第398回 ブレーキとアクセルの踏み間違い

2022/11/18
クルマを運転していて
ついブレーキとアクセルを踏み間違えてしまった
あるいは踏み間違えそうになった経験はありませんか。
  
クルマの運転におけるヒューマンエラーの1つ
「ブレーキとアクセルの踏み間違い」は誰もがやりかねないこと。
十分な注意が必要です。





「ブレーキとアクセルの踏み間違い」と聴くと
多くの方は高齢ドライバーの運転を思い浮かべるかもしれません。

しかし、公益財団法人 交通事故総合分析センターが今年発行した
ITARDAインフォメーションNo.139「ペダル踏み間違いによる事故 特集」によると
2018年から2020年までの3年間にあった「踏み間違い事故」はおよそ1万件。

そこから、死亡・重傷事故を抜き出すと
運転者の年齢層分布では「65歳〜74歳」と「75歳以上」が圧倒的多数。

ところが、これを 軽傷も含めた死傷事故数 で見ると
「車両単独事故」「人対車両の事故」では高齢者が多いものの
「車両相互の事故」では年齢間の差はあまり目立たなくなり
注目すべきことに最も多い年齢層は「24歳以下」となります。

さらに「ペダル踏み間違い」事故を
免許保有者人口10万人あたりの死傷事故件数で見ても
「車両相互の事故」は「24歳以下」が最も高くなっています

死亡・重傷事故が多い高齢ドライバーにはさらに注意してもらうとして
若年層のドライバーも他人事と思ってはいけません。





日本自動車ジャーナリスト協会 会長で
日本自動車連盟交通安全委員会 委員でもある菰田潔さんの推察によると
24歳以下にペダルの踏み間違いが多いのは”慣れ”が原因。
免許を取って間もない頃は緊張して運転していますが
段々と慣れてきて運転を甘く見るようになってしまう。
運転に対する「驕り」は事故への入口。
常に謙虚な気持ちでハンドルを握るようにして下さい。

菰田さんによると、踏み間違い事故はどこでも起こります。
代表的な場所は一般の駐車場、コンビニの駐車場、一時停止すべき場所、信号のない交差点、
直進発進時に信号手前で前方に停止車両がいて後方からぶつかるというケー ス、
カーブでもあるというデータが出ています。

時折、どこそこにクルマが突っ込んだというニュースがあります。
これは軽度な衝突でパニックになりアクセルを踏んでしまうケース。
例えば駐車場でバックをしていてクルマを電柱に少しぶつけてしまい
慌ててドライブレンジに入れてアクセルを踏みコンビニ店舗に突っ込んでしまう。
また、ブレーキペダルから足を滑らせてアクセルペダルを踏んでしまうケースもあるようです。

どんなシーンでも、踏み間違いをする可能性はあることを
頭の片隅に置いて運転するようにしましょう。
そして、もしも踏み間違えてしまった時は
多くの場合、それほどスピードは出ていないのでパニックにならないこと。
慌ててアクセルを踏み込んでしまうことが大きな事故に繋がります。





踏み間違い事故の予防策について、菰田さんは2点挙げて下さいました。
1つはドライビングポジション。
多くのドライバーがアクセル・ブレーキペダルから遠くに座りすぎだと感じているそうで
シートから遠いほどペダルの位置感覚がわかりにくくなるので気をつけてほしいとのこと。

次になるべく最新技術が投入された新しい車に乗ること。
アクセルペダルが運転席の中央よりもなるべく右に寄っているなど
ブレーキのつもりで踏んだらアクセルだったという間違いがないよう
設計された増えているので、そうした車を選ぶというのもポイントだということです。

年齢層を問わず、やってしまう危険はある
ブレーキとアクセルのペダル踏み間違いに気をつけましょう。
そして、高齢ドライバーが身近にいる方は、
機会があるごとに、こうした情報を共有するようにして下さい。