手軽に移動ができる交通手段として人気が高まる電動キックボード。
普及する一方で事故も増えています。
あらためて電動キックボードにおける実態を把握し、
正しい利用方法を確認しておきましょう。
今回は交通問題を中心に執筆している
記者の中島みなみ さんにお話しを伺いました。
電動キックボードの事故が最初に社会問題となったのは
2021年6 月に大阪で起きた2人乗り電動キックボードの歩行者ひき逃げ事故。
まだ昨年のことですが、当時は運転のための資格や通行する場所など
よくわからないままに勢いだけで乗る利用者が多い状況。
無免許運転や歩道走行で人身事故や物損事故を起こしています。
しかし、最近ではシェアサービス事業者の努力や報道で
少しずつ電動キックボードのルール が知られるようになって
事故のタイプが変わってきたと中島さんは指摘します。
目立ち始めているのが「飲酒運転」。
先月25日の深夜には、東京都江東区の超高層マンションの
車寄せの駐車スペースで初めての死亡事故が起きました。
電動キックボードがタイヤ止めに衝突して転倒
利用者は頭部を損傷し、救急搬送され、死亡しました。
この件は飲酒の可能性も含めて捜査されています。
実はここにきて深刻な問題になっているのは
電動キックボードの利用では割と簡単に飲酒運転をしてしまうこと。
東京都内での飲酒運転の行為は1月から9月末日までに暫定値で 39 件。
10月15 日の土曜日0時から深夜の道玄坂付近で行われた飲酒検問では
12台がアルコールチェックを受けて1 人が検挙されています。
乗用車やバイクで短時間にこれだけ少ない対象台数で飲酒運転は見つかりません。
現在、電動キックボードの利用には大きく2通りあります。
「個人所有」と「シェアリングサービスの利用」。
混乱するのは、この2つが同じ電動キックボードでありながら
法律上は違う位置付けがされているから。
しかし、ともに「車両」なので飲酒運転は法令違反です。
法律上の位置付けは、手軽な乗り物とはいえ電動キックボードは
基本的に排気量 50CC の原付バイクと同じルール に基づきます。
運転には免許が必要でナンバープレートの装着、自賠責保険の加入義務があります。
しかし、混乱するのは、2024 年の改正道路交通法までの特例的な対応。
電動キックボードの中でもシェアサービス事業者が提供する車両は
小型特殊自動車で乗れるという制度です。
フォークリフトや農業用トラクター等の同様の位置づけで
こちらの電動キックボードの利用にはヘルメットが不要、
2 段階右折もしなくて良いことになっているのです。
一方で個人所有の電動キッ クボードの場合は
原付免許の所持、ヘルメッ トの着用、2 段階右折の義務があります。
このことを覚えておいて下さい。
そして、どちらの電動キックボードを利用する場合でも
他の部分においては乗用車やバイクと同じルールで車道を走行することが求められます。
2年後の法改正で電動キックボードの法規制は変更されます。
今回はその内容に触れませんが、利用している方はそのこを頭に置いておきましょう。
中島さんによると、電動キックボードの関連する事故は
2020年から2021年6 月までの2年半で49件。
死亡事故が起こったためヘルメット着用を義務化するべきという意見が多くなりましたが
シェアサービス事業者の電動キックボードは時速 15 キロ以下に制限されています。
飲酒運転をしないなど、当たり前の交通ルールを守れば、大きな事故は防ぐことができます。
また、電動キックボードは他の乗り物と違い、乗り続けなければいけない乗り物ではありません。
車体も軽いので危ない幹線道路では降りて歩くというような選択肢も気軽にできます。
危ないと思った場所では降りて歩道を歩いたり、横断歩道を渡ったりしながら
なるべく安全な道を選ぶことが事故に合わない、起こさない重要なポイントです。