夏の行楽地への長距離ドライブの途中では、長いトンネルを通過する機会が多くなります。
外と中では大きく環境が変化するトンネル。運転中にどの点を注意するべきか、
きちんと認識しておくことが必要です。今週はJAF東京支部 JAF認定セーフティアドバイザー
杉本実さんにお話を伺い「長いトンネルの走行」についてお伝えしました
トンネル進入前の注意点は③つあります。
① 交通状況をチェックする
トンネルの入口付近は渋滞が発生していることもあります。
渋滞が発生しているようであれば、適切に減速して、ゆっくり入っていきましょう。
② 信号・情報板を確認する
トンネル入り口には信号・情報板が設置されている場合があります。
赤信号や進入禁止などのメッセージがあれば、それに従います。
③ 忘れずにヘッドライトを点灯する
外と中では環境が大きく変わるトンネル。
それによって生じる、私たち人間の感覚への影響があります。
1つ目は明順応と暗順応。
目が暗さに慣れるのが暗順応。明るさに慣れるのが明順応。
ともに時間がかかります。
クルマを運転する方は、経験があると思いますが、
明るいところから暗いトンネルに入ると、慣れるまでは暗くてよく見えません。
反対に暗いトンネルから明るい外に出ると、慣れるまでは眩しくてよく見えません。
こうしたことからトンネルの出入り口で起こる事故もあります。
前のクルマとの車間距離をしっかりとってスピードを出し過ぎていないことが大切。
トンネル環境の私たちの感覚への影響の2つ目は「視覚吸引作用」。
これは、魅力的なものや危険なものを無意識に見つめて近づこうとする人間の習性。
トンネルで隣のクルマを意識するあまり、無意識にその方向に車を寄せてしまう。
壁を意識するあまり、壁の方に車が寄ってしまう。
そういったことに気をつけて、前方の白線を意識して真っ直ぐ走ることを心がけましょう。
加えて、いくつか情報を・・・
トンネルに入ると、遠くにあった景色はなく、近くに壁が迫っていて、視界は暗い。
すると心理的な圧迫を感じ、スピードを落とすドライバーがいます。
前のクルマがブレーキを踏む可能性を頭に入れておいて下さい。
さらに、片側2車線の高速道路で、他のクルマと並んでトンネルに入った時、
横のクルマが「幅寄せしてきた?」と思った経験はあるでしょうか?
この時は「壁にぶつかるかもしれない」と思う心理から、
自分のクルマが無意識に壁と反対側、もう1台のクルマの方に寄っている、
相手のクルマが無意識に壁と反対側、自分のクルマの方に寄っている、
あるいは2台とも互いのクルマの方に寄っている可能性があることを覚えておいて下さい。
トンネル環境の私たちの感覚への影響。3つめは「追従静止視界」。
同じ速度で一定の距離を保って運転し、前の車との距離感も変わらないと、
自分のクルマも含めて周囲の環境が静止しているかような錯覚に陥ることがあります。
それが「追従静止視界」。この現象の怖いところは前の車が速度を落としても、
認知するのが遅れ、対処が遅れ、追突すると大事故になりかねないこと。
止まっているように感じると自覚したら、速度を少し落として視野を広げるなど、
適切な刺激を自分に与えるようにしましょう。
トンネルの走行をする時は、
今日お伝えしたポイントに気をつけて下さい。