第448回 濃霧時の走行

2023/11/10
交通事故が増える10月・11月。
日暮れが早まり、ドライバーの視界が悪くなる「薄暮時間帯」と
帰宅時間が重なることが主な原因とされていますが、
もう1つ気をつけなければいけないのが「霧」。

今回はモータリングライター 藤田竜太さんにお話を伺い
「濃霧時の走行」について伝えました。





「朝霧」「夕霧」「夜霧」「山霧」など
霧にはさまざまな表現がありますが、俳句でこれら「霧」は秋の季語。
秋は霧が発生しやすい季節であることの表れです。

原因は日中まだ暖かく、大気が水蒸気を多く含んでいますが、
朝晩は冷え込むので、空気中の水分が凝結して極小の水滴になるから。
夜から朝にかけては要注意で特に雨上がりの風が弱く晴れた朝は発生条件が揃います。

地域別で見ると、まず盆地。
風が弱いため、霧が流れに乗らずとどまりやすい地形です。
また、川や湖のそばや田んぼの多いところ、海の近くも
空気中の水分量が多いので霧が出やすい場所です。
標高が高くて山間部「霧ヶ峰」や「朝霧」など
地名に”霧”の字がついているところも気をつけましょう。





濃い霧の時には、どのくらい視界を得られるのか?
水平方向に見通せる距離を「視程」と言い
気象庁では視程が100m以下になることを濃霧と呼んでいます。

JAFのテストでは視程が60mの濃霧になると
前方の車がテールランプをつけていて
自分のクルマがヘッドライトをロービームでつけていても
昼間では40mまで近づかないと前のクルマが見えないという結果が出ています。
ちなみに40mは30km/hで走っていると5秒弱で進んでしまう距離に相当します。

夜間だと暗さでテールランプが見やすくなりますが、それでも視程と同じ60m。
さらに視界が悪く、視程が30mしかない時、その他が同じ条件だと、
前のクルマが見える距離は、夜が30m手前、昼だと25m手前です。





霧の中で前方を見たければヘッドライトをハイビームにすればいいのでは?
と思うかもしれませんが、これは大きな間違い。
ハイビームにするとライトの光が霧に当たって乱反射して
前方が真っ白になってしまい、かえって視界が悪くなります。

霧が出たときに心強いのは名称通り「フォグランプ」。
霧に使うための補助灯で近い範囲を広く照らすように設計されています。
リアフォグランプが付いてるなら併用しましょう。
そして、フォグランプは霧が晴れたら忘れずに消すようにして下さい。





霧が出た時の走行はヘッドライト、フォグランプを付けた上で速度を十分に落とし
車間距離を充分に空けてセンターラインに寄り添うようゆっくり進みます。
ガードレールも目安になりますが、なるべく道路中央付近に視点を置きたいので
道路の外側の目印を見るよりもセンターラインをたどっていきましょう。
助手席に同乗者がいれば、カーナビの画面などを見てもらい
「しばらく直進」「もうすぐ右コーナー」「左に緩やかなカーブ」など
ナビゲートしてもらうと助かります。

そして、ドライバーとして最も大切なのは無理をしないこと。
本当に視界が悪い時はSAやPA、コンビニなどに避難して霧が晴れるのを待ちます。

どんなに霧が濃くても、道路上や路肩での停車は、追突される恐れがあるので厳禁。
気象庁は交通機関に著しい障害が起こると予想した時は濃霧注意報を発令するので
今の季節は出かける前に濃霧注意報が出ていないかを確認して
場合によっては出発時間をずらしたり、ルートを変更して霧を避けて下さい。





濃霧が発生しやすい時期。
気象情報を確認して、無理ない運転を心がけましょう。