2014年7月21日

7月21日 東北食べる通信 山田の海賊1

今週は、番組でなんどか取り上げています。『東北 食べる通信』の続報です。

東北の、農業・漁業の “生産者”を取材した記事とともに、海の幸や農産物が付録としてついてくるという、史上初の“食べる情報誌”が、「東北食べる通信」です。



その6月号の特集がは岩手県山田町の「シュウリ貝」という貝です。シュウリ貝…耳慣れない言葉ですが、これについては明日以降 ご紹介します。で、このシュウリ貝を獲っているのが、山田町の、第八海運丸という漁師たちのグループです。食べる通信編集長・高橋博之さんに伺いました。

◆山田町の漁師グループ『第八海運丸』
岩手県山田町に、被災地で漁師たちが肩を落としている中で、『漁師直送』というのを掲げて自分たちでグループを組んで元気にやっている漁師たちがいるという噂を聞きつけた。産地直送はよく聞くが「漁師直送」って聞いたことがないなと思って会いにいって2人のご兄弟にあった。気持ちいい人たちだと思った。その時はわからなかったが、通っているうちにその気持ちよさの理由がだんだんわかってきた。一瞬一瞬を生きている。明日のことがわからない」が口癖。養殖ではなく、毎日その時に海にあるものを探しにいく勘、そして魚との知恵比べで、自分たちの作った道具を使って時には命を危険にさらしながら獲物を捕ってきて、戻ってくる。たぶん死と隣り合わせ。無事に帰ってきて、獲ってきたきたものの一部を酒飲みながら食べる。そこに自分の子どもたちやおじいちゃんが帰ってきて、目の届く範囲で、いつも同じメンバーで底が抜けるぐらい楽しんで笑っている。なんなんだろうこの人たち(笑)生きているというのがすごく感じる。今の日本にないものが、ここにあるような気がする。


第八海運丸は、地元の漁師など9人のグループ。養殖ではなく、リスクと隣り合わせの「漁」にこだわり、獲ったものを自ら販売するスタイルで成功しています。そんなインディペンデントなやり方をみた高橋編集長、彼らのことを、こんな風に呼んでいます。


◆9人の「海賊」
海賊だなと思って。目の前の海を「山田銀行」だと言い、「山田銀行から銭おろしてくる」という。言葉は悪いが自然から奪ってくる。パイレーツという言葉がぴったりだと思い、ワンピースも流行っているし。「先が見えないからいい」という。第八海運丸の人たちに生まれ変わったら何になりたいかと聞くと、全員ほぼ即答で「漁師だ」という。海賊は今はいないが、まさに海賊みたいな人ってこういう人だったのではないかと。敬意を持って、この人たちを海賊と呼んでいる。




実はこの「海賊」という言葉にはもう一つ意味があるんです。第八海運丸の代表と副代表は、山田町出身の兄弟なんですが、このお2人、漁師になる前から、山田では、ある意味有名人でした。どういうことなんでしょうか。

◆やんちゃな悪ガキが漁師に
20年くらい前じゃないですか。沿岸一帯に名前が轟くくらいのやんちゃな悪ガキだったそうで、公共の電波では話せないようないろんなにぎやかなことを中学高校、高校出た後もやらかしていたみたいで、一度山田を出てそこでもトラブルを起こして戻ってきている。やることないから漁師でもやるかと船に乗った。しかし船の上は実力主義で仕事のできる奴が偉い。だから使い物にならなかったが負けん気が強く悔しかったようだ。言葉は悪いが、ヤンキーはかつあげをする。その相手が人から海に変わっただけで、たぶんそのころのまんま。やんちゃな奴は知恵を働かせていたずらをする。大人になったから法律を守るが、その範囲の中で略奪を続けている(笑)。だから海賊。



高橋編集長のおっしゃっていた、かつて、やんちゃだったというご兄弟。柏谷兄弟と言います。明日からは、この柏谷兄弟 ご本人たちのインタビュー、お伝えします!

パーソナリティ 鈴村健一

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