第414回 ノーマルタイヤへの交換

2023/03/10
月曜日に啓蟄を迎え、今週は全国的に気温が上昇。
すっかり春めいてきました。





冬への備えだった愛車のスタッドレスタイヤを
そろそろノーマルタイヤにしようかと思っている方も多いでしょう。
ただ、まだ寒の戻りがあるかもしれず、タイミングが難しいところ。

そこで今回は日本自動車ジャーナリスト協会 会長で
日本自動車連盟交通安全委員会委員も務める菰田潔さんに
アドバイスをいただきました。





日本では一般に「雪が降ったらスタッドレスタイヤ」
「雪がなければノーマルタイヤ」と考える傾向にあります。

しかし、菰田さんによると欧州で常識になりつつあるのが
外気温が7℃以下だと冬タイヤ、7℃以上だとノーマルタイヤ(夏タイヤ)という考え。

ノーマルタイヤは気温が下がるとゴムが硬くなってグリップが落ちていきます。
一方でスタッドレスタイヤは気温が高くなるとゴムが柔らかくなってグリップが悪い。
気温7℃を境目としてグリップが逆転するわけです。

100km/hでブレーキをかけた時の制動距離を比べると
7℃を超えると夏タイヤの方が短く、7℃以下だと冬タイヤの方が短くデータもあるそう。
タイヤの交換をする1つの基準が「気温7℃」。覚えておいて下さい。





ただ、この時期は三寒四温。
思いがけず、雪が降ることも考えられます。
その度に履き替えるのは現実的に無理。
菰田さんのお薦めは「もうここまできたら雪は降らないだろう」という
タイミングまでスタッドレスタイヤを利用すること。

雪が降らないのにスタッドレスタイヤだとゴムが減ると思うかもしれませんが、
実は気温が低くなるとノーマルタイヤのほうがゴムが硬くなって消耗します。
スタッドレスタイヤは雪がない所を走っても損ではありません。





そして、スタッドレスタイヤのままでいるにせよ、
ノーマルタイヤに変えるにせよ、それぞれの特性を考慮して運転することが大切。
スタッドレスタイヤであれば、乾いた路面や路面ウエット路面ではノーマルタイヤよりグリップが低く
ノーマルタイヤなら7℃以下になったらゴムが硬くなって路面をしっかりグリップしません。
そのことを頭の片隅においてハンドルを握りましょう。





これからノーマルタイヤに替えずに夏になってしまった!
という方も出てくるかもしれません。
    
菰田さんは夏のスタッドレスタイヤを試しにやったことがあるそうですが
ハンドルがしっかりせず、カーブで安定性に欠けて不安があったといいます。
雨の時期はノーマルタイヤよりもハイドロプレーンが起きる可能性が大。
やはり、どこかのタイミングでしっかりノーマルタイヤに交換して下さい。





履き替えが面倒な人には、今「オールシーズンタイヤ」が流行しているとのこと。
ただ、すべての時期を網羅している分、
スタッドレスタイヤの冬性能とノーマルタイヤの夏性能には及ばないので、
その点を注意して下さいと菰田さんおっしゃっていました。

お住まいの地域の気温・天候に合わせて
以上の情報を参考にしつつ、ノーマルタイヤへ履き替えて下さい