第399回 「ながら運転」厳罰化から3年

2022/11/25
令和元年の道路交通法改正によって「ながら運転」が厳罰化されてから3年。
「ながら運転はいけない」という意識はドライバーに広く根づいていると思います。
でも、気を抜いた時、つい運転中にスマホをいじっていませんか?
あるいは「少しなら大丈夫」と意図的にやっていませんか?
その行為が悲劇を生みかねないことを自覚しましょう。





今回のコメントは 自動車ライター/インストラクター 齊藤優太さんでした。
ながら運転の規定は道路交通法第71条5の5にあります。
停止をしている時以外、つまり運転中には通話や画面・画像を注視しないよう定められています。
スマートフォンで通話する、カーナビの画面をじっと見る、などが「ながら運転」の定義です。





警察庁のデータからは、厳罰化と取り締まりの強化によって、
“ながら運転”が、かなり減ったことが推測されます。
      
ながら運転に関係する交通事故件数 は
令和元年 2,645件 → 令和2年 1,283件と半数以下に減少。
ただし、令和3年は1,394件と増加しています。





運転中の携帯電話使用等の取り締まり件数は
四捨五入で令和元年 72万件 → 令和2年 31万件 → 令和3年 29万件と
半減して、さらに減少傾向にあります。





「ながら運転」の減少は歓迎すべきこと。
しかし、携帯電話使用の摘発だけでも年間30万件。
その1つ1つが悲劇に繋がる恐れがあり、危険性はデータに表れています。
死傷事故に占める死亡事故の割合は、携帯電話などの使用がない場合は「0.80」%。
使用がある場合、つまりながら運転は「1.51」%。
およそ1.9倍、ほぼ2倍になります。





ちなみに近年「ながら運転」が関係する死亡事故数が、
どのくらいあるかというと令和元年(42件)/令和2年(20件)/令和3年(21件)。
もちろん、今年も起きています。

5 月に愛知県の県立高校教諭の乗用車が自転車に乗っていた会社員をはね
会社員は外傷性くも膜下出血で亡くなりました。
スマートフォンで「ドラゴンクエストウォーク」をしながら運転していたとみられています。

運転しながらゲームをやっていたために家族や近しい人間が死んでしまうなんてことを想像したら
誰もが身震い好き持ちになるでしょう。「ながら運転」は、そういう悲劇を生む危険があるのです。





ながら運転は前方不注意に繋がりますが、
ほんの少しの時間だと思ってもクルマはかなりの距離を進みます。
時速 20 キロで約 6m、時速 40 キロで約 11m、時速 60 キロで約 17m、時 速 80 キロで約 22m。
そのわずかな 間 に目の前の状況が変わることも想定しましょう。

今のスマホ社会。
運転していても、つい触りたくなってしまうのも事実。
「ながら運転」をしないよう予防線を張ることも大切です。

まずはスマートフォンをサイレントモードにし、
そして、画面が見えないようにしておくこと。
通知が来ると見たくなってしまうので、運転中はしばしスマホのことは忘れましょう。





「ながら運転」の危険性を充分に理解していただけたと思います。
ただ、例外として「傷 病者の救護」や「公共の安全の維持のため」
「やむを得ない緊急時」に限っては運転中のスマホ使用も
認められていることを最後にお伝えしておきます。