第356回 急ぎの心理が運転に与える影響

2022/01/28
この番組を通勤するクルマで聴いて下さっている方は多いでしょう。
寝坊したり、出かける準備に時間がかかったりと朝の運転は急ぎがち。
休日のクルマでのお出かけも「○時までに着かないと!」と急ぐこともあるでしょう。

でも、焦る気持ちは危険。事故を誘発しかねません。
今回は九州大学 大学院 教授で交通心理学が専門の志堂寺 和則さんにお話を伺い
「急ぎの心理が運転に与える影響」をお伝えしました。





運転に限らず、日常生活で急いで何かをやり始めると
気持ちが落ち着かず、雑になったり、荒っぽくなってしまいます。
運転でも同じだと志堂寺教授は言います。

ゆったりとして冷静な状態で何かに急ぐ自分を想像してみると
あまりいい方向にはいかないだろうなと思いますよね。
判断を誤る、行動を間違える、ムダも多い。

それをクルマの運転に当てはめると、
急ぐ気持ちはスピードを出すことに繋がります。

クルマを運転している時に得る情報の9割が視覚から。
スピードを出えば情報量が多くなり、危険も増える、
それに対して人間の注意力には限界がある。
少し極端な比較ですが時速40kmで走行するドライバーの視野は約100度。
それが時速130kmになると約30度にまで狭くなります。

つまり、危険に対応できない”機会”が増えていくわけです。
そして、少しでも早く着きたいので車線変更を頻繁に行う、
信号が変わろうとしているのに止まらずに突っ込んでいく。
もう、危険しかありません。





そして、急ぎ焦る運転は他の危険にも繋がる可能性があります。
雑になり、荒くなるため、あおり運転と受け取られかねません。
そう感じた他のドライバーのあおり運転を誘発する可能性もあります。
このことを頭の片隅に置いておきましょう。

そんな事態にならないよう、
気が急いた運転をしないポイントは2つあると志堂寺教授は言います。

1つは余裕のある運転計画を立てる。
目的地に到着しなければいけなない時間があるのなら
それよりも5分〜10分余裕を見て出発をする。

もう1つは普段の生活からゆっくりとやる習慣をつける。
いくら何かの時に急がないようにしようと思っても急ぐ習慣がある人には無理。
クルマの運転も例外ではないそうです。
大切なのは1つ1つに丁寧な生活スタイルを身につけること。
それが安全運転の基本になります。





これを読んだドライバーの皆さんは「急いだ運転は危ないな」と思ったはず。
確かに「雑」で「粗い」生活習慣は様様なところに様様なカタチで表れるでしょう。
日々の暮らしを丁寧に積み重ねて自動車の運転に反映されるように心がけたいものです。