第512回 積雪時の渋滞

2025/01/31
この時期は、まだ思いがけない大雪が降ることがあります。
昨今では、これまで積雪があまりなかった地域でも
相当な雪が降ることもあり、そんな時に起こりかねないのが渋滞。

今回はモータージャーナリスト 藤田竜太さんにお話を伺い
積雪による渋滞の対処法と注意点をお伝えしました。





まず、積雪についてドライバーが最初に意識すべきは天気予報のチェック。
雪への備えだけではなく、クルマに乗る前は、どんな気象状況になるのか? 
チェックする習慣を身につけておきましょう。
ただ、多くのドライバーが天候をチェックしていたとしても
大雪になると“渋滞が発生して身動きが取れなくなる”という事態があります。


雪による渋滞の原因はタイヤのスリップと視界不良が。
国土交通省のまとめによると大雪の影響で2020年末に関越道で
2100台以上の車が立ち往生した時は、立ち往生した車の24%が
冬用タイヤ未装着だったことがわかっています。

また、全体の89%はタイヤチェーン未装着で
スタッドレスタイヤなど冬用タイヤを装着していた車でも
スタックしていた例がたくさん報告されています。
そして、吹雪などで視界が悪い時はノロノロ運転になったり一時停止が続出します。
これらが積雪時に渋滞する主な原因です。





積雪時に渋滞を発生させず、安全を確保する走行を考慮することも必要。
クルマが進む流れが悪くなったら、車間距離をしっかりとりつつ進みます。
一時停止すると、再発進時にスリップして動けなくなる可能性があります。
いざという時に引き返すため、スペースを残して進むようにしましょう。
追突事故の防止にもなります。

ヘッドライトはもちろん点灯。大雪ならフォグランプも併用してください。
渋滞の最後尾に並んだ際は、ハザードランプを点滅させて後続車にアピールしましょう。
高速道路であれば、立ち往生して長時間閉じ込められる前に直近の出口で一般道に降りるか
サービスエリア、パーキングエリアなどに退避するのも一つの手段です。
一般道でも山道は立ち往生のリスクが増えます。
回避ルートを考えるか引き返して、安全な場所で状況が良くなるのを待ちましょう。





もしも、積雪による渋滞に巻き込まれてしまったら
NEXCOや国土交通省の公式アプリで情報を確認しましょう。
もちろんラジオも有力な情報源です。
反対に不確かな情報に惑わされないことも重要です。

次に防寒対策。
車内でも上着や予備の服を着込んだり、ブランケットをかけたり、防寒対策をしっかりと。
この時、基本的にはエンジンを切っておきます。雪の立ち往生で一番怖いのは一酸化炭素中毒です。
エンジンをかけたままマフラーの出口が雪でふさがれてしまうと
排気ガスが車内に流れ込み、約20分で命の危険がある濃度に達してしまうとされています。

寒さに耐えきれなくなったらマフラーの出口付近をしっかりと除雪。
一時的にエンジンをかけてヒーターをつけて暖をとりましょう。
車内がある程度暖まったら、再びエンジンを止めて、
エンジンをかけてる間は、こまめな除雪を心がけて下さい。

あとは、エコノミークラス症候群の対策も忘れずに。
定期的に手足の指を開いたり閉じた、ふくらはぎを軽く揉んだり、運動しましょう。
水分補給も大事。1時間に一度は体を動かして水分を摂るようにして下さい。





渋滞に巻き込まれてしまった時は、ガソリンの残量を確認することもお忘れなく。
車内に“もしも”の時に備えた物を用意しておくことも大切です。
スマホの充電ケーブル、使い捨てカイロ、毛布、
携帯トイレ(1人当たり1日5個が目安と言われています)、
食べ物・飲み物も2〜3食分確保しておくと安心です。
他にもスコップ・長靴・手袋・牽引ロープ・スノーブラシ・ブースターケーブル・解氷スプレーなど。

冬の運転は、まず天気予報をチェック。
雪の予報が出ていたらタイヤと携帯品で備えをする。
万が一、渋滞に巻き込まれてしまったら、
今日お伝えした注意点を思い出して対処して下さい。