第459回 バック走行時の安全運転

2024/01/26
このところ、バック走行時のクルマが
死亡事故を起こすケースがたびたび報道されています。
今週はモータリングライター 藤田竜太さんにお話をうかがって
バック走行時の安全な運転を確認しました。





例えば、どんな事故が起こっているかというと
記憶に新しいところでは去年12月に東京都杉並区で歩道を歩いてた親子が
近くの自動車整備店からバックで出てきた乗用車にはねられて死亡する事故がありました。

また、去年のクリスマスにアイドルグループEEJUMPの元メンバーで
千葉県八街市の市議会議員になった後藤祐樹さんが
ガソリンスタンド内で突然バックしてきたトラックに
奥さんの車をぶつけられたとX(旧ツイッター)にアップして話題になりました。

藤田竜太さんも先週、自宅のすぐそばの月極駐車場で
お年寄りが運転する車がバックで急発進して
車止めを乗り越え、他の車に激突する事故も目撃したそうです。

さらに自宅の車庫などで小さな子どもが親の運転する車に
バックで轢かれる事故も毎年のようにあるのは皆さんご存知でしょう。





駐車場に入る時、狭い道で道を譲る時、
道を間違えて曲がり角まで戻る時など、
様々な場面でバック走行を行う可能性がありますが、
前方に走行するのと違って視界の確認は難しく、危険度が高いはずです。
そのバック走行、法令上はどんなふうに規定されているのか確認しておくと

道路交通法第25条に「車両は、歩行者または他の車両などの正常な交通を妨害する
おそれがあるときは、道路外の施設もしくは場所に出入りするための左折もしくは
右折をし、横断し、転回し、または後退してはならない」とあります。

つまり、歩行者の通行や他の車の正常な進行を妨げる恐れがある時は
バック走行してはいけないということですが、明確な基準はありません。
だからこそドライバーはもちろん、バック走行しているクルマの周囲のクルマ、
歩行者、自転車の利用者もしっかり注意しなければいけません。
なお高速道路では、全面的にバックは禁止されているので、そこはお間違えなく。





交通事故総合分析センターの資料によると
死亡事故の1.4%が後退時の事故で軽傷事故でも4.5%がバックでの事故。

数字的に見ると小さい割合に思うかもしれませんが、
車が動いてるときは99%以上前進しているはず。
そう考えると、この割合は馬鹿にできないものがあります。

事故の発生場所で見てみると駐車場やパーキングエリアなどが4割と少し。
交差点以外の道が4割弱、交差点付近が約2割。
歩行者は駐車場内や出入口付近での事故に遭っており、
自転車とバイクは路上で事故に遭うケースが多いようです。





バックでの移動は最小回数、最短距離が望ましいので
道路上で目的地を通り過ぎてしまった場合はバックで戻らず
もう1周して戻ってくる手間を惜しまないようにしましょう。

発進時は車に乗り込む前に目視で後方を確認すること。
駐車枠に止める時はバックで駐車したほうがいいでしょう。
バックで出庫することがなくなるからで「駐車スペースに入れるときはバックで」
「出庫するときは前進で」というスタイルを基本にしましょう。

あとはギアやペダルの位置をしっかり確認してから操作しましょう。
いちばん重要なのはバックで動き出す前に、もう一度、後方を目視で確認することです。
真後ろだけでなくサイドミラーをよく見て、近づく人や車がいないかを忘れずにチェック。
できれば窓を開いて、窓から顔を出し、自分の目と耳で周囲の安全を確認します。
また、バック時にハザードランプを点滅させるのも、被視認性を高めるには良い方法。

最後に慌てずゆっくり進むこと。
バック時は人が歩くぐらいのスピードで危険を感じたらすぐ停止します。
もしも、不安を感じたら何度でもやり直す心の余裕が必要です。





ドライバーの皆さんは、クルマを後方に動かす時は、
ポイントをしっかり押さえた上で安全に操作して下さい。

そして、歩行者の方、自転車に乗っている方は、
バックしようとしているクルマを見た時に
「自分のほうが交通弱者だからクルマが配慮するだろう」といった
安易な予測を元に行動することはやめましょう。
      
バックランプがついているクルマを見たら、
その動線に入らない、いちど停まるということを習慣づけ、
このことを家庭で子ども達にも教えて下さい。