今回は公益財団法人 交通事故 総合分析センター(イタルダ)が、
自前のデータから炙り出した歩行者が交通事故に遭いやすい条件についてお伝えしました。
まずは、今年3月に警察庁が発表した統計資料で
ここ数年の交通事故 死亡者数・重傷者数を
クルマに乗車中 / オートバイに乗車中 / 歩行中の“状態別”で見ると
死亡者数は歩行者が最も多いという状況が続いていて
去年の令和5年は973人で全体の36.3%です。
さらに重傷者数についても、
去年は歩行者が最も多く7,171人で全体の25.9%。
歩行中に交通事故で亡くなった方を事故累計”別に見ると6割強が道路横断中です。
これらの情報を踏まえた上でイタルダによる情報解析の話。
横断中の事故には、横断歩道または横断歩道付近を横断中の事故
横断歩道のない場所を横断中の事故がありますが
イタルダで道路横断中の事故について研究している
スタンレー電気 株式会社 星野 真也さんによると判明したのは
☆ 横断歩道を横断中の事故では車両の進行方向が直進よりも右折時が多い
☆ 横断歩道がない場所では車両が直進中が多い
これは横断歩道を横断中の事故では、
単路の横断歩道を横断中よりも交差点における車両右折時の事故が多く
逆に横断歩道がない場所を横断中では単路における事故が多いことを反映していると考えられ
これらの事故をイタルダ保有の事故統計データから分析したところ
交通事故の件数の多い「車両直進中」と「右折中」について、
「横断歩道の有無」と「昼夜別に死亡重傷事故となった割合」を見てみると、
「夜間車両直進中の死亡重傷事故率」が他よりも高いことがわかったといいます。
車両が減速する右折中に対して直進中は速度が高いまま
歩行者と衝突していることに起因していると考えられるとのことでした。
歩行者の横断歩道以外での道路の横断は、
「歩行者横断禁止」の標識がある場合はもちろんNG。
標識がなければ問題ありませんが、車両の直前・直後に飛び出す行為は禁止されています。
それでは、歩行者のどんな要因が夜の横断中の事故につながっているのか。
星野 真也さんによると、歩行者の人的要因は安全確認なし、安全確認不十分。
これには「左右片方を確認したけど、もう一方は確認しなかった」ということや
「一度、左右両方を確認したが、片側からの車両をやり過ごした後に
再度もう一方の安全確認をしなかった」などが該当します。
一方で、件数はそこまで多くないものの、昼に比べて夜が多くなる人的要因としては、
「相手の速度感覚を誤った」や「判断の誤り、その他」が該当。
「速度感覚の誤り」は、横断できると思い込んで道路に出たもの
車両の速度感や接近感を誤って認識して横断が終わるまでに車両がきてしまうケース。
「判断誤り、その他」は、先に横断できると思ったなどの思い込みによる誤判断など。
対向車線からの横断では思ったよりも道路横断に時間がかかるので
自身の歩行速度や車両との位置関係の予測を誤った結果と考えられるとのことでした。
「安全確認なし」は年齢に関係なく、全世代で多いので気をつけて下さい。
「判断の誤り」は、夜に多いことに注意しましょう。
そして、冒頭で引用した警察庁が発表した統計資料を見ると
歩行中の交通事故は、特に65歳以上が気をつけるべきことがわかります。
去年の65歳未満の歩行中の死者数は258人で
それに対して65歳以上は662人。
そのうち65歳未満の横断歩道横断中は51人で、およそ20%。
横断歩道以外を横断中は55人で、およそ21%。
一方で、65歳以上の横断歩道横断中は149人、およそ23%。
この部分のパーセンテージはあまり変わりませんが人数が多い。
横断歩道以外を横断中は337人で、およそ51%で
こちらは65歳未満よりも30%も多く、人数もかなり増えて282人多い。
身のまわりに高齢の方がいる場合は注意を促(うなが)しつつ、
夜間の反射材着用を伝えて下さい。
ドライバーの立場では、特に夜間はスピードを出しすぎず、
歩行者が出てくるかもしれない可能性を念頭にハンドルを握りましょう。