第3回 ACC (Adaptive Cruise Control)
2015/04/16
今朝はクルマの運転を変えつつある装置ACC を追跡しました。
お話しを伺ったのは東京大学 生産技術研究所
交通制御工学が専門の大口敬(おおぐち・たかし)教授。
ACCはAdaptive Cruise Control
(アダプティブ・クルーズ・コントロール)の頭文字をとったもの。
日本語では「定速走行・車間距離制御装置」と言います。
ACC以前の技術はCC(クルーズ・コントロール)といいます。
CCを使うと車はドライバーが設定した速度で走行しますが、
車間距離を一定に保つにはドライバーがブレーキ操作をします。
CCの発展形であるACCは設定した速度で自動走行するのはもちろん
前方車との車間距離を一定に保つためのセンサーとCPUが車に搭載され、
車間距離を一定に保ちながら走ることが可能になりました。
さらに前方車との距離が設定距離より近づいた時のブレーキ操作も
車が自動で行ってくれるようになったのです。
このACCは特に高速道路で有効なシステム。
ドライバーにとって速い速度で前の車との距離を意識しながら運転することは
とても消耗することで長時間続けば注意力も減ってしまいます。
ということは’もしも’の事態に対応する力も落ちたしまうということ。
反対にACCを使うことによって余裕ある状態であれば
万が一の状況でもよりより判断と動作ができる可能性があるのです。
ACCによって車の流れがスムーズになると
渋滞が減ることが可能性として考えられます。
渋滞の最後尾では常に事故が起こりうるもの。
渋滞を避けられるのであれば事故の芽をつむことができるわけです。
ただACCには課題もあります。
急カーブがあると前のクルマが正面からずれるので、
センサーが前のクルマとの車間距離を計れなくなってしまいます。
大雨などでセンサーが効かないこともあります。
前のクルマが車線変更をしていってしまった時、
自分が車線変更をしたい時は前のクルマを追従することはできません。
また広くACCが普及すると、前の車との距離感ゆえに、
渋滞に繋がってしまう可能性もあるといいます。
この部分はデータを集めてさらに機能を改善する余地がありそうです。
そして、渋滞はクルマ1台で起こるものではなく、
何十台、何百台と集まった結果に起こるもの。
個々の設計・製造を考える自動車メーカーだけでは解決できません。
自動車メーカー、道路を管理・運営者、交通についての研究者、
3つの立場が共同して渋滞を減らして安全を目指す、
その取り組みがようやく始まったところだと
大口敬(おおぐち・たかし)教授はおっしゃっていました。