第410回 コリジョンコース現象とは

2023/02/10
例えば、北海道の平原のような建物や大きな木などの障害物がない
360度 視界が開けた交差点でクルマ同士の衝突事故が起こることがあります。
このタイプの事故は「コリジョンコース現象」と呼ばれます。





「コリジョン」とは衝突を意味する英単語。
人間の視界には前方約30度の「中心視野」と
その左右外側の「周辺視野」があります。





「中心視野」は物を細かく見ることに適していて
「周辺視野」は何かが動くのをとらえるのに適しているので
人間は「周辺視野」で異常な動きを感知し「中心視野」で詳細を解析・確認します。

でも、周辺視野は、動かないものを認識しにくいという特性から
直角に交わる見通しの良い道路を同じような速度で交差点に向かって走る
もう1台のクルマがあっても、その存在に気づきません。

これはクルマだけでなくオートバイでも
また、飛行機や船でも起こることです。





先月、福島県郡山市の交差点で乗用車と軽自動車が衝突して軽自動車が炎上。
4人が亡くなるという痛ましい事故が起きました。
この事故が起きた交差点は非常に見晴らしが良く
現場にはブレーキの痕が無かったことから
コリジョンコース現象が原因ではないかと考えられています。
気をつけたいのはコリジョンコース現象による自動車事故が大惨事に繋がりやすいこと。


交通工学が専門の北海道大学 工学研究科 萩原亨教授によると
お互いの自動車に気づかず、スピードを落とさず衝突するから。

また、直角にぶつかることになりますが
車種によっては横からの衝突に弱いものもあり
室内が潰れて乗っている人に対して大きな衝撃がきます。
それによって被害が大きくなって死亡事故に至ることもあります。
見晴らしも広い田舎町なのでスピードを出して走行していることも
大きな事故になってしまう要因の1つになっているようです。





対策の1つは直角に交わる道路が多い土地を走る時には気をつけること。
曲がっている道路ではコリジョンコース現象は起きません。
田園風景の中にあるまっすぐの道を走る時は
時々、意識的に首を降って左右を見るようにしましょう。

そして、前回の「優先道路」に通じることですが、交差する道路はどちらかが優先。
そのことを意識しつつ、どちらが優先か分かりにくい時は、
一時停止するつもりで運転するようにして下さい。

近隣にコリジョンコース現象が起こりやすそうな開けた土地があり
走り慣れている人は日頃から気をつけているでしょう。
行楽、旅行などで知らない土地、不慣れな場所を運転する時には、
カーナビで道路環境を確認することも心がけてコリジョンコース現象を防ぎましょう。