交通事故を回避する、あるいは事故の大きさを軽減する、
最後の手段の1つが「急ブレーキ」。
差し迫った危険を避けられるか
衝突したとしても軽い事故で済ませられるか
それは急ブレーキを踏み込めるかにかかっています。
今回はモータージャーナリスト 菰田潔さんのコメントを通して
「急ブレーキ」について、お伝えしました。
あまり考えたことはないと思いますが
ブレーキには大きくわけて2つの種類があります。
1つはふだん使っているスムーズで角のないブレーキで、これが理想。
もう一つは緊急時にガツン!と強く踏みこむ急ブレーキ。
この急ブレーキ。
実はほとんどの方が使ったことがない。慣れていない。
だから、いざという時に、きちんとかけられないのです。
菰田潔さんもいろいろなトレーニングで見ていると
ほとんどの人が本当の急ブレーキが踏めないとか
でも、緊急事態に急ブレーキはとても大切です。
理由は最終的にはハンドルで危険を避けようというケースでも
急ブレーキでスピードを落としておけば危険回避の可能性は高まるから。
そして、60km/hで走っている場合
急ブレーキをかけてから止まるまでの距離は12、 3m。
5m遅れて急ブレーキを踏んだとすると
遅れずに踏んだ人がギリギリ止まった場合でも衝突します。
その時の衝突スピードは5m遅れてブレーキを踏んだだけなのに38km/h。
だから早く強くブレーキを踏みこめることは大切なのです。
衝突を避けられるか、避けられないかという状況に直面したら
躊躇せずに急ブレーキを踏むことが大切だとよくわかったと思います。
でもこれ、頭で解っていても、とっさの時に出来ないかもしれません。
やはり、練習が必要です。
菰田さんが勧めるのは、朝の出発前、ブレーキペダルを踏んでエンジンをかける時。
ここで一発ガツンと踏んで、いつでも緊急ブレーキをかけられる心と体の準備をしましょう。
最近は多くのクルマにABS(アンチロック・ブレーキング・システム)が搭載。
これは急ブレーキや滑りやすい道路でのブレーキ操作時に車輪のロックによる滑走発生を低減する装置。
その機能を理解しておきましょう。
ABSが無い車であればあガツンと強く踏みこむと
タイヤをロックしてハンドルも効かなくなる可能性があります。
でも、ABS搭載であればタイヤはロックしません。
制動力の、いわゆる「1番おいしいところ」を使えること
さらに思いっきりブレーキを踏み続けている最中でもハンドルが使えて
危険を避ける能力が保たれていること。
ABSによって相当数の事故は減っていると菰田さんはおっしゃっていました。
急ブレーキをきちんと使える技術。
クルマの運転には大切なこと解っていただけたでしょうか。
最後に1点、道路交通法には「急ブレーキ禁止違反」、
不必要に車を急停止させること、
または急激な減速をするような急ブレーキを禁止する規定があります。
これは、いわゆる「あおり運転」などの防止が主な目的ですが、
覚えておいて下さい。