第478回 ながらスマホ運転による重大事故

2024/06/07
警察庁によると、令和5年の「ながらスマホ」に起因する
死亡者・重傷者が出た交通事故は過去最大数を記録しました。

生活にスマートフォンが欠かせなくなった今、
運転中、ついスマホを操作していませんか。

今回はモータリング・ライター 藤田竜太さんにお話を伺い
その危険について探りました。





近年のスマートフォンの普及で、スマホの画面を見たり、
操作しながら運転することによる事故が増えました。

スマホなどに起因する死亡重傷事故は
2013年の年間69件から2018年は107件に増加。
それに伴って2019年12月の道路交通法改正で
「ながら運転」に対する罰則が強化されました。

その結果、翌2020年には66件に減りましたが
そこから再び増加に転じて、去年2023年は過去最多の122件でした。





「ながら運転」による交通事故は、どんなパターンが多いのか?
公益財団法人 交通事故総合分析センターの調査によると
直線道路や直進走行時などの比較的安全と思われる場所や状況での事故が多いのが特徴。
事故累計で見ると、追突事故が圧倒的に多くなっています。

スマホ、携帯の利用が画面目的の場合は74.1%が追突事故。通話目的だと40.5%追突事故。
一方で追突事故の割合は、スマホ非使用では36.0%。
いかにスマホに気を取られたことが追突事故の原因になっているかがわかります。

そして、スマホ起因の事故発生時の行動類型を見ると
画像目的では約8割が直進時、通話目的でも約6割が直進時だったというデータがあります。

画面操作も通話も直進時で追突事故が多いのは
「直進だから大丈夫」と思ってスマホを手にしてしまう
その気の緩みが事故を呼び込んでいるということでしょう。





スマホ・携帯のながら運転による事故は死亡率が高いのも特徴。
2023年の交通事故統計によると、スマホや携帯電話等を使用した場合の死亡事故率は
使用してない時と比べて約3.8倍。危険を認識して身構えて衝突する場合と
危険に気づかず衝突する場合では受けるダメージが違うからでしょう。

そして、直進時のクルマは結構な速度が出ていて、
前方不注意が短い時間であってもかなりの距離を走行します。
時速40km/hのクルマは1秒間に約11m、2秒間では約22m。
時速60kmでは1秒間に約17m、2秒間では33m。
この数字からも運転中にスマホを操作したり画面を見ることは危険だとわかります。






ちなみにアメリカの運輸省道路交通安全局は、運転中のドライバーがスマートフォンを操作して
メッセージを送受信するのにかかる時間は、平均4.6秒というデータを発表しています。

言ってみれば、それは4.6秒、目を瞑って運転しているのと同じ。
目を瞑って4.6秒運転してみてと言われても出来るドライバーはいないでしょう。
スマホ・携帯電話などの操作は絶対にやめるべきです。





それでは運転中のスマホをどうしておくべきか?
電源を切るのが理想ですが、そうもいかないならば
車載ホルダーにスマホ本体を固定してドライブモードにしましょう。
どうしても通話が必要な時はスピーカーを使ってハンズフリーで使用してください。
スマホをカーナビ代わりに使う時は、設定や操作を停車中に行なうこと。
画面は注視しないようにして下さい。