第506回 クルマの構造上の死角

2024/12/20
どんなクルマにも必ず、ドライバー席から見えない死角があります。
そのことを認識し、注意を払わないと、事故を起こしかねません。
クルマの構造上の死角に注意しましょう。

今回のコメントは、モータリングライターの藤田竜太さんでした。
クルマには形状によって幾つかの死角があります。

1つ目の死角はクルマの前後にあります。
ボンネットやトランクに隠れてしまう範囲のこと。
これについて特に気をつけるべきは発進時や、車庫入れ。
クルマに乗る前に前後の安全性を確認して下さい。





2つ目はピラーの死角。
ピラーはクルマのウィンドウの間にある柱のことです。
セダンタイプで通常6本あり、ワゴンやミニバンはさらに数が増えます。
ボディー剛性が高い車ほどピラーは太く、死角の広さは侮れません。





ピラーの死角で気をつけたいのが左折や右折時。
陰に歩行者や自転車がいる可能性を考えましょう。
ミニバンなど3列目のシートが設置されているクルマは、
ピラーの数が多く、死角も増えるので要注意。

ピラーの死角を解消するには、見えにくいと思ったら目だけを動かすのではなく
車を左右に動かし、見えにくいところを確認する手間を惜しまないようにしましょう。

3つ目はクルマの左右の死角。
車体の左右にも窓の高さにより低い位置は死角になり
車高が高く着座位置が高い車ほど面積は広くなります。
さらに運転席に座った時、左と右でその面積が違います。
右ハンドルの場合は左側が大きく、右側は小さくなります。
左ハンドルの場合は逆。





この左右の死角も、主に気をつけたいのが発進時。
クルマに乗る時に確認する習慣を身につけましょう。
前後の死角も同様ですが、小さなお子さんがいて、
その子を家においてクルマで出かける時は特に安全確認して下さい。
お父さんやお母さん、あるいはおじいちゃんやおばあちゃんと離れがたく
気がつかないうちに家から出てきてクルマの周囲にいるかもしれません。

そして、4つ目はミラーやバックモニターの死角。
クルマには死角を補うためルームミラーやサイドミラー、バックモニターがついています。
しかしこれらも万能ではなく、見えないところがあることに留意して下さい。








死角への意識が甘いと、交差点で自転車やバイクの巻き込み事故を起こす、
車線変更時に後続車を見落とすといった状況が生まれてしまうので
ミラーやミラーに準ずる機能に甘んじることなく
首を振って、目視で確認するようにして下さい。

自分が乗っているクルマの構造を考えると、どこが死角になのか、
いちど意識して確認しつつ、その上で死角が原因で起こる事故を対策しましょう。

それはすなわち、乗車前に車の周囲を確認すること、
バックミラーの位置を正しく調整すること、ウインカーを早めに出すこと、
ミラーやバックモニターだけに頼らず首を動かして目視で周囲を確認すること、
駐車車両や構造物による死角がある時は、
徐行や一時停止をして安全確認をした上で通行することです。

また、サイドミラー真横の死角を補うブラインドサイドカメラや
サイドミラーの端に取り付けるブラインドスポットミラーを併用するのも有効。
さらに隣接する車線後方に他の車両がいることを知らせる
ブラインドセンサーなどのシステムも普及してきていて
死角対策のアシストとして役立ちます。

死角の存在を認識し、その危険性を把握し、
それが原因の事故を起こさないように留意して
日々の運転をするようにして下さい。