第484回 タイヤのバースト

2024/07/19
日本列島は梅雨が明けてきて本格的な夏が到来。
しばらく暑い毎日が続きそうですが
今回はこれからの時期に気をつけたい「タイヤのバースト」について。
お話を伺ったのはモータリングライター 藤田竜太さんです。





まず、タイヤのパンクとバーストはまったくの別物です。
パンクはタイヤの空気が徐々に抜けていく現象。
一方でバーストはタイヤの接地部などが破裂してタイヤ構造そのものが壊れる現象。
バーストする際には、大きな破裂音を伴うのが特徴です。
burstは英語で破裂・爆発の意味と考えるとわかりやすいですね。


タイヤのバーストの原因にはいくつかあります。
一番の原因は空気圧不足。空気圧が低いと走行中にタイヤがたわんで変形します。
変形したタイヤは、ゴムがよく動いて発熱するので、バーストしやすくなるのです。
また、傷の放置も原因になります。特にタイヤの側面が縁石などに当立って、
タイヤ内部のカーカスコードが切れて、コブのように盛り上がる傷ができると、バーストの危険が高まります。
また、タイヤが古く、ひび割れがあるような場合、
そのゴムの劣化がバーストの原因になります。





タイヤのバーストは、特に夏休みシーズンに注意喚起がなされています。
実際、去年のお盆時期8月11日〜16日の5日間にあったJAFへの救援要請のうち
タイヤのパンク・バーストを原因とするものは9,567件ありました。

夏にタイヤのバーストが増える理由の1つが長距離ドライブが増えること。
そして、人も荷物も満載する機会が増えるから。
タイヤが空気圧に依存する割合は90%とされていて
1本のタイヤが支えられる荷重は空気圧に比例します。

例えば、乗用車のタイヤで指定空気圧が2.2kg/㎠のタイヤがあったとします。
そのタイヤからエアーが抜けて空気圧が1.8kg/㎠まで落ちたとすると
タイヤの負荷能力は1本あたり480kg/㎠から410kg/㎠ぐらいまでダウン。
1本で70kg/㎠ですから4本では280kg/㎠もの負荷能力が落ちることになり
そこに人と荷物を満載して高速道路を長距離走るとタイヤは耐えられずバーストするのです。

加えて、真夏の道路の表面温度は60℃を超えることもあります。タイヤはゴム製。
一般的にゴムは熱で柔らかくなり、変形するので、夏はバーストしやすいと言われています。





夏休みのお出かけ途中でタイヤがバーストなってことがあったら楽しみが台無し。
しっかり、予防をしましょう!

一番大事なのは定期的な空気圧の点検と調整。
特にロングドライブ前はディーラー/自動車整備工場/カー用品店/
ガソリンスタンドなどで必ず空気圧をチェックすること。
同時に目視でタイヤに傷などがないか、溝に異物が挟まっていないかを確認しましょう。

溝が残っていたとしても古いタイヤは使わない。
ゴム製品のタイヤは新品から4〜5年使用したら走行距離に関わらず交換するのが基本。
その際には、純正タイヤと同等以上の荷重指数、いわゆるロードインデックスのタイヤを選んで下さい。
ロードインデックスはカタログで確認できますが、自信がない人はタイヤ専門店に相談しましょう。





運転中はバーストやパンクの予兆に気をつけましょう。
空気圧が低くなって、たわんだタイヤには道路との設置面が変形する
「スタンディングウェーブ現象」が発生して、ふだんない妙な揺れが起こるので、これを察知すること。

国道や高速道路を速いスピードで走行している時、
いきなりタイヤがバーストしたら大事故になってしまう危険があります。
対策、注意、怠らないようにしましょう。