第497回 山道・峠道の安全な走行

2024/10/18
そろそろ紅葉のシーズン。
クルマで山や高原など標高が高いところへ行くこともあるでしょう。
そんな時には、大きな勾配・急カーブ・狭い道など、
一般の道路とは様子が違う山道・峠道に注意!

今回のコメントは、日本(にほん) 自動車ジャーナリスト協会 会長で
日本自動車連盟 交通安全委員会 委員も務める菰田潔さんでした。





勾配や急なカーブがある山道・峠道。
運転の基本姿勢はハンドルに近いドライビングポジションをとることがポイントです。
急カーブがある場所では大きな遠心力が生じて、体が外に振られます。
その時にはハンドルを前に押すようにして、背中をシートバックと強く押しつけ、
体が揺れないようにするようにしましょう。
また、山道・峠道は同乗者が酔ってしまうケースも少なくなりません。
同乗者が酔わないように丁寧に運転する心遣いが大切です。
その上で、山道・峠道で、まず気を付けるべきは、左に右に急なカーブです。





山道はカーブが急で先の見通しがききません。
「先が見えないから対向車は来ない」という思考ではなく
「見えないところには対向車が来るかもしれない」という意識を持ちましょう。
急なカーブで自分がはみ出さなくても対向車がはみ出す可能性を念頭に置いて下さい。

そして、下り坂のカーブは一番の注意点。
スピードをしっかり落とさずカーブに進入するとオーバースピードで外に膨らんでしまいます。
左カーブだと反対車線に飛び出す、右カーブだと崖から落ちてしまう可能性もあります。
ブレーキをかけてしっかりスピードダウンし、ブレーキを戻しながらハンドルを少しずつ切ります。
上り坂の場合にはスピードが落ちないよう
途中で少しだけアクセルを踏みながらカーブを曲がっていくとスムーズです。

急カーブが突然目の前に現れたという時は、
ハンドルをまっすぐのままブレーキでスピード落として下さい。
ブレーキが最も有効に働くのはハンドルが真っ直ぐの時。
ハンドルをまっすぐにしてブレーキだけかけていれば
まっすぐだけのグリップを使うので有効に使えます。





そして、山道・峠道には道路の幅が狭まるところが多々あります。
そうした場所での対向車とのすれ違いは慎重に。

先を見て「すれ違うことが難しいな」と思った場合には
対向車が目の前に来る前に手前の広い場所で待つようにしましょう。
対向車と鉢合わせ状態ですれ違えない状態になると困るだけです。

狭い道の場合には、スピードゆっくり走りながらなるべく先を見て
対向車来たら手前のなるべく広い箇所を利用してすれ違うようにして下さい。





急な勾配とカーブにとらわれがちな、
山道・峠道でクルマを運転するドライバー。
そんな時に大きな役割を果たしてくれるのが自分のクルマの存在を
対向車に伝えてくれる前照灯、ヘッドライトです。

山道は昼間でもヘッドライト点灯で走ることが有効。
日中の日差しが強い時は、もうこんなに明るいからライトはいらないと思いがちですが、
山道では木陰の暗いところでヘッドライトの明かりが映えます。
反対にライト付いてないクルマは、対向車が気づきにくい。
そこで、ヘッドライトを点灯し、自分の存在を主張して下さい。

この秋の行楽シーズン。
山道・峠道でクルマを運転する時には、今日の情報を活かして下さい。
そして、その走行術は季節を問わず、普遍です。
覚えておきましょう。