第431回 オーバーヒートの対処法

2023/07/07
7月7日、七夕の今日は二十四節気で小暑。
梅雨明けが近付いてこれから本格的な夏を迎えますが、
暑さが厳しくなるとクルマの調子にも影響が出ます。
中でも走行中に起きると危険なのがエンジンのオーバーヒートです。
今回はモータージャーナリストの鈴木ケンイチ さんにお話を伺い
オーバーヒートの予防と起きてしまった時の対処法をお伝えしました。





鈴木さんによると最近の車なら
オーバーヒートはほぼ故障が原因。

作動中のエンジンは熱を持ちますが
高温になりすぎるとオーバーヒートを起こすので
クルマは冷却水でエンジンを冷やしながら走っています。

そして、冷却水もやがて熱を帯びるのでラジエーターや冷却ファンで冷やし
温度が下がった冷却水をウォーターポンプで再びエンジン内部に循環する作業を繰り返します。
その冷却システムのどこかがきちんと作動していないことが原因です。

例えばラジエーター付近の「電動ファン」が動かない。
「冷却水」が漏れている。「エンジンオイル」がなくなりかけている。
「ラジエーター」のキャップが経年劣化による緩み。

原因はきちんと見ないと分かりませんが
これらの要因でオーバーヒートが起こることを覚えておいて下さい。





そして、オーバーヒートは起こったことが
運転中の車内で容易に体感できるといいのですが
その過程ではほぼ感じることはできません。

そこで、やるべきなのは水温計のチェック。
エンジンが温まるとCOOLの「C」とHOTの「H」の中間付近を示すのが正常。
これが「H」に偏ってあるほどオーバーヒートの疑いがあります。
水温計がついていないクルマに乗っている場合は
メーターパネルの水温警告灯で異常をチェックして下さい。

さらに五感の感覚で異変を察知しましょう。
オーバーヒート症状が出た後でも走っていると
「キンキン」「カンカン」などエンジンから変な音がしてきます。

また、冷却水漏れや蒸発による甘い匂い、オイルが焼けるような匂い、
水蒸気が出るというのも充分に気をつけなければいけない症状です。
頭に留めておいて下さい。





続いて、運転中にエンジンがオーバーヒートしてしまった!
事故の危険と対処法について。

最悪なケースはエンジンが止まってしまいます。
急ブレーキがかかるような止まり方をする可能性もあるので
そんなケースには後続車に衝突されてしまうかもしれません。

そこで、出来るだけ早く異常に気づいてスピードをゆっくり落とし
周りに危険のないところにゆっくり止める。
余裕があればサービスエリアとかパーキングエリアに停車しましょう。

そして、停まったらボンネットを開けてエンジンルームに風を通し、
ラジエーターのリザーバータンクに「LOW」のメモリ以上の冷却水が入っているかチェック。
少なければ補給します。

もう1つ、エンジンの熱が十分とれたらエンジンオイルのレベルゲージもチェック。
レベルゲージを抜いて先端に付いたオイルをふき取ったあと元の位置に差し込んで再び抜きます。
先端に付いたオイルが目盛りの間なら問題なし。減り方が極端な場合はプロに相談しましょう。





不測の事態を招かないための予防策は法定の点検をしっかりすること。
半年ごとに点検してトラブルがないかをプロに見てもらうのが一番の予防法です。

もう一つは水温が上昇しメーターが上がってきた段階で気づくこと。
エンジンが壊れる前に気づくことができれば路肩に車を停めてメーターをチェック。
1分〜2分見ていて温度が下がってくるようであれば軽症。
温度が下がるのを待ってそれからまた走ることは可能です。
しかし、下がらないようであればすぐエンジンを止めること。
その場合は、もう故障しているということなのでJAFやレッカー車を呼びましょう。





これからの時期は、ふだんあまり運転しない方も、
クルマで遠出をすることがあるでしょう。
まずはしっかりと事前のチェックをして下さい。
その上でクルマの異変を気遣ってハンドルを握りましょう。