第393回 熊本県警察の”てまえ運動”に学ぶ

2022/10/14
熊本県では9年前の平成25年から、
熊本県交通安全推進連盟主唱のもと、県民運動として
“横断歩道 止まって渡す 「思いやり」キャンペーン”を実施しています。
     
昨今、全国的な課題になっている、
信号がない横断歩道に渡りたい歩行者が待っているのに
多くのクルマが停まらない問題にいち早く取り組んできたわけですが
その重点として掲げているのが「てまえ運動」。

今週は熊本県交通安全推進連盟の浦田啓介さんにお話を伺い
熊本県警察の取り組みを紹介しました





横断歩道上の交通事故は歩行者が重傷を負いやすく命を落とす危険性があります。
悲惨な事故を1件でも減少させるべく、このキャンペーンはスタートしました。

重点ポイントで掲げる「てまえ運動」では3つの手前に関する行動を提言。
まず、ドライバーは信号がない横断歩道に歩行者がいる場合は停止線手前で一時停止。
歩行者に対して手を前に出して合図をして安全に横断してもらう。
また、歩行者は信号機のない横断歩道を横断する時に
手を前に出して通行車両に対して横断の意思を伝えるというものです。





単に譲る、譲られるというだけではなく
ドライバーと歩行者のもう少し密なコミュニケーションを
持ち込んだと言えるでしょう。

ドライバーが手を「どうぞ」と指し示すことで
歩行者は“ドライバーが停まってくれた”という感覚を持ちます 。
歩行者が対象を“車”と見ていると“法律上、停まって当たり前”と思いがちですが
対象がドライバー=人だと思うと“停まってくれて有難う”の気持ちになるでしょう。

そして、歩行者が信号のない横断歩道を渡る時、
手を前に挙げればドライバーへの注意喚起にもなります。
その時に“ありがとう”の気持ちも伝えたいですね。





キャンペーンでの効果検証は難しいところでですが
JAFの信号機のない横断歩道での歩行者横断時における車の一時停止状況調査で
熊本県は2020年の25.7%の停止率が翌2021年には40.8%になっています。
これは”てまえ運動”を地道に行ってきた成果と考えているとのこと。

ちなみに2021年の40.8%で熊本県は47都道府県中15位。
ベスト3を紹介すると・・・

3位 山梨県 51.9%
2位 静岡県 63.8%
1位 長野県 85.2%

長野県と静岡県は、この点において優秀!


ワースト3は

45位 青森県 14.0%
46位 東京都 12.1%
47位 岡山県 10.3%


該当した地域にお住まいのドライバーの皆さん。
この不名誉な数字を挽回しましょう。

熊本県で推奨される”てまえ運動”。
これ自体はどこに居住していてもできて事故減少に役立つこと。
他の都道府県にお住まいの方も心がけてみて下さい。