今、国土交通町を中心に「生活道路」の交通事故を無くそうという動きが起こっています。
そこで、今回は 交通工学が専門の埼玉大学 久保田 尚 教授にお話を伺い
「生活道路で起こる交通事故」について考えました。
道路にはいろいろな役割があります。
高速道路や幹線道路は目的地に早く着くために敷設されています。
一方で生活道路は地域住民の日々の生活を支えている
通勤で駅に行くまでに歩いたり、通学路だったり、
徒歩や自転車で安全に目的地に向かうためのもの。
法令上では明確な定義はありませんが、
国土交通省は道幅が 5.5m 未満の道路としています。
つまり、あまり頻繁にクルマは通らないはずなのです。
ところが、生活道路が注目されているのは日本の交通事故の特徴によります。
それは、歩行中と自転車乗車中の事故の割合が非常 に多いということ。
両者を合わせると交通事故死亡者数全体の半分を占めています。
これは欧米諸国にはない状況です。
フランス、ドイツ、イギリス、アメリカのデータを見ると
歩行者+自転車利用者の死亡者数は全体の2割〜3割。
多いのは乗用車乗車中で半数近く。
このあたり日本とは数字が逆ですね。
そして、日本で交通事故で亡くなった歩行者は
半数が自宅から500m以内で事故に遭っています。
生活道路では高齢者の死亡事故が非常に多いのも特徴で
小学生など子どもの事故がメディアで報道されることもあり
いま、生活道路の安全利用が問題になっているのです。
久保田教授によると、当該地域に関係ないドライバーは
生活道路を走ってほしくない大前提があるといいます。
何らかの理由で通らなければいけない場合は
全ての交差点、建物の出入口で子供がいつ飛び出してきても止まれる速度で走ること。
その時には絶対30km/h 以上では走らないで下さい。
30km/h 以下であれば仮に人と衝突しても死亡事故にならない可能性が高い。
速度を落として注意深く走る姿勢が安全を守るために求められます。
歩行者や自転車を利用する人が生活道路で気をつけるべきことは
抜け道を探してスピードを出した車が入ってくる可能性があること。
狭い道ですが道路の交差があればクルマが来ていないか確認します。
自宅付近の生活道路は勝手がわかっているもの。
緊張感なく利用しがちですが、常に危険が潜んでいることを意識して利用しましょう。
子どもや高齢者が家族にいる方は、そのことを伝えて下さい。