第11回 雨の日に事故が多い理由
2015/06/11
日本列島は梅雨の季節に入りました。
雨が降らない日と雨の日。
「雨の日のほうが、交通事故が多い」ことは想像できるしょう。
交通事故の統計を調べている「全日本安全協会」によると、
その数はおよそ5倍。
つまり、これからしばらくは、
特に気を引き締めてクルマの運転をするべき時期。
今週は「雨の日に事故が多い理由」をおとどけしました。
コメントは国際自動車ジャーナリスト
清水和夫(しみず・かずお)さんでした。
雨の日に事故が増える理由は大きく2つ。
1つは雨によって視界が悪くなること。
もう1つはタイヤが滑りやすくなること。
ドライバーにとって雨が降ると
雨そのもの、ワイパー、周囲が暗くなることで
雨が降っていない時より、視界が悪くなります。
夜ならなおさら。スピードを出していてもなおさら。
ドライバーは運転に必要な情報の9割以上を目から得ているといいます。
さらに車外の「音」の情報も、雨音に遮断されかねません。
さらに歩行者や自転車の運転者も傘をさすことで、
また雨を避けるために下を向くことで視界は狭くなります。
以上のことから、当然、事故の危険性は高まります。
雨が降ったら、それはいつも以上に、安全運転を心がける合図です。
そして、もう1つのタイヤが滑りやすくなってしまうこと。
これは「グリップ力」と呼ばれる摩擦力に関わっています。
タイヤが路面と接している面積はハガキ1枚ほどの面積。
ゴム素材と路面の間に生じる摩擦力があってはじめて
クルマは前後に走り、左右に曲がり、止まります。
ところが水によって、その摩擦力は減少。
操作がしにくくなるのです。
その最たるものが、教習所で習ったこと覚えていますか?
「ハイドロプレーニング現象」。
道路の水たまりの水深が深くなるとタイヤの溝で雨水を掻き出しきれず、
車体が水上飛行機のように水たまりの上で浮いた状態になってしまうのです。
そうすると水の量、スピード、タイヤの磨耗具合と比例して
氷上をスケーティングするように滑ってしまいます。
ハンドルを切ること、ブレーキをかけることが出来ないかもしれません。
ただ、ハイドロプレーニング現象だと思った時には急な操作は禁物。
ハンドルを切る、ブレーキをかけるはやってはいけないこと。
落ち着いて、スピードが落ちるのを待てば、タイヤが路面に接するようになります。
ハイドロプレーニング現象が起こらないようにするには、
雨の日の運転はスピードを出さないこと。
日頃からタイヤのチェックをしておくことです。
一応、新品のタイヤの溝が10だとすると3までは使用してもいいことになっていますが、
タイヤは使えば使うほど磨耗していきます。
ハイドロプレーニング現象の危険性は日に日に高まっているのです。
そこで、5割ぐらい減ったことを目安に、新しいものと交換するといいでしょうというのが
清水さんのお話しでした。
雨の日に事故が多い原因は視界不良とタイヤが滑りやすくなること。
ふだんのタイヤ点検を怠らず、雨の日にはスピードを控えて、
ワイパーを動かしたら自分の安全スイッチも入れるよう心がけるようにしましょう。