第489回 自転車を追い越す時

2024/08/23
道路交通法で自転車は基本的には車道を走る車両。
そのため基本的な速度域が違うクルマが追い越そうとして
危険が生じてしまうことは珍しくありません。
今回は「車道を走る自転車を追い越す時」についてお送りしました。





今回、お話を伺ったモータリングライター  藤田竜太さんによると
自分のクルマの前を自転車が走っていて、追い越しを考えた時に確認すべきことは
まずは自転車がそのまま直進し続けられる状況かどうか。

前方の歩行者や障害物をよけるため車道側に膨らんでくる可能性を見極めます。
道の凹凸や段差にも気を配りましょう。また、年齢層や自転車に載せている荷物もチェック。
年配の方や荷物をたくさん積んでいるケース、子供と2人乗りをしているケースなどは、
道がまっすぐでもふらつく可能性があるからです。
あとは自転車に乗る人が自分の車に気がついているか推測しておくのも重要です。
耳にイヤホンをしていたり、スマホを持っている場合は、細心の注意が必要になります。





安全確認をしっかりして、いざ追い越しをする時は、
見通しが良い場所で対向車が来ていないタイミングが基本。

追い越す際は自分の車と自転車の間に十分安全な間隔が空けられる場所とタイミングを選ぶこと。
周囲の安全を確認して「行ける」と思ったら、十分な間隔をとって一気に追い越すのがポイント。
クルマと自転車の並走は両者ともに怖いので時間はできるだけ短くするのがお互いのためです。





追い越しをする時には、大きく2つの危険が考えられます。
追い越そうとした自転車と接触する。
対向車線がある場合は、対向車と接触する。
その危険を念頭におき、きちんと回避して、追い越しましょう。

それでは視点を変えます。
あなたが自転車に乗って車道を走っているという立場。
後ろを走ってきたクルマが追い越そうとしています。
その場合に取るべき行動は、道路交通法第27条に
「他の車両に追いつかれた車両の義務」という項目があり
追いつかれた車両は出来る限り道路の左端に寄って
これに進路を譲らなければならないとあります。

また、追いついた車両が当該車両の追い越しを終えるまで
速度を増してはならないと記されているので、できる範囲で道路の左端に寄って、
車が追い抜きしやすいように協力してあげるといいでしょう。

また、場合によっては一旦停車して車をやり過ごすのもひとつの手です。
停車中の車両であれば、その側方を通過して右側部分にはみ出したとしても、
追い越しのための右側部分はみ出し禁止規制の違反にならないからです。
さらに、自転車は車道を走ることが原則ですが、安全性を優先するのなら、
歩行者のいないときに限り、一時的に歩道を走るのも現実的な自衛策だと考えられます。





自分の身を守るためにも、
後ろのクルマが追い越せないような運転をすることなく、
安全に、スムーズに、追い越してもらうような行動をとって下さい。

車道を走る自転車。
これはきちんと道路交通法上のルールに則っての利用で正しいことです。
ただ、自転車が車道を走れば危険が多いのも事実。
そもそもの注意点を最後にお伝えしておくと
車道は車、バイク、自転車などが共存するスペース。
自転車もフラフラ走らずにキープレフトでできるだけまっすぐ走り続けること。
2台以上の自転車同士で並走したり、片手運転などはやめましょう。
信号など基本的な交通ルールを守ることは言うまでもありません。
スマホを操作しながら、音楽を聞きながら走るなど、ながら運転も危険です。
また、タイヤに空気をきちんと入れて、チェーンに油をさしておくなど、
基本的なメンテナンスも重要で暗くなったらライトをつけることも忘れないでください。