第452回 危険な漫然運転

2023/12/08
人は誰でも目の前のことが上の空になり
ボーッとしてしまうことがあるもの。
特に考え事や悩みがある時は、そうかもしれません。
また、ボーッとしやすい人もいるかもしれません。

ただ、それがクルマを走らせている時だとキケン。
大きな事故に繋がりかねません。
クルマの走行時に危険を見落としてしまう状態を「漫然運転」といいます。
師走でどんなに忙しくてもハンドルを握ったら運転に集中!

今回は(株)日本交通事故鑑識研究所 代表 大慈彌 雅弘さんに話を伺い
「危険な漫然運転」についてお伝えしました。





漫然運転とは車の運転以外のことに頭を使って運転してること。
「心の脇見」とも言われ、運転手は前を見ていても
一番肝心な周囲の交通環境の認知ができていないので
制御されていない無人自動車が走るのと同じようなもの。
非常に重大な事故が起きてしまいます。

実際、漫然運転は交通事故の人的要因の中で、大きな割合を占めています。
75歳未満の運転者が起こした事故のうち
最も多いのが「安全不確認」30.1%で故意や過失で安全確認しなかったというもの。
次が「内在的前方不注意」24.2%で、これが漫然運転等に相当し、全体の4分の1。
ちなみに3番目が「外在的前方不注意」。これは脇見運転等で19.2%。
脇見運転は見るべきものではなく、他のものを見ることで「漫然運転」とは違います。





では、実際に漫然運転からどんな事故が起きているのか。
信号を見落とす。対向車線側にはみ出る。
そして、見通しのいい道路の端を歩く小学生の列に突っ込んでしまうという
どう考えても考えられない重大で悲惨な事故が起きてしまうこともあります。

そんな光景は誰もが想像したくもないことのはず。
全国の運転免許証を持つドライバーは一丸になって
気を抜かずハンドルを握ろうと一致団結すべきです。

そのためにも、どんな状況で漫然運転が起きやすいか、知っておきましょう。
クルマに慣れている、環境的に見ると道路が単調、
非常に多忙で運転以外のことに考えがいってしまうなど。
こうした状況で運転操作が疎かになります。





対策は運転中に別なことに意識が飛ばないように何か負荷をかけること。
例えばオートクルーズ機能を外す。運転しながら自分で実況をする。
歌を歌う。何かのきっかけを決めて手を叩くなど。
今は運転をしてるということを認識し続ける努力をして下さい。

ちなみに漫然運転は道路交通法第70条に規定されている
車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を
確実に操作し、かつ道路や交通及び当該車両等の状況に応じ、
他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない
という安全運転義務に違反しているため交通違反点数 2点で
普通車9,000円、大型車12,000円自動二輪車7,000円
小型特殊車・原付6,000円の反則金が課せられます。





漫然運転の誘因には”疲れ”もあるはず。
忘年会の時期。仕事も忙しく、飲み会も連日あってという状況で
疲れが溜まり、運転しながらついボーッとしないように気をつけましょう。

さらに悩み事も危険。
深く考え込んでいる状況では目では見ていても
状況をきちんと理解していないことも考えられます。
大きな悩みがある時はハンドルを握らないほうがいいかもしれません。

全国のドライバーの皆さん。
漫然運転にはくれぐれも注意して下さい。