーさんと初対面したときには、まるで長年の友人に会ったかのような親近感を覚えたそうです。作品を深く理解し愛してくれる翻訳者との幸運な出会いが、小説家人生において大きな意味を持つ出来事となりました。
そして、小川さんの小説『薬指の標本』は、2005年にフランスで映画化され、翌年には日本でも公開されました。この映画の監督も小説のフランス語版を読んだことがきっかけで製作が始まったそうです。
映画の撮影はドイツのケルンで行われ、主人公を演じたのはウクライナ人の女性俳優という、非常に国際的なプロジェクト。小川さんは完成した映画を見たとき、「自分が日本語で描いていた世界観が、そのまま映像化されていた」と感動したと言います。
監督は作品の細かい部分にもこだわり、主人公が履く靴を探すために蚤の市を巡るほどでした。「標本室のセットに至るまで、すべての小道具に神経が行き届いていて、作家として嬉しかったです」と小川さんは振り返ります。

15年にわたる「Panasonic Мelodious Library」
小川洋子さんが担当していた「Panasonic Мelodious Library」は、2007年から2023年まで15年間続いた読書会形式のラジオ番組。この番組では「未来に残したい文学遺産」と呼べる古今東西の文学作品を毎週1冊取り上げ、リスナーと一緒に楽しむ内容でした。
番組では季節や記念日などに合わせて本を選び、たとえばバレンタインデーには恋愛小説、クリスマスには子ども向けの絵本など、タイムリーで幅広いジャンルの作品が紹介されました。「世界中に素晴らしい文学が尽きないことが、番組が長く続いた理由です」と小川さんは語ります。
さらに、番組制作を支えたのは、15年間変わらず続いたスタッフたちの存在。元TOKYO FMアナウンサーの藤丸由華さんをはじめ、ディレクターや台本作家といった全員が女性スタッフというチームで、毎週の本選びから番組の内容を作り上げていったそう。
「同じ本を読み続けた仲間との間には、言葉では説明できない深い絆が生まれます」と小川さん。その絆は文学の力によって結ばれた特別なものだったと振り返ります。また、文学が人と人を繋ぐ役割を持っていることを改めて実感したと語ります。
このラジオ番組をきっかけに、様々な出会いがあったという小川さん。
「未来に残したい文学を紹介する」という使命を持ちながら、スタッフとの協力や読書を通じた繋がりを築いた15年間は小川さんにとってかけがえのない時間だったようです。
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人生の節目と題材との出会い

2025/01/11
今日も作家の小川洋子さんのライフストーリーをお届けしました。

初の単行本と母親としてのスタート
作家の小川洋子さんは、お母さんになった年に初の単行本を出版。赤ん坊の隣に積まれた本の段ボールを見つめたとき、「子どもを育てながら、小説家としても成長しなければ」という決意を抱いたと言います。それは、幼い頃からの夢であった「自分の本が本屋に並ぶ」という思いが叶った瞬間!「これで充分」という感謝の気持ちに満たされてしまったのだとか、

そんな小川さんですが、小説は「読者それぞれの解釈で成長してほしい」と願っているのだとか。自身も感銘を受けた作品を再読した際に、ラストシーンを自分の記憶で書き換えていた経験を話し、「物語は固定されたイメージではなく、読者の手で新たな世界が生まれる自由さを持っていてほしい」と話します。

最新作『耳に棲む者』の独創的な世界観
短編集『耳に棲む者』では、孤独な少年が耳の中に音楽隊を住まわせるというユニークな設定。その中で、小川さんにとっての精一杯のラブシーンと語る「耳と耳をくっつけて踊るダンスシーン」は、読者それぞれの想像力で形を変えることを楽しみにしているそう。この作品は、元々VRアニメのプロジェクトから生まれたもので、映像制作の過程で、短編集としてもまとめられることになり、さらに作品が広がったといいます。
表紙デザインも贅沢で、小川さん曰く「特別な発見を味わえる表紙」。この美しい装丁は、手に取って感じてほしいポイントの一つです。

毎日1行でも書くことの大切さ
小説を書く際に「毎日1行でも書く」ことを習慣にされている小川さん、忙しい日でも、前日の文章を読み返し、数行書き足すことで登場人物を常に身近に感じ、物語の流れを絶やさないようにしているそうです。この習慣は、小説家としての「接着剤」とも言える重要なプロセスだと語ります。

書き手と題材の不思議な出会い
小川さんの創作のインスピレーションは、日常の中で偶然出会った「題材」によることが多いのだとか。たとえば、『妊娠カレンダー』は母子手帳の「妊娠カレンダー」という文字から着想を得た作品であり、1991年には芥川賞を受賞。また、『博士の愛した数式』は藤原正彦先生の講演をきっかけに、数学という新たな世界に魅了されて執筆に至ったと語ります。

そんな「偶然の出会い」と「目に見えない力」によって導かれているという小川さんの執筆生活。「何かが題材と私を引き合わせてくれている」と語ります。

「博士の愛した数式」と反響
『博士の愛した数式』は、映画化されるなど大きな反響を呼んだ作品。ある座談会では、中学生の読者から「どうやって文章を光らせるのか」と質問され、「それを光らせているのは、読んでいるあなた自身です」と答えたエピソードも披露してくれました。

小説を書く中で「題材に出会った瞬間が最も嬉しい」という小川さん。書き始めると「うまく書けない苦しみの沼」にはまるのだそうですが、独創的な世界観で読者を魅了する小川作品。新刊の「耳に棲むもの」もぜひ手に取って、小川ワールドを感じてみてはいかがでしょうか?
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幼少期から作家デビューまでの道のり

2025/01/04
今月は、作家の小川洋子さんのライフストーリーをお届けします。

朝は比較的普通の時間に起床し、可能であれば午前中に執筆するという小川洋子さん。ですが、家事や雑用に追われることも多く、集中するのが難しい日もあるんだとか。小説はどんな状況でも書けるという柔軟な執筆スタイルなんだとか。
そして、週末になると近くに住むお孫さんたちが遊びに来ることが多く、一緒に近所の川で魚を捕ったり、本を読んだりする時間を楽しまれているそう。夜には絵本を読むのが習慣で、子育て時代に十分な時間を取れなかった反省から、現在はお孫さんたちとの時間を大切にされているのだとか。お気に入りの絵本として『ぐりとぐら』や『エルマーの冒険』など、世代を超えて愛される名作を挙げてくださいました。

子ども時代と読書の原点
小川さん自身、幼少期から読書が好きで、初めて読んだ本は「家庭の医学」。繰り返し読むことで人間への興味が芽生えたそう。また、図鑑の客観的な記述が想像力を刺激し、その影響は作家としての文体にも反映されているそうです。学校の図書室は特に心落ち着く場所で、岩波少年文庫を読み漁った経験が現在の読書への情熱につながっているのだとか。

大学時代と作家への第一歩
早稲田大学第一文学部文芸科で本格的に小説執筆を学んだ小川さん。同じ志を持つ仲間と文学について語り合う日々は刺激的で、小説家としての道を進むきっかけとなったようです。卒業後は地元に戻り就職するものの、執筆を続け、4回目の挑戦で「海燕新人賞」を受賞。この受賞が作家としてのスタートとなりました。
一度は就職して、就職先では秘書として働きながら、社会人としての常識を学んだという小川さん。この経験は、作家としての視野を広げる助けにもなり、執筆活動にも影響を与えたそうですが、結婚を機に秘書の仕事を辞め、専業作家としての活動を本格化。旦那様には当初、小説を書いていることを隠していたそうですが、新人賞の最終選考に残ったことをきっかけに明らかになったそうです。お子さんを出産した年には初の単行本が出版されるなど、家庭と作家活動を両立させながらキャリアを築きました。

来週は、新刊『耳に棲むもの』のお話、そして小川さんの執筆スタイルなどについて伺います。
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